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もう1つも同じである確率-追加情報は、確率にどう影響するか?
保険研究部 主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員 篠原 拓也
実は、この問題には、1人が男の子とわかったときに、もう1人も男の子である確率、という言い回しに、巧妙な仕掛けがある。性別が男とわかった1人目が、上の子か、下の子かを、敢えて明らかにしないことによって、『兄弟』『兄妹』『姉弟』の3つのパターンの可能性を残している。例えば、問題文を、上の子が男の子とわかったときに、下の子も男の子である確率、を問うものにすれば、『兄弟』『兄妹』のいずれかとなり、答えは2分の1になる。こう見ると、確率の問題というより、文章の読解力を問う、国語の問題のようでもある。
この問題では、最初に取り出したカードの中身が、その次に取り出したカードの中身によって、影響を受ける訳ではない。しかし、最初に取り出したカードがハートである確率の値は、その次に取り出したカードの情報によって変化する。これが、この問題のポイントとなる。例えば、もし、2枚目に取り出したカードが、ハート以外であったとすれば、箱に入れておいた最初のカードが、ハートである確率は、51分の13ということになる。
このように、確率は、与えられた情報が少し違っていたり、追加情報があったりすると、変化することがある。通常、ビジネスの世界では、様々な情報が、頻繁にやり取りされている。企業の経営者が、その情報をもとに、今後、進めるべき事業展開や、投資、事業撤退などの決断を下すこともある。その際、情報を伝える側も、受け取る側も、そのわずかな違いや、追加情報の有無が、確率の値に影響を与えることがあるということを、知っておくべきだと思われるが、いかがだろうか。
保険研究部 主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員
篠原 拓也 (しのはら たくや)
研究・専門分野
保険商品・計理、共済計理人・コンサルティング業務
03-3512-1823
(2016年06月06日「研究員の眼」)
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