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- 中国経済:景気指標の総点検(2024年夏季号)
2024年06月26日
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1.中国経済の概況
2024年1~3月期の実質GDP成長率は、前年同期比+5.3%と、前期(23年10~12月期)の+5.2%から伸びが小幅に加速した(図表-1)。また、季節調整後の前期比も+1.6%(年率換算+6.6%)と、前期(同+1.0%、年率換算+4.1%)から加速している。今年の成長率目標である「+5%前後」に対して、比較的好調な出だしとなった。
もっとも、好調の主因は外需となっている。内需改善の度合いについては、生産が堅調な一方、消費の勢いが弱いほか、不動産不況も続いているなど、5月にかけてまだら模様の状況が続いている。例えば、消費者信頼感指数は、雇用・所得の先行き、消費意欲ともに、マインドの強弱の境目である100を下回る状況が続いており、3月および4月には悪化する動きもみられる(図表-2)。また、5月の住宅販売面積は、一段の悪化は免れているものの、依然として前年比2割減となっている(図表-3)。
インフレ状況を見ると(図表-4)、工業生産者出荷価格(PPI)はマイナス圏での推移が続いているが、5月にはマイナス幅が縮小した。消費者物価(CPI)に関しては、0%近傍での推移を続けている。サービス価格の上昇幅も低下しつつあり、食品・エネルギーを除いても低水準での推移を続けている。
もっとも、好調の主因は外需となっている。内需改善の度合いについては、生産が堅調な一方、消費の勢いが弱いほか、不動産不況も続いているなど、5月にかけてまだら模様の状況が続いている。例えば、消費者信頼感指数は、雇用・所得の先行き、消費意欲ともに、マインドの強弱の境目である100を下回る状況が続いており、3月および4月には悪化する動きもみられる(図表-2)。また、5月の住宅販売面積は、一段の悪化は免れているものの、依然として前年比2割減となっている(図表-3)。
インフレ状況を見ると(図表-4)、工業生産者出荷価格(PPI)はマイナス圏での推移が続いているが、5月にはマイナス幅が縮小した。消費者物価(CPI)に関しては、0%近傍での推移を続けている。サービス価格の上昇幅も低下しつつあり、食品・エネルギーを除いても低水準での推移を続けている。
2.供給面の3指標
3.需要面の3指標
個人消費の代表指標である小売売上高を見ると(図表-9)、2024年4~5月は前年同期比+3.2%と、1~3月期(同+4.7%)から低下した。財、飲食とも同様の傾向にある。前期比でも一進一退の状況が続いており、消費の改善ペースは鈍い。
投資の代表指標である固定資産投資を見ると、4~5月は前年同期比+3.5%と、1~3月期(同+4.4%)から低下した(図表-10)。内訳を見ると、不動産開発投資は依然として前年同期比減の状況が続いており、不動産不況の影響に好転の兆しはみられない。一方、製造業の投資については23年に続き堅調な推移が続いている。内訳では、鉄鋼や窯業などの素材産業がやや低調な一方、その他の産業では堅調な推移がみられる。産業高度化の強化や設備更新の促進策が影響しているとみられる。インフラ投資には前月から減速している。中央・地方政府が23年中に債券を発行して調達した資金をいったん使い終わった後、24年の資金調達がまだ十分でないことから息切れしている可能性がある(図表-11)。
輸出および輸入(ドルベース)の状況を見ると(図表-12)、4~5月は、それぞれ前年同期比+4.4%、同+5.0%となり、いずれも1~3月期(同+1.5%、同+1.5%)から改善しており、外需の改善やシリコンサイクルの持ち直しの影響が表れていると考えられる。
投資の代表指標である固定資産投資を見ると、4~5月は前年同期比+3.5%と、1~3月期(同+4.4%)から低下した(図表-10)。内訳を見ると、不動産開発投資は依然として前年同期比減の状況が続いており、不動産不況の影響に好転の兆しはみられない。一方、製造業の投資については23年に続き堅調な推移が続いている。内訳では、鉄鋼や窯業などの素材産業がやや低調な一方、その他の産業では堅調な推移がみられる。産業高度化の強化や設備更新の促進策が影響しているとみられる。インフラ投資には前月から減速している。中央・地方政府が23年中に債券を発行して調達した資金をいったん使い終わった後、24年の資金調達がまだ十分でないことから息切れしている可能性がある(図表-11)。
輸出および輸入(ドルベース)の状況を見ると(図表-12)、4~5月は、それぞれ前年同期比+4.4%、同+5.0%となり、いずれも1~3月期(同+1.5%、同+1.5%)から改善しており、外需の改善やシリコンサイクルの持ち直しの影響が表れていると考えられる。
(2024年06月26日「Weekly エコノミスト・レター」)
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経歴
- 【職歴】
・2006年:みずほ総合研究所(現みずほリサーチ&テクノロジーズ)入社
・2009年:同 アジア調査部中国室
(2010~2011年:北京語言大学留学、2016~2018年:みずほ銀行(中国)有限公司出向)
・2020年:同 人事部
・2023年:ニッセイ基礎研究所入社
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
三浦 祐介のレポート
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