- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 不動産 >
- 不動産市場・不動産市況 >
- 首都圏中古マンション市場の動向(2023年11月)~お手頃価格の中古マンションを見つけるのは困難に
首都圏中古マンション市場の動向(2023年11月)~お手頃価格の中古マンションを見つけるのは困難に

金融研究部 准主任研究員 渡邊 布味子
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
2023年11月の中古マンションの成約価格は上昇傾向が続いているが、成約件数は2022年半ば以降は横ばい傾向である。一方、成約率は低下して2019年ごろの水準に戻っており、在庫となる中古マンションが増加している。
新築マンションは価格が高騰し供給も制限されていることから、もともとは新築マンションを買おうと考えていた人がお手ごろ価格に惹かれて中古マンションを購入するとすれば、成約件数はもっと増えてもよいはずである。しかし、中古マンションを買いたい人は新しく売り出された中古マンションのうち築年が浅いマンションを購入し、築年が古いマンションは在庫として売れ残っている。そもそも新築マンションの販売が8割を占めていた国内住宅市場においては、築年が古いマンションの供給が増えてもそれを買いたい人は増えにくいのだろう。
価格帯別では、3,000万以下のマンションは成約件数も在庫件数も減少傾向で、この価格帯の売り出し物件を見つけるのは今後困難となるだろう。また7,000万円超のマンションは、マンションを購入したい人の希望に合致するようにリフォームが施されていると考えられ、従来は新築マンションにくらべて売れ行きの悪かった中古マンションの流動化に貢献していると考える。なお、在庫が増加している4,000万円超7,000万円以下では、中間層のマンション購入予算を販売価格が上回ってきている可能性や、今が最も高値で売り時だと考えているマンション所有者が増加している可能性がある。
競争力が相対的に劣るマンションが築25年を超える場合、売却には時間を要する可能性が高くなるだろう。一方、今後も新築マンションの供給は減り続け、お手頃価格の中古マンションについても供給が不足すると予想される。中古マンションを買いたい人は、探し始める前に妥協できる部分と妥協したくない部分を事前によく検討しておき、実際に中古マンションを購入するかどうかの判断をする場面では、設備不良や近隣の環境等を十分に確認しつつも、出来るだけ早く決断できるよう準備しておく必要がある。但し、決断が付かない場合は、あまり慌てて決断せず、市況の好転を気長に待つという選択肢もあると思う。
■目次
・首都圏中古マンションの価格は上昇が続き、成約件数は横ばいに
・在庫は増加傾向、成約率は低下傾向
・売り出されるマンションの築年が古くなっている
・お手頃価格のマンションが市場から消えている
・中古マンションを購入したい人は求める条件をよく整理して決断の準備を
(2023年12月21日「不動産投資レポート」)

03-3512-1853
- 【職歴】
2000年 東海銀行(現三菱UFJ銀行)入行
2006年 総合不動産会社に入社
2018年5月より現職
・不動産鑑定士
・宅地建物取引士
・不動産証券化協会認定マスター
・日本証券アナリスト協会検定会員
・2022年、2023年 兵庫県都市計画審議会専門委員
渡邊 布味子のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/03/19 | マンションと大規模修繕(6)-中古マンション購入時には修繕・管理情報の確認・理解が大切に | 渡邊 布味子 | 基礎研レター |
2025/02/26 | 不動産投資市場動向(2024年)~グローバルプレゼンスが向上する日本市場。2024年の取引額は世界金融危機後の最高額に | 渡邊 布味子 | 不動産投資レポート |
2024/12/19 | 首都圏中古マンション市場動向(2024年11月)~「成約件数横ばい・成約価格横ばい」の局面に移行。東京では新規登録価格と成約価格の逆転も | 渡邊 布味子 | 基礎研レター |
2024/10/31 | 首都圏新築マンション市場の動向(2024年9月)~マンション発売戸数は今後も低水準にとどまる見通し | 渡邊 布味子 | 不動産投資レポート |
新着記事
-
2025年03月19日
日銀短観(3月調査)予測~大企業製造業の業況判断DIは2ポイント低下の12と予想、トランプ関税の影響度に注目 -
2025年03月19日
孤独・孤立対策の推進で必要な手立ては?-自治体は既存の資源や仕組みの活用を、多様な場づくりに向けて民間の役割も重要に -
2025年03月19日
マンションと大規模修繕(6)-中古マンション購入時には修繕・管理情報の確認・理解が大切に -
2025年03月19日
貿易統計25年2月-関税引き上げ前の駆け込みもあり、貿易収支(季節調整値)が黒字に -
2025年03月19日
米住宅着工・許可件数(25年2月)-着工件数(前月比)は悪天候から回復し、前月から大幅増加、市場予想も上回る
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
【首都圏中古マンション市場の動向(2023年11月)~お手頃価格の中古マンションを見つけるのは困難に】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
首都圏中古マンション市場の動向(2023年11月)~お手頃価格の中古マンションを見つけるのは困難にのレポート Topへ