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わが国のサードプレイスオフィス市場の現況 -2023年-(1)~東京23区での集積が進む一方、主要政令指定都市以外の割合も4割に達する

金融研究部 主任研究員 吉田 資
主要政令指定都市別に確認すると、三大都市は、いずれも「1分以内」の占める割合が3割以上を占めた(東京都心5区36%・東京周辺18区31%・大阪市38%・名古屋市36%)。
一方、主要指定都市以外の地域では、「車(バス)利用」の拠点も一定の割合を占める。都道府県別にみると、「車(バス)利用」の占める割合が2割を超える自治体は、「21」に達する(参考図表-1)。大都市圏以外の地域では、主な移動手段が自家用車やバスであることも多く、幹線道路沿いの建物にサードプレイスオフィスが入居している事例がみられる。
(3)-1 ドロップインサービス
サードプレイスオフィスは、利用者が月極契約によりスペースを日常的に利用するサービス(「メンバーシップ」)のほか、1日または時間単位で利用料を支払い、一時利用するサービス(「ドロップイン」)12がある。
サテライトオフィスの利用形態の1つとして、「タッチダウン利用」(移動の合間など、短時間利用)が想定され、「ドロップイン」サービスの利用ニーズは高いと考えられる。
全国のサードプレイスオフィスで、「ドロップイン」サービスを展開している拠点の割合は60%となった(図表-9)。主要政令指定都市においては、「東京都心5区」(42%)が最も低い水準で、次いで「大阪市」(45%)、「名古屋市」(47%)が低く、三大都市がいずれも低位となった。
先行研究13によれば、サードプレイスオフィスは、使い方によって、(1)メインオフィス型14、(2)テレワーク支援型15、(3)目的特化型(起業・新規事業開発、コワーキング等)、に大別できる。三大都市では、(1)メインオフィス型や(3)目的特化型の拠点が多いと考えられる。(1)や(3)に分類される拠点は、基本的に「メンバーシップ」での利用を想定しており、「ドロップイン」のサービスを提供していない施設もみられることから、三大都市が低位に留まったと考えられる。
12 一般財団法人 大都市政策研究機構 「日本のコワーキングスペースの拡大」調査研究レポート、2022年2月25日
13 ザイマックス不動産総合研究所 「フレキシビルオフィスのタイプ分類」TOPIC REPORT、2023年5月2日
14 個人事業主や小規模企業がメインオフィスとして利用。大企業の一部署やプロジェクト拠点として利用。
15 移動の合間のタッチダウン利用。自宅で働く環境が整備できていないワーカーが自宅近くの拠点を利用。
ザイマックス不動産総合研究所「首都圏オフィスワーカー調査 2021」によれば、「出社したいと思うオフィスの条件」について、「業務に集中できる個室がある(47%)」との回答が最も多かった。また、新型コロナウィルス感染拡大時は、不特定多数の利用者が出入りし、人との接触機会が多いオープンスペースの利用を控えて、「個室」の利用ニーズが一層高まった。
全国のサードプレイスオフィスで、「個室」を有する拠点の割合は59%となった(図表-10)。主要政令指定都市においては、「東京都心5区(76%)」と「横浜市(76%)」が最も高く、次いで「さいたま市(75%)」が高かった。
都道府県別にみると、1都3県はいずれも60%を超えた一方、30%未満の都道府県は「10」を数え、大都市圏と地方で差が生じている(参考図表-3)。
(2023年11月30日「不動産投資レポート」)
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- 【職歴】
2007年 住信基礎研究所(現 三井住友トラスト基礎研究所)
2018年 ニッセイ基礎研究所
【加入団体等】
一般社団法人不動産証券化協会資格教育小委員会分科会委員(2020年度~)
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