2024年03月12日

企業物価指数2024年2月~政策効果一巡後も電気・都市ガスは前年比マイナス~

経済研究部 研究員 安田 拓斗

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1.電気・都市ガス・水道は8ヵ月連続で前年比マイナス

企業物価指数の推移 日本銀行が3月12日に発表した企業物価指数によると、2024年2月の国内企業物価は、前年比0.6%(1月:同0.2%)となった。

内訳をみると23類別中、16類別が上昇、7類別が低下となった。電力・都市ガス・水道は前年比▲21.9%(1月:同▲27.7%)と、8ヵ月連続でマイナスとなったが、2023年2月から開始された政府の激変緩和策の効果が一巡し、下落率が縮小したことで全体を押し上げた。飲食料品は前年比4.0%(1月:同4.5%)、非鉄金属は同3.6%(1月:同3.2%)とプラスとなった。
2月の国内企業物価の前月比は0.2%(1月:同0.0%)となった。内訳をみると23類別中、15類別が上昇、3類別が横ばい、5類別が低下となった。電力・都市ガス・水道は都市ガス、事業用電力などの品目が上昇し前月比0.8%(1月:同0.6%)、非鉄金属は同1.4%(1月:同▲0.1%)といずれもプラスで全体を押し上げた。一方、石油・石炭製品は前月比▲1.3%(1月:同▲0.8%)、電気機器は同▲0.1%(1月:同0.6%)といずれもマイナスとなった。
国内企業物価指数の推移/国内企業物価指数の前月比寄与度分解

2.契約通貨ベースの輸入物価は3ヵ月連続で前月比マイナス

輸入物価指数変化率の要因分解(契約通貨ベース) 輸入物価は、契約通貨ベースでは前月比▲0.2%(1月:同▲0.9%)と3ヵ月連続のマイナスとなった。内訳をみると、10類別中4類別で上昇、2類別で横ばい、4類別で低下となった。石油・石炭・天然ガスは液化天然ガス、原油、原料炭などの品目が低下したことで、前月比▲1.0%(1月:同▲2.9%)と3ヵ月連続でマイナスとなった。化学製品は前月比▲1.2%(1月:同0.9%)と2ヵ月ぶりにマイナスに転じた。

契約通貨ベースの前年比では、▲8.4%(1月:同▲8.7%)と11ヵ月連続のマイナスとなったが、マイナス幅は5ヵ月連続で縮小している。

円相場(対ドル)は前月比1.9%と2ヵ月連続のプラスとなり、輸入物価は円ベースで同1.1%(1月:同0.6%)と2ヵ月連続のプラスとなった。円ベースの前年比は0.2%(1月:▲0.1%)と11ヵ月ぶりにプラスとなった。

3.補助金縮小後はさらに国内企業物価の前年比上昇率は高まる見通し

国内企業物価指数の前年度寄与度分解 政府の電気・都市ガスへの激変緩和策は2023年2月に始められた。同政策の効果が一巡したことで電気・都市ガス・水道の前年比下落率が縮小し全体を押し上げた。

国内企業物価はこれまで横ばい圏での推移が続いてきたが、6月には電気・都市ガス価格の激変緩和策の補助金が縮小し、前年比1%程度まで高まる可能性がある。
 
 

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経済研究部   研究員

安田 拓斗 (やすだ たくと)

研究・専門分野
日本経済

経歴
  • 【職歴】
     2021年4月  日本生命保険相互会社入社
     2021年11月 ニッセイ基礎研究所へ

(2024年03月12日「経済・金融フラッシュ」)

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