2024年04月08日

ロシアGDP(2023年10-12月期)-内需の強さが継続、高成長を維持

経済研究部 主任研究員 高山 武士

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1.結果の概要:前年比伸び率は低下したが、高い伸び率を維持

12月13日、ロシア連邦統計局は国内総生産(GDP)を公表し、結果は以下の通りとなった。
 

【実質GDP成長率(未季節調整系列)】
2023年10-12月期の前年同期比伸び率は4.9%、予想1(同5.3%)を上回り、前期(同5.7%)から低下した(図表1・2)

(図表1)ロシアの実質GDP成長率(需要項目別寄与度)/(図表2)ロシアの実質GDP成長率(供給項目別寄与度)
 
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。

2.結果の詳細:内需の強さが目立つ

ロシアの23年10-12月期の実質GDP伸び率は前年比4.9%となり、7-9月期(同5.7%)より低下したものの、昨年、ウクライナ侵攻後の落ち込みからの反動効果(ベース効果)もあり、高めの伸び率を維持した。季節調整系列の前期比は0.8%(年率換算3.1%)で、7-9月期(同0.9%、年率換算3.5%)とほぼ同水準の伸び率を記録した。また、過去データの改定により、ウクライナ侵攻後のGDP水準が総じて上方修正され、戦争前(21年10-12月期)と比較した水準は2.2%となった。23年暦年の前年比伸び率は3.6%で四半期別のGDP公表に先立って2月7日に公表された暦年数値の伸び率から変更はなかった。

産業別の伸び率は、前年比で第一次産業が▲4.9%、第二次産業が3.2%、第三次産業(金融・不動産)が4.7%、第三次産業(その他)が6.9%だった。前期比では第一次産業が▲2.9%、第二次産業が0.6%、第三次産業(金融・不動産)が2.5%、第三次産業(その他)が1.5%となり、第一次産業はマイナスとなったが、第二次産業・第三次産業が高めの成長で全体の伸びをけん引した(図表3)。より細かい産業の伸び率は、建設業(▲0.1%)、その他サービス(▲0.2%)、医療サービス(▲0.0%)はマイナスだったが、芸術・娯楽サービス(18.1%)、金融サービス(4.8%)、事務サービス(2.4%)が高い伸びを記録している(図表3)。
(図表3)ロシアの実質GDP成長率(23年10-12月期)
成長率を需要項目別に見ると、前年比伸び率では家計消費が7.3%、投資が8.1%、前期比伸び率では家計消費が1.0%、投資1.4%であり、内需の強さが目立つ(図表5)。実質輸出入のデータは公表されていないが、純輸出寄与度を逆算すると、前年比寄与度で▲5.3%ポイント(7-9月期は▲2.3%ポイント)で6四半期連続のマイナスとなっているため、輸入の伸びが輸出の伸びを上回った状態が続いていると見られる。
(図表4)ロシアの実質GDPの動向(供給項目別)/(図表5)ロシアの実質GDPの動向(需要項目別)
(図表6)ロシアの実質GDP成長率 10-12月期の名目成長率は前年比19.5%(7-9月期は16.3%)となった。GDPデフレータ伸び率は前年比13.9%と、7-9月期(10.0%)から加速、インフレ圧力の強さが反映された結果となった。

なお、24年以降の動向を経済発展省が公表する月次のGDP成長率(前年比)から確認すると、24年1月は4.6%、2月は7.7%となり、ベース効果の押し上げ要因を考慮しても、かなり強い数値となっている(図表6)。
 
 

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経済研究部   主任研究員

高山 武士 (たかやま たけし)

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

経歴
  • 【職歴】
     2002年 東京工業大学入学(理学部)
     2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
     2009年 日本経済研究センターへ派遣
     2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
     2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
     2014年 同、米国経済担当
     2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
     2020年 ニッセイ基礎研究所
     2023年より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

(2024年04月08日「経済・金融フラッシュ」)

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