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東京オフィス賃料は下落継続。物流市場は大量供給の影響で空室率が上昇-不動産クォータリー・レビュー2023年第3四半期
基礎研REPORT(冊子版)12月号[vol.321]

金融研究部 主任研究員 吉田 資
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住宅市場では、価格が上昇するなか、前期まで低調であった販売状況は回復に向かっている。地価は住宅地、商業地ともに上昇している。
オフィス賃貸市場は、東京Aクラスビルの成約賃料(月坪)が前期比▲3.9%下落した。東京23区のマンション賃料は全ての住居タイプが前年比でプラスとなった。ホテル市場は7-9月の延べ宿泊者数がコロナ禍前の水準を回復した。物流賃貸市場は、新規供給の影響を受けて首都圏・近畿圏ともに空室率が上昇している。第3四半期の東証REIT指数は▲0.1%下落した。
1―経済動向と住宅市場
ニッセイ基礎研究所は、9月に経済見通しの改定を行った。実質GDP成長率は2023年度+1.5%、2024年度+1.4%を予想する。海外経済の減速から輸出が景気の牽引役となることは当面期待できないものの、内需中心の成長が続く見通しである。
7-9月の首都圏のマンション新規発売戸数は累計では6,180戸(前年同期比+13.1%)となり5四半期ぶりに増加した[図表1]。9月の平均価格は6,727万円(前年同月比+1.1%)、初月契約率は67.7%(同+6.1%)で、価格が上昇基調で推移するなか、初月契約率は前年同期を上回った。
7-9月の首都圏の中古マンション成約件数は8,794件(前年同期比+4.2%)となり、9四半期ぶりに増加した。9月の中古マンション平均価格は4,618万円(前年同月比+4.5%)、となった。中古マンション市場では取引価格の上昇が続いている。
2―地価動向
3―不動産サブセクターの動向
三幸エステート公表の「オフィスレント・インデックス」によると、2023年第3四半期の東京都心部Aクラスビル賃料(月坪)は24,652円(前期比▲3.9%)に下落し、空室率は6.7%(前期比+0.8%)に上昇した[図表2]。三幸エステートは、「新規供給のピークは過ぎたものの、新築ビルや建築中ビルがテナント誘致に時間を要する傾向は続いている」としている。
ニッセイ基礎研究所は、東京都心部Aクラスビルの賃料見通しを9月に改定した。空室率は、新規供給が一旦落ち着く2024 年にやや改善した後、6%前後で推移すると予測する。また、成約賃料は、現時点とほぼ同水準となる2万6千円近辺で推移する見通しである。
4―J -REIT(不動産投信)市場
もっとも、金利上昇が即、価格下落につながるわけではない。例えば、米国リート市場は10年金利が年初より0.7%上昇した一方、リスクプレミアムが0.4%縮小し金利上昇の痛みを緩和する効果をもたらしている。また、日本では現状、金利の先高観が強いものの、Jリート市場のリスクプレミアム(3.4%)は米国(▲0.1%)と比べて十分に厚く、ある程度金利上昇への備えができていると言える。引き続き、市場金利とあわせてリスクプレミアムの動向にも注意を払う必要がありそうだ。
(2023年12月07日「基礎研マンスリー」)
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03-3512-1861
- 【職歴】
2007年 住信基礎研究所(現 三井住友トラスト基礎研究所)
2018年 ニッセイ基礎研究所
【加入団体等】
一般社団法人不動産証券化協会資格教育小委員会分科会委員(2020年度~)
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