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天気予報の精度-適中率さえ高ければ、よい天気予報といえる?
![](https://www.nli-research.co.jp/files/topics/30_ext_01_0.jpeg?v=1710402342)
保険研究部 主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員 篠原 拓也
◇ 予報しやすい状況と、しにくい状況の予報精度の違いもスキルスコアで表現できる
ここで、降水ありの出現確率を20%としていた(1)の事例に対して、降水ありの出現確率が30%、40%、50%と上昇していった場合の事例である(5)、(6)、(7)を考えてみよう。(1)は雨季と乾季がはっきりしていて予報しやすい状況、(5)、(6)、(7)と移るにつれて、晴れの日と雨の日が繰り返すような予報のしにくさが強くなっていく状況を表している。
つまり、予報しやすい状況と、しにくい状況の予報精度の違いも、スキルスコアであれば表現できる。
なお、適中率は0~100% の範囲の数値となるに対して、スキルスコアは -100%~100% の範囲の数値となるので、少し注意が必要だ。
◇ 降水ありの予報に注目する指標もある
そして、スレットスコアの分子と分母から、気候学的に期待される降水ありの適中回数を除いた「エクイタブルスレットスコア」という指標もある。(1)の事例で言えば、23.1%(=(10-4)/(10+10+10-4))となる。
これらは、雨(または雪)が降るとの予報に特化して、その精度を的確に捉えるための指標と言える。
ひと口に、天気予報の精度を測るための指標と言っても、さまざまなものがあるわけだ。
◇ 台風などの予想や精度を公表して災害に対する心構えや準備を促す
これらを予想してその精度を測ることは、天気予報とは別の困難さを伴うだろう。だが、こうした予想や精度の計測、公表ができれば、災害に対する人々の心構えや準備を促すことにつながるかもしれない。
今後も、天気予報とあわせて、予報精度向上への取り組みにも注目していく必要があると言えるだろう。
(参考文献)
「天気予報の精度検証結果」(気象庁ホームページ)
https://www.data.jma.go.jp/yoho/kensho/yohohyoka_top.html
「数値予報研修テキストで用いた表記と統計的検証に用いる代表的な指標」(数値予報解説資料(数値予報研修テキスト), 第52巻(令和元年度)最近の数値予報システムとガイダンスの改良について, 付録D, 気象庁)
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/books/nwptext/52/Appendix_D.pdf
「気象統計」高橋浩一郎著(氣象学講座 第8巻, 地人書館, 1956年)
(2024年01月23日「研究員の眼」)
![](https://www.nli-research.co.jp/files/topics/30_ext_01_0.jpeg?v=1710402342)
保険研究部 主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員
篠原 拓也 (しのはら たくや)
研究・専門分野
保険商品・計理、共済計理人・コンサルティング業務
03-3512-1823
- 【職歴】
1992年 日本生命保険相互会社入社
2014年 ニッセイ基礎研究所へ
【加入団体等】
・日本アクチュアリー会 正会員
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