- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 保険 >
- 保険計理 >
- 確率を使った分配問題-優勝賞金をどう分ける?
確率を使った分配問題-優勝賞金をどう分ける?
基礎研REPORT(冊子版)7月号[vol.328]

保険研究部 主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員 篠原 拓也
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
◇分配問題
(優勝賞金の分配問題)
あるスポーツで、頂上決戦シリーズが行われる。シリーズは最大7試合で、先に4勝したチームが優勝を手にする。優勝チームには、優勝賞金が与えられる。このシリーズを、AチームとBチームが戦っている。第5戦が終了してAチームの3勝、Bチームの2勝だった。この状況で未曽有の天災が発生して、シリーズは中止にせざるを得なくなった。さて、優勝賞金を2チーム間で分けるとしたらどのように分配すべきか?
その上で、こんなふうに考える。もし第6戦が行われてAチームが勝ったとすると、Aチームが4勝となりAチームの優勝が決まる。その確率は1/2だ。逆に第6戦にBチームが勝利したとすると、両チーム3勝ずつのタイとなり、第7戦が優勝のかかる大一番となったはず。その確率も1/2だ。
第7戦に進んだ場合、Aチームが勝利する、つまり優勝する確率は1/2。これらをまとめると、Aチームの優勝する確率は、1/2+1/2×1/2 = 3/4 と計算できる。つまり、優勝確率は75%。Bチームの優勝確率は残りの25%となる。優勝賞金の分配は、Aチームに総額の3/4、Bチームに1/4とすればよい。
◇確率を使わない解法もある
◇やっぱり確率が必要
一方、確率を使うと、Aチームの優勝する確率は次の3つに分けて考えられる。
(1)第6戦で勝つケースと、第6戦で負けるケースの半分。(2)第6戦を引き分けて、第7戦で勝つケースと、第7戦で負けるケースの半分。(3)第6、7戦を引き分けて、第8戦で勝つケースと、第8戦で負けるケースの半分。いま、第7戦までは1試合でAやBが勝つ確率をp、引き分けの確率をt(2p+t=1)とすると、Aの優勝確率は、
p+p/2+t(p+p/2)+t2(1/2+1/4)= 3/4
つまり75%と計算される。Bの優勝確率は残りの25%となる。
◇デュースでも賞金の分配ができる
このように確率を使うことで、状況の優勢、劣勢を数字で表現できる。確率は、こんな形で役立てることもできるわけだ。
(参考文献)「確率パズルの迷宮」岩沢宏和著(日本評論社,2014年) “Mathematical Puzzles” Peter Winkler(CRC Press, 2021)
(2024年07月05日「基礎研マンスリー」)

保険研究部 主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員
篠原 拓也 (しのはら たくや)
研究・専門分野
保険商品・計理、共済計理人・コンサルティング業務
03-3512-1823
- 【職歴】
1992年 日本生命保険相互会社入社
2014年 ニッセイ基礎研究所へ
【加入団体等】
・日本アクチュアリー会 正会員
篠原 拓也のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/03/18 | 気候変動:アクチュアリースキルの活用-「プラネタリー・ソルベンシー」の枠組みに根差したリスク管理とは? | 篠原 拓也 | 基礎研レター |
2025/03/11 | 国民負担率 24年度45.8%の見込み-高齢化を背景に、欧州諸国との差は徐々に縮小 | 篠原 拓也 | 研究員の眼 |
2025/03/04 | サイバーリスクのモデリング-相互に接続されたシステミックリスクをどうモデリングする? | 篠原 拓也 | 保険・年金フォーカス |
2025/02/25 | 気候アパルトヘイトとNCQG-気候変動問題による格差の拡大は抑えられるか? | 篠原 拓也 | 基礎研レター |
新着記事
-
2025年03月21日
東南アジア経済の見通し~景気は堅調維持、米通商政策が下振れリスクに -
2025年03月21日
勤務間インターバル制度は日本に定着するのか?~労働時間の適正化と「働きたい人が働ける環境」のバランスを考える~ -
2025年03月21日
医療DXの現状 -
2025年03月21日
英国雇用関連統計(25年2月)-給与(中央値)伸び率は5.0%まで低下 -
2025年03月21日
宇宙天気現象に関するリスク-太陽フレアなどのピークに入っている今日この頃
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
【確率を使った分配問題-優勝賞金をどう分ける?】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
確率を使った分配問題-優勝賞金をどう分ける?のレポート Topへ