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わが国のサードプレイスオフィス市場の現況 -2023年-(1)~東京23区での集積が進む一方、主要政令指定都市以外の割合も4割に達する
                                                金融研究部 上席研究員 吉田 資
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1.はじめに
また、政府は、都市部から地方へのヒト・情報の流れを創出する目的で、地方公共団体のサテライトオフィス誘致の取組を「お試しサテライトオフィス」事業などにより支援を行っている。総務省の調査によれば、地方公共団体が誘致又は関与したサテライトオフィスの開設数は、2017年度の429拠点から2021年度の1,348拠点へと約3倍に増加した4(図表-2)。
このように、大都市圏、地方の両方において、「サテライトオフィス」が増加している。「サテライトオフィス」を開設する場所として、「レンタルオフィス5」や「シェアオフィス6」、「コワーキングスペース7」等の「サードプレイスオフィス」を利用するケースが増えている。
1 企業または団体の本社、本拠から離れた所に設置されたオフィス(支社や支店、営業所等)。
2 調査対象企業の従業員規模は、「100人未満」の企業が50%、「100人以上1000人未満」が33%、「1000人以上」が17%。
3 東京都、大阪府、愛知県、福岡県、神奈川県、埼玉県、千葉県
4 同調査によれば、新規開設したサテライトオフィスの64%が独自事務所、34%がシェアオフィスであったとのことである。
5 会議室などを共用部分に設置して共有し、専用の個室をそれぞれ持つ、いわば合同事務所のようなオフィス形態。
6 フリーアドレスでデスクを共有して利用するオフィス形態。
7 オープンなワークスペースを共用し、各自が自分の仕事をしながらも、自由にコミュニケーションを図ることで情報や知見を共有し、協業パートナーを見つけ、互いに貢献しあう「ワーキング・コミュニティ」の概念およびそのスペース(コワーキング協同組合による定義)。
2.サードプレイスオフィスの現況
日本全国のサードプレイスオフィス拠点数(2023年10月時点)は、3,918拠点であった8。都道府県別にみると、「東京都」(1,561拠点・占率40%)が最も多く、次いで「神奈川県」(326拠点・8%)、「大阪府」(306拠点・8%)の順に多かった。100拠点を超えた都道府県の数は「8」(埼玉県・千葉県・愛知県・兵庫県・福岡県)であった(図表-3)。
先行研究(2014年時点)によれば、東京都に全国の37%、三大都市圏9には約三分の二(66%)の拠点が立地していた。本調査においても、東京都が全国の4割、三大都市圏が約4分の3(72%)を占めており、三大都市圏に集中している傾向に変化はないようだ。
日本不動産研究所「全国オフィスビル調査」によれば、全国のオフィスビルストック(棟数ベース)において、「三大都市」が占める割合は64%(東京23区:47%、大阪市:12%、名古屋市:5%)、「主要都市」の割合は18%、「その他の地域」の割合は18%であった。サードプレイスオフィスは、三大都市圏の郊外部(東京23区、大阪市、名古屋市以外)や地方都市において、オフィスビルのストック分布に比して多く供給されているようだ。
8 サードプレイスオフィスのポータルサイト、サードプレイスオフィスの運用会社HPに公表している情報を集計。鉄道駅等に設置されている一人用の個室ボックスは調査対象から除外している。
9 首都圏が東京都,神奈川県,埼玉県,千葉県,中京圏 が 愛知県,岐阜県,三重県,近畿圏が 大阪府,京都府,兵庫県,滋 賀県,奈良県,和歌山県
10 東京23区、大阪市、名古屋市
11 札幌市、仙台市、さいたま市、千葉市、横浜市、京都市、神戸市、広島市、福岡市
(2023年11月30日「不動産投資レポート」)
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- 【職歴】
2007年 住信基礎研究所(現 三井住友トラスト基礎研究所)
2018年 ニッセイ基礎研究所
2025年7月より現職
【加入団体等】
一般社団法人不動産証券化協会資格教育小委員会分科会委員(2020年度~) 
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