2022年02月08日

日本銀行の金融緩和解除で長期金利はどの程度上昇するか-日銀の金融緩和政策による長期金利の下押し効果の測定

金融研究部 金融調査室長・年金総合リサーチセンター兼任 福本 勇樹

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■要旨
 
  • 日本銀行が全ての金融政策を解除した場合に想定される長期金利の上昇幅について、統計的なモデルを構築して推定を行った。
     
  • 2022年1月末時点で、日本銀行がすべての金融緩和政策を解除した場合、需給によって一時的な上下はありうるが、0.8%程度の金利上昇が生じるとの推定結果が得られた。
     
  • マイナス金利政策を解除して短期金利を引き上げていくには、その前に長短金利差を十分に拡大させておく必要があり、少なくともマイナス金利政策とYCCの解除にタイムラグを持たせる必要がある。
     
  • しかしながら、コロナショック以降イールドカーブコントロール(YCC)による長期金利に対する下押し効果がほとんど失われており、YCCの解除だけでは長短金利差が十分に拡大しないものとみられる。
     
  • 逆イールドを避けつつ長短金利差を拡大させていくという意味で、バランスシート縮小などの対応策も組み合わせる必要があり、金融緩和の解除には難しいかじ取りが求められる。


■目次

1――日本銀行の金融政策の効果を考慮に入れた日本国債金利(10年物)の分析
2――各金融政策による日本国債金利(10年物)に対する押し下げ効果の測定
3――もし日本銀行が一連の金融政策を解除するとしたら
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金融研究部   金融調査室長・年金総合リサーチセンター兼任

福本 勇樹 (ふくもと ゆうき)

研究・専門分野
金融・決済・価格評価

経歴
  • 【職歴】
     2005年4月 住友信託銀行株式会社(現 三井住友信託銀行株式会社)入社
     2014年9月 株式会社ニッセイ基礎研究所 入社
     2021年7月より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会検定会員
     ・経済産業省「キャッシュレスの普及加速に向けた基盤強化事業」における検討会委員(2022年)
     ・経済産業省 割賦販売小委員会委員(産業構造審議会臨時委員)(2023年)

    【著書】
     成城大学経済研究所 研究報告No.88
     『日本のキャッシュレス化の進展状況と金融リテラシーの影響』
      著者:ニッセイ基礎研究所 福本勇樹
      出版社:成城大学経済研究所
      発行年月:2020年02月

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