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- 消費者物価(全国23年12月)-コアCPIは24年1月に2%割れも、2月には2%台後半まで伸びが高まる見込み
2024年01月19日
1.コアCPI上昇率は前月から0.2ポイント縮小
![消費者物価指数の推移](https://www.nli-research.co.jp/files/topics/77280_ext_15_0.jpg?v=1705627183)
食料(生鮮食品を除く)の伸びが鈍化したこと、エネルギーの下落率が拡大したことがコアCPI上昇率を押し下げた。
生鮮食品及びエネルギーを除く総合(コアコアCPI)は前年比3.7%(11月:同3.8%)、総合は前年比2.6%(11月:同2.8%)であった。
23年12月分と同時に公表された23年のコアCPIは前年比3.1%(22年:同2.3%)、コアコアCPIは前年比4.0%(22年:同1.1%)、総合は前年比3.2%(22年:同2.5%)といずれも前年から伸びを高めた。
コアCPIの内訳をみると、ガソリン(11月:前年比3.9%→12月:同4.5%)、灯油(11月:前年比1.9%→12月:同3.2%)の上昇率は高まったが、電気代(11月:前年比▲18.1%→12月:同▲20.5%)、ガス代(11月:前年比▲11.6%→12月:同▲13.8%)の下落率が拡大したことから、エネルギー価格の下落率は11月の前年比▲10.1%から同▲11.6%へと拡大した。
食料(生鮮食品を除く)は前年比6.2%(11月:同6.7%)となり、23年8月の同9.2%をピークに鈍化傾向が続いている。前年の上昇ペースが速かったことの裏が出ている面もあるが、12月は前月比▲0.1%の下落となっており、価格転嫁の動きが止まりつつある。乳卵類(同13.0%)、牛乳・乳製品(同10.6%)は引き続き前年比で二桁の高い伸びとなっているが、伸び率が鈍化する品目が増えている。外食は23年3月の前年比6.9%をピークに鈍化傾向が続いており、12月は同3.6%(11月:同4.0%)となった。
食料(生鮮食品を除く)は前年比6.2%(11月:同6.7%)となり、23年8月の同9.2%をピークに鈍化傾向が続いている。前年の上昇ペースが速かったことの裏が出ている面もあるが、12月は前月比▲0.1%の下落となっており、価格転嫁の動きが止まりつつある。乳卵類(同13.0%)、牛乳・乳製品(同10.6%)は引き続き前年比で二桁の高い伸びとなっているが、伸び率が鈍化する品目が増えている。外食は23年3月の前年比6.9%をピークに鈍化傾向が続いており、12月は同3.6%(11月:同4.0%)となった。
![消費者物価(生鮮食品を除く総合)の要因分解](https://www.nli-research.co.jp/files/topics/77280_ext_15_2.jpg?v=1705627183)
コアCPI上昇率を寄与度分解すると、エネルギーが▲1.06%(11月:▲0.91%)、食料(除く生鮮食品・外食)が1.34%(11月:1.43%)、その他財が0.93%(11月:0.84%)、サービスが0.81%(11月:0.87%)、全国旅行支援が0.28%(11月:0.27%)であった。
2.物価上昇品目数が減少
![消費者物価(除く生鮮食品)の「上昇品目数(割合)-下落品目数(割合)」](https://www.nli-research.co.jp/files/topics/77280_ext_15_3.jpg?v=1705627183)
上昇品目数の割合は依然として高水準だが、食用油(前年比▲5.7%)、マーガリン(同▲2.5%)などのように、前年の価格水準が非常に高かった食料品を中心に、その裏が出ることで下落に転じる品目が目立ち始めている。
3.コアCPI上昇率は24年度入り後も2%台が続く見込み
コアCPI上昇率は、政府による各種支援策に左右される展開が続いているが、基調としては上昇ペースの鈍化傾向が続いており、電気・都市ガス代の下落率拡大、全国旅行支援停止の影響縮小などから、24年1月には1.9%と22年3月以来の2%割れとなることが予想される。ただし、2月には前年同月に開始された激変緩和措置による押し下げが一巡し、電気代、都市ガス代の下落率が大きく縮小することから、コアCPIは一気に2%台後半まで伸びを高める可能性が高い。
また、サービス価格は23年のベースアップを若干上回る2%台前半の伸びとなっているが、人件費の増加を価格転嫁する動きが広がっていることから、先行きも2%台の伸びが続く公算が大きい。
コアCPI上昇率は、24年4月末までとなっている電気代、都市ガス代、ガソリン、灯油等に対する激変緩和措置が、規模を縮小した上でさらに延長されることを前提として、24年度前半まで2%台を続けた後、24年度後半には食料など財価格の上昇率鈍化を主因として、1%台後半まで低下することが予想される。
また、サービス価格は23年のベースアップを若干上回る2%台前半の伸びとなっているが、人件費の増加を価格転嫁する動きが広がっていることから、先行きも2%台の伸びが続く公算が大きい。
コアCPI上昇率は、24年4月末までとなっている電気代、都市ガス代、ガソリン、灯油等に対する激変緩和措置が、規模を縮小した上でさらに延長されることを前提として、24年度前半まで2%台を続けた後、24年度後半には食料など財価格の上昇率鈍化を主因として、1%台後半まで低下することが予想される。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2024年01月19日「経済・金融フラッシュ」)
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![](https://www.nli-research.co.jp/files/topics/45_ext_01_0.jpeg?v=1554184776)
03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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