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- 2023~2025年度経済見通し(23年11月)
2023年11月16日
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(物価の見通し)
消費者物価(生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は、2023年1月に前年比4.2%と1981年9月以来41年4ヵ月ぶりの高い伸びとなった後、政府による電気・都市ガス代の負担緩和策の影響で2月以降は3%台前半で推移し、9月には前年比2.8%と13ヵ月ぶりに3%を割り込んだ。しかし、コアコアCPI(生鮮食品及びエネルギーを除く総合)は6ヵ月連続で4%台前半の高い伸びとなっており、基調的な物価上昇圧力は高い状態が続いている。
今回の物価上昇は、円安、原油高に伴う輸入物価の急上昇を起点としたものだった。2023年前半には円安、原油高が一服し輸入物価が下落したが、このところ円安が再び進行しており、1ドル=150円台前半となっている。
消費者物価(生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は、2023年1月に前年比4.2%と1981年9月以来41年4ヵ月ぶりの高い伸びとなった後、政府による電気・都市ガス代の負担緩和策の影響で2月以降は3%台前半で推移し、9月には前年比2.8%と13ヵ月ぶりに3%を割り込んだ。しかし、コアコアCPI(生鮮食品及びエネルギーを除く総合)は6ヵ月連続で4%台前半の高い伸びとなっており、基調的な物価上昇圧力は高い状態が続いている。
今回の物価上昇は、円安、原油高に伴う輸入物価の急上昇を起点としたものだった。2023年前半には円安、原油高が一服し輸入物価が下落したが、このところ円安が再び進行しており、1ドル=150円台前半となっている。

2022年1月から実施されてきたガソリン、灯油等に対する燃料油価格激変緩和措置は、2023年6月以降補助率が段階的に引き下げられ、9月末には終了する予定となっていた。しかし、円安、原油高の再進行を受けて、政府は同措置を年末まで延長することとし、11月に閣議決定された経済対策では同措置を4月末まで延長することとした。また、2023年2月から実施されている電気・都市ガス代の激変緩和措置は、10月に値引き額を半減した上で、2024年4月末まで延長し、5月には激変緩和の幅を縮小するとした。
足もとのガソリン店頭価格は、補助金がなければ1リットル当たり200円程度となっており、円高、原油安が大きく進まない限り、2024年春頃でも政府が目標としている175円を大きく上回る。また、補助額が一定となっている電気代、都市ガス代は、燃料価格の上昇を反映し今後は上昇することが見込まれる。2024年4月末までとなっている激変緩和措置は5月以降も継続される公算が大きい。

この結果、激変緩和措置による消費者物価上昇率への影響は、2023年10-12月期まではコアCPI上昇率の押し下げ要因となるが、2024年1-3月期以降は押し上げ要因となるだろう。激変緩和措置によるコアCPI上昇率への影響を年度ベースでみると、2022年度が▲0.7%程度、2023年度が▲0.3%程度、2024年度が0.5%程度、2025年度が0.4%程度となることが見込まれる。
物価高の主因となっていた輸入物価の上昇にはいったん歯止めがかかり、2023年10月の輸入物価は前年比▲11.7%と5ヵ月連続で前年比二桁の下落となったが、円安の再進行などを受けて前月比では3ヵ月連続の上昇となった。財価格の上昇率はピークアウトしているが、先行きについては原材料コストを価格転嫁する動きが再び広がることが見込まれる。
また、賃金との連動性が高いサービス価格は2023年9月に前年比2.0%と、2023年のベースアップと同程度の伸びとなったが、長期にわたって価格が据え置かれてきたこともあり、上昇率がさらに高まる可能性が高い。
コアCPI上昇率は足もとの2%台後半から徐々に鈍化するが、日銀の物価目標である2%を割り込むのは、円安による押し上げ効果が減衰し、食料品などの財価格の上昇率の鈍化が見込まれる2024年度後半となることが予想される。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2023年11月16日「Weekly エコノミスト・レター」)
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03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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