コラム
2021年02月25日

入試問題の中の「2021」-ちょっとだけ、やっかいな数

保険研究部 主任研究員・年金総合リサーチセンター兼任   安井 義浩

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高校・中学入試、あるいは大学入試においても、その時点の年度の数、今なら2021、にちなむものが、数学の問題にでることがある。大学入試レベルだと、さすがに数学の知識が必要な問題になる(例えば整式どうしの割り算とか)が、高校・中学入試レベルなら、試験から離れている我々でもなんとかわかるような「おもしろい(かどうかは人によるが)」ものもある。(それでも、制限時間に追われる試験本番では、我々の頭がさほどスムーズに働くとは思えない。渦中の受験生は大変だと感心するばかりである。)
 
まずは
「2021は素数か?」という問題である。

素数とは、1とその数自身以外では割り切れない、1より大きい自然数のことである。小さいほうから 2、3、5、7、11、13・・・と続く。1より大きい自然数で素数でないものは合成数と呼ばれる。

2021はどうか? 一見すると、それ以外で割りきれなさそうに、筆者には感じられる。
 
一般に、ある自然数が素数であるかどうかを確かめるには、それより小さい素数でかたっぱしから割り算してみればよい。特殊な自然数に対しては高級な判定方法があるようだが、基本的には割り算してみるしか方法はない。2で割る、3で割る、5で割る・・・というふうに。

もしも割り切れて、相手方の自然数がみつかるなら、その相手方はもっと大きいはずだ。なぜならもし小さいならばもっと早い時点の割り算でみつかるからである。となると割り算するのは、判定したい数のルートまででよい。2021のルートは、40×40=1600、50×50=2500だから、だいたい40いくつかくらいまでの素数で割り算すればよい。ではやってみよう。

2,3,5、7、11、13、19、23、29、31・・・で割っていくと、全然わりきれそうにない。もう素数ということでいいのじゃないか?と諦めようとしていたら、なんと43でわりきれて2021=43×47となった。あぶないあぶない。めんどくさがって「素数である」と答えたら大間違いであった。最後まで割り算させるとは!というやっかいな数なのであった。試験時間は限られているというのに。

また45×45=2025 となるから、

2021 = 2025 - 4 = 452-22 =(45-2)×(45+2)=43×47

とすぐ思いつくかもしれない。
 
ちなみに、最近の西暦年の数字でいうと

2017は素数、
2018=2×1009 
2019=3×673 
2020=2×2×5×101
2022=2×3×337 
2023=7×289=7×17×17 

などである。それにしても2,3,5、7あたりの割り算で見つかるから「ありがたい」。そういう意味で2021は「ひどい」。また2023の因数289=17*17は「最もひどい」が、こうした知識は、入試対策としては、受験生の頭に入っているのが当然らしい。よく言われる判定法には「偶数は2で割り切れる(当然すぎる?)」「出てくる数字を足して3の倍数なら、3で割り切れる(9もそう)」「末尾が0、5なら5で割り切れる」などもある。
 
51,57, 91などは、素数のように見えて合成数である(見えない人はもちろんご立派)。

グロタンディークという、歴史に名を残す大数学者が、ある講演会でなにがしかの性質をもつ「素数」の例として、57(=3×19)を挙げてしまったという逸話があるそうな。そのため57は「グロタンディーク素数」とも呼ばれる(もちろん数学上の冗談で学術用語ではない。)。大数学者でも素数と錯覚するような、そんな57だということか。これは、数学では具体的な例よりも抽象的思考が大事なのだという教訓?としても取り上げられる。また逆の話として、大学院入試の口頭試問などにおいて、抽象的で難しい研究内容や数学の定理については説明できるのに、その具体例をひとつも挙げられない、といった事象もあってそれもいかがなものか?という方向の話もあるから、両方大切だということでもある。)
 
さて、43×47=2021と掛け算するのはあっという間であるが、2021=43×47という素因数分解を見つけるのには「多少」時間がかかった。

これがもっと極端になると、100桁くらいの素数2つの掛け算は「簡単(?)」だが、逆に分解を見つけるのは、最新のコンピュータで片っ端からやるとしても何百年もかかる、という事態もあるそうだ。

(その例を、最近ネットか本で見かけたような気がするが、結局みつからなかった。しかし、例え見つけても、ここに間違いなく引用する自信はないし、自分で掛け算を確かめる気もないし、エクセルでやろうとしても桁あふれ。ということは、分解どころか簡単な掛け算の方すら、事実上できない。何よりページを無駄に消費するので、例も省略することにした。)
 
「分解は難しいが、合成は簡単である。」という性質は、暗号とかパスワードとかの原理として使われているそうだ。数学として解けないのではなく、途方もない時間がかかるので、実際問題としては解けないのだ。では計算機の速度が上がって、今までの何千倍も速くしらみつぶし計算が可能になった時はどうか?そのときは現在の暗号などは使い物にならなくなるものもある、かもしれない。その可能性を秘めているのが「量子コンピュータ」と呼ばれるものらしく、現在開発の途上にあるらしい。
 
入試問題を紹介するつもりが、脱線したまま、少し遠くまできてしまった。最後の方の話は、筆者も耳にしたことがある程度の理解でしかない。この場で掘り下げられるほど簡単な話ではなさそうである。興味のある方は、独自にもっともっと遠くまで行って頂ければと思う。
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保険研究部   主任研究員・年金総合リサーチセンター兼任

安井 義浩 (やすい よしひろ)

研究・専門分野
保険会計・計理、共済計理人・コンサルティング業務

(2021年02月25日「研究員の眼」)

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