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- 住宅ローン利用者は金利上昇に対してどのように備えるべきか
2022年08月31日
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■要旨
■目次
1――住宅ローン利用者の金利上昇懸念の高まり
1|将来の金利上昇を懸念する住宅ローン利用者が増えている
2|住宅ローンの適用金利の水準はどのようにして決定されるか
3|変動金利型から固定金利型への借換えは金利上昇に対して有効な対応策になりえるか
2――金利上昇シナリオにおける繰り上げ返済に関するシミュレーション
3――まとめ:各個人の将来の目標を実現できるような家計管理を
- 金利上昇を予測する住宅ローン利用者が増えている。
- 変動金利型の住宅ローン金利は短期金利に連動し、固定金利型の住宅ローンは長期金利に連動して決定されるのが通例である。過去に短期金利が上昇した際にも、住宅ローン金利の決定に用いられることの多い短期プライムレートが上昇した。
- 短期プライムレートには下方硬直性や下限が認められるが、金利上昇の際に上方硬直性はない。
- 住宅ローン利用者の金利上昇に対する備えとして借換えや繰り上げ返済といった対応が考えられるが、徐々に「借換えで対応する」と回答する利用者の割合が増えている。
- 「短期金利よりも長期金利の方が先に上昇する」「金利上昇を事前に予測するのは難しい」「個人が機動的に金利上昇リスクをヘッジするのは難しい」の3つの理由で変動金利型から固定金利型への借換えは推奨しない。借換えを行うのであれば、日本銀行によるイールドカーブコントロールが解除される前に実行すべきである。
- 本稿では繰り上げ返済に関するシミュレーションを実施した。5年目まで適用金利が一定(0.4%)で5年後に0.5%程度金利上昇するというシナリオの下では、6年目以降の返済額は107.5%になる。返済額を増やさないようにするには、ちょうど5年目に当初借入額の6%相当を繰り上げ返済する必要がある。
- このような市場環境をきっかけとして、金利上昇への備えについて検討しておくことは家計のリスク管理という意味で大切なことだと思われる。個人の資産や負債は規模が小さく大数の法則が働きにくいため、将来の人生設計に関わる資産形成や住宅ローンの借り入れなどでは、可能であればある程度のリスクシナリオが発現しても各個人の目的が達成できるようなより慎重な家計管理を採用すべきだと考える。
■目次
1――住宅ローン利用者の金利上昇懸念の高まり
1|将来の金利上昇を懸念する住宅ローン利用者が増えている
2|住宅ローンの適用金利の水準はどのようにして決定されるか
3|変動金利型から固定金利型への借換えは金利上昇に対して有効な対応策になりえるか
2――金利上昇シナリオにおける繰り上げ返済に関するシミュレーション
3――まとめ:各個人の将来の目標を実現できるような家計管理を
(2022年08月31日「基礎研レポート」)
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経歴
- 【職歴】
2005年4月 住友信託銀行株式会社(現 三井住友信託銀行株式会社)入社
2014年9月 株式会社ニッセイ基礎研究所 入社
2021年7月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会検定会員
・経済産業省「キャッシュレスの普及加速に向けた基盤強化事業」における検討会委員(2022年)
・経済産業省 割賦販売小委員会委員(産業構造審議会臨時委員)(2023年)
【著書】
成城大学経済研究所 研究報告No.88
『日本のキャッシュレス化の進展状況と金融リテラシーの影響』
著者:ニッセイ基礎研究所 福本勇樹
出版社:成城大学経済研究所
発行年月:2020年02月
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