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2024年02月26日
国内全体の不動産取引の動向(2023年)
米国の不動産市場調査会社であるMSCIリアル・キャピタル・アナリティクス(以下、売買データは同社の2024年2月13日時点の把握)によると、国内不動産市場の2023年の不動産取引総額は約5.9兆円、前年比は▲13.0%となった(図表1)。2023年第1四半期から第3四半期までの不動産取引累計額の前年同期比(▲3.3%)より悪化し、市場の減速傾向が強まった。
用途別取引額の割合は、物流施設が17.2%(前年比+6.6%)、商業施設が19.0%(+7.6%)、ホテルが9.8%(+2.7%)と増加し、オフィスが26.0%(▲11.3%)、開発用地が11.9%(▲3.3%)、賃貸マンションが15.2%(▲2.4%)と減少した。
2023年第4四半期の個別の大型取引では、J-REITによる取得が目立った。ジャパンエクセレント投資法人がグランフロント大阪を取得した。また、ケネディクス・オフィス投資法人が合併によりケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人とケネディクス商業リート投資法人の保有物件を吸収したことにより、184棟の住宅やヘルスケア施設などのポートフォリオ他を取得した。
用途別取引額の割合は、物流施設が17.2%(前年比+6.6%)、商業施設が19.0%(+7.6%)、ホテルが9.8%(+2.7%)と増加し、オフィスが26.0%(▲11.3%)、開発用地が11.9%(▲3.3%)、賃貸マンションが15.2%(▲2.4%)と減少した。
2023年第4四半期の個別の大型取引では、J-REITによる取得が目立った。ジャパンエクセレント投資法人がグランフロント大阪を取得した。また、ケネディクス・オフィス投資法人が合併によりケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人とケネディクス商業リート投資法人の保有物件を吸収したことにより、184棟の住宅やヘルスケア施設などのポートフォリオ他を取得した。
外国資本の国内不動産購入の動向(2023年)
2023年の外国資本による購入額は約1.4兆円で、前年同期比▲24.9%(図表2)、2023年第1四半期から第3四半期までの前年同期比(▲4.3%)から再びの悪化かつ大幅な減少となった。賃貸マンションポートフォリオへの投資件数の減少などから、取得件数は前年の4分の1程度、取得棟数は半分以下に留まった。
用途別購入額の割合は、物流施設が25.8%(前年比+14.9%)、ホテルが23.4%(+13.5%)、商業施設が15.4%(+6.2%)と増加した。一方、オフィスが5.4%(▲27.2%)、賃貸マンションが17.4%(▲6.1%)、開発用地が12.0%(▲1.3%)と減少した。
2023年第4四半期の個別の大型取引では、シンガポールのデータセンター特化型リートであるデジタル・コアリートがデジタル大阪2 (KIX11)を、アリサ・パートナーズとインベスコ・リアル・エステートが15棟の賃貸マンションポートフォリオを取得した。
用途別購入額の割合は、物流施設が25.8%(前年比+14.9%)、ホテルが23.4%(+13.5%)、商業施設が15.4%(+6.2%)と増加した。一方、オフィスが5.4%(▲27.2%)、賃貸マンションが17.4%(▲6.1%)、開発用地が12.0%(▲1.3%)と減少した。
2023年第4四半期の個別の大型取引では、シンガポールのデータセンター特化型リートであるデジタル・コアリートがデジタル大阪2 (KIX11)を、アリサ・パートナーズとインベスコ・リアル・エステートが15棟の賃貸マンションポートフォリオを取得した。
世界とアジア太平洋地域の売買動向
2023年の世界の不動産取引額は約1兆1,906億ドル(前年同期比▲37.1%、約167.9兆円)と、世界金融危機後で最も大きく取引額が減少した。エリア別ではアジア太平洋が約6,883億ドル(▲20.1%、約97.1兆円)と減少し、南北アメリカが約3,293億ドル(▲52.5%、約46.4兆億円)、欧州・中東・アフリカが約1,731億ドル(▲48.8%、約24.4兆円)と両エリアとも半分程度に減少した(図表3)。また国別の取引額は、日本を含めたいずれの主要市場でも減少した。
都市別ではアメリカの都市の取引額が減少したもののまだ多く、東京の取引額は4位となった。また上海は7位となったが、中国国内の取引は破綻物件の取引が多いようだ(図表4)。
また、2023年の世界全体において、最も不動産取得額の多い事業者はGIC(シンガポール政府投資公社)であった。世界中での取得額は約200億ドル弱(約2兆8,206億円)となり、北米とアジアではいずれも不動産取得総額が1位となった1。
都市別ではアメリカの都市の取引額が減少したもののまだ多く、東京の取引額は4位となった。また上海は7位となったが、中国国内の取引は破綻物件の取引が多いようだ(図表4)。
また、2023年の世界全体において、最も不動産取得額の多い事業者はGIC(シンガポール政府投資公社)であった。世界中での取得額は約200億ドル弱(約2兆8,206億円)となり、北米とアジアではいずれも不動産取得総額が1位となった1。
1 また次いで取得が多い事業者は、米投資会社のブルー・アウル・キャピタル、ブラック・ストーン(いずれも北米への投資が中心)であった。ブラック・ストーンは、一方で2023年に最も売却が多い事業者であり、取得額はネットでマイナスとなっている。
日本資本による海外不動産投資は大幅増加
2023年の各国資本のアジア太平洋地域への不動産投資額はシンガポール資本が77.7億ドル(2020年-2022年平均比▲24.9%)、アメリカ資本が73.1億ドル(▲48.7%)、カナダ資本が10.7億ドル(▲74.9%)、ヨーロッパ資本が13.4億ドル(▲79.0%)と減少した。アジア太平洋地域内の各国市場や各資本の本国では金利上昇により不動産の理論価格が下落しているところが多く、市場の投資家心理が冷え込んでいると見られる。一方、日本資本は22.3億ドル(+210.5%)、中国資本は23.6億ドル(+11.6%)と増加した(図表5)。日本の不動産市場は低金利環境の継続から例外的に堅調な市況を維持して投資家の投資意欲が強く、これに加えて国内人口の減少や経済の低成長などを背景に、まだ金額的には少ないが、海外へリスク分散投資が進んでいると見られる2。
アジア太平洋地域内の都市別取引額では、東京は約180.4億ドル(前年比▲21.3%)で1位、大阪は37.2億ドル(+21.1%)で9位となった(図表6)。
アジア太平洋地域内の都市別取引額では、東京は約180.4億ドル(前年比▲21.3%)で1位、大阪は37.2億ドル(+21.1%)で9位となった(図表6)。
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経歴
- 【職歴】
2000年 東海銀行(現三菱UFJ銀行)入行
2006年 総合不動産会社に入社
2018年5月より現職
・不動産鑑定士
・宅地建物取引士
・不動産証券化協会認定マスター
・日本証券アナリスト協会検定会員
・2022年、2023年 兵庫県都市計画審議会専門委員
公式SNSアカウント
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