2024年06月28日

利上げによる住宅ローンを通じた日本経済への影響-住宅ローンの支払額増加に関する影響分析

金融研究部 金融調査室長・年金総合リサーチセンター兼任 福本 勇樹

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■要旨
 
  • 低金利環境が長期化したことで住宅ローン残高に占める変動金利型の割合が拡大しており、日本銀行が利上げした際の住宅ローンを通じた経済への影響が懸念されている。
     
  • 本稿の分析では、金利上昇が1%生じたとしても、日本経済に与える影響は民間最終消費支出の0.3%程度との計算結果になった。
     
  • 変動金利型住宅ローンには「早く元本返済が進められる」という特徴があり、家計の保有する金利リスクの抑制につながっているものと考えられる。
     
  • さらに、持家世帯の平均的な姿は負債よりも貯蓄の方が大きく、金利上昇しても貯蓄からの収入が増えるため、賃金上昇の効果も含めると、家計への影響は総じて抑制されたものになると結論付けられる。
     
  • 一方で、持家世帯の中でも20代、30代、40代は貯蓄よりも負債の方が大きく、債務返済までの残存期間が相応に残っていることが想定される。
     
  • 金利上昇による返済額の増加がこれらの世代に集中する点に留意すべきであり、住宅ローン減税の拡充や利子補給などの対策が必要になるかもしれない。


■目次

1――住宅ローン利用者への利上げの影響

(2024年06月28日「基礎研レター」)

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金融研究部   金融調査室長・年金総合リサーチセンター兼任

福本 勇樹 (ふくもと ゆうき)

研究・専門分野
金融・決済・価格評価

経歴
  • 【職歴】
     2005年4月 住友信託銀行株式会社(現 三井住友信託銀行株式会社)入社
     2014年9月 株式会社ニッセイ基礎研究所 入社
     2021年7月より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会検定会員
     ・経済産業省「キャッシュレスの普及加速に向けた基盤強化事業」における検討会委員(2022年)
     ・経済産業省 割賦販売小委員会委員(産業構造審議会臨時委員)(2023年)

    【著書】
     成城大学経済研究所 研究報告No.88
     『日本のキャッシュレス化の進展状況と金融リテラシーの影響』
      著者:ニッセイ基礎研究所 福本勇樹
      出版社:成城大学経済研究所
      発行年月:2020年02月

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