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- IMF世界経済見通し-見通しはほぼ不変、下方リスクはさらに軽減
2023年10月11日
1.内容の概要:23年見通しは不変、24年見通しは小幅に下方修正
2.内容の詳細:米国は上方修正されたが、ユーロ圏や中国は下方修正
IMFは、今回の見通しを「格差広がる世界の舵取り(Navigating Global Divergences)」と題して作成した1。
世界経済成長率(ベースライン)は、今年23年が不変、24年がやや下方修正された(23年3.0(改訂前)→3.0%(改訂後)、24年3.0→2.9%)。ただし、国ごとに見ると米国で上方修正、ユーロ圏や中国では下方修正という上下双方の効果が相殺されている形になっている。なお、世界成長率は23年・24年のいずれも過去平均(00-19年)の成長率(3.8%)を大きく下回る。
世界経済成長率(ベースライン)は、今年23年が不変、24年がやや下方修正された(23年3.0(改訂前)→3.0%(改訂後)、24年3.0→2.9%)。ただし、国ごとに見ると米国で上方修正、ユーロ圏や中国では下方修正という上下双方の効果が相殺されている形になっている。なお、世界成長率は23年・24年のいずれも過去平均(00-19年)の成長率(3.8%)を大きく下回る。
成長率見通しを地域別に見ると(前掲図表2、図表4)、先進国は23年・24年ともに不変だった(23年1.5→1.5%、24年1.4→1.4%)。
このうち米国は、雇用の堅調さを背景にした消費の底堅さ、および投資の強さを反映して、23年・24年ともに上方修正された(23年1.8→2.1%、24年1.0→1.5%)。
ユーロ圏は、下方修正され(23年0.9→0.7%、24年1.5→1.2%)、特に、金利敏感業種や外需が弱いドイツの下方修正が目立っている(23年▲0.3→▲0.5%、24年1.3→0.9%)。
英国は23年がやや上方修正、24年が下方修正となった(23年0.4→0.5%、24年1.0→0.6%)。金融引き締めや交易条件の悪化の影響で低成長が続くと予想されている。
日本はペントアップ需要、インバウンドの急増、自動車産業の供給制約の緩和を受けて23年の成長率が上方修正されている(23年1.4→2.0%、24年1.0→1.0%)。
新興国・途上国は、23年が小幅下方修正、24年が上方修正となった(23年4.1→4.0%、24年4.1→4.7%)。
このうち大国である中国は不動産危機の影響により投資が鈍化するとして見通しが下方修正されている(23年5.2→5.0%、24年4.5→4.2%)。
同じく大国であるインドは足もとの消費の力強さを受けて23年度が上方修正されている(23年度6.1→6.3%、24年6.3→6.3%)。
ロシアは、大規模な財政刺激策、投資の強さ、労働市場のひっ迫を反映した消費の底堅さを受けて23年の成長率が大幅に上方修正されている(23年1.5→2.2%、24年1.3→1.1%)。
このうち米国は、雇用の堅調さを背景にした消費の底堅さ、および投資の強さを反映して、23年・24年ともに上方修正された(23年1.8→2.1%、24年1.0→1.5%)。
ユーロ圏は、下方修正され(23年0.9→0.7%、24年1.5→1.2%)、特に、金利敏感業種や外需が弱いドイツの下方修正が目立っている(23年▲0.3→▲0.5%、24年1.3→0.9%)。
英国は23年がやや上方修正、24年が下方修正となった(23年0.4→0.5%、24年1.0→0.6%)。金融引き締めや交易条件の悪化の影響で低成長が続くと予想されている。
日本はペントアップ需要、インバウンドの急増、自動車産業の供給制約の緩和を受けて23年の成長率が上方修正されている(23年1.4→2.0%、24年1.0→1.0%)。
新興国・途上国は、23年が小幅下方修正、24年が上方修正となった(23年4.1→4.0%、24年4.1→4.7%)。
このうち大国である中国は不動産危機の影響により投資が鈍化するとして見通しが下方修正されている(23年5.2→5.0%、24年4.5→4.2%)。
同じく大国であるインドは足もとの消費の力強さを受けて23年度が上方修正されている(23年度6.1→6.3%、24年6.3→6.3%)。
ロシアは、大規模な財政刺激策、投資の強さ、労働市場のひっ迫を反映した消費の底堅さを受けて23年の成長率が大幅に上方修正されている(23年1.5→2.2%、24年1.3→1.1%)。
先行きの見通しについて、IMFはソフトランディングのシナリオと整合的になりつつあり、ハードランディングの可能性は低くなったと評価しているが、依然として下振れ方向に傾いているとした。
具体的なリスク要因として、上振れリスクで「基調的インフレ率が予想より早く鎮静化」「早期の内需回復」を挙げている。
一方で下振れリスクで「中国経済のさらなる減速」「気候・地政学的ショックによる商品価格の不安定化」「基調的なインフレ圧力の長期化」「金融市場の価格調整」「債務問題の悪化」「地政学的分断の進行と多国間協力の阻害」「社会不安の再発」を挙げている。
また、IMFではリスク評価として、いくつかのサブシナリオを作成している。
具体的には、「ディスインフレの進行」「先進国の投資加速」の上振れシナリオ2種、「中国経済の減速」「金融引き締めの予想以上のラグを伴った影響」「新興国経済の金融調達環境の悪化」の下振れシナリオ3種について定量的に成長率・インフレ率への影響を試算している(図表7・8)。
シナリオによって、成長率やインフレ率への影響は異なり(上振れか下振れか)、また先進国と新興国の影響度合いにも違いが見られる。
具体的なリスク要因として、上振れリスクで「基調的インフレ率が予想より早く鎮静化」「早期の内需回復」を挙げている。
一方で下振れリスクで「中国経済のさらなる減速」「気候・地政学的ショックによる商品価格の不安定化」「基調的なインフレ圧力の長期化」「金融市場の価格調整」「債務問題の悪化」「地政学的分断の進行と多国間協力の阻害」「社会不安の再発」を挙げている。
また、IMFではリスク評価として、いくつかのサブシナリオを作成している。
具体的には、「ディスインフレの進行」「先進国の投資加速」の上振れシナリオ2種、「中国経済の減速」「金融引き締めの予想以上のラグを伴った影響」「新興国経済の金融調達環境の悪化」の下振れシナリオ3種について定量的に成長率・インフレ率への影響を試算している(図表7・8)。
シナリオによって、成長率やインフレ率への影響は異なり(上振れか下振れか)、また先進国と新興国の影響度合いにも違いが見られる。
1 同日に「レジリエントな世界経済、依然なんとか前進 格差は広がる(Resilient Global Economy Still Limping Along, With Growing Divergences)」との題名のブログも公表している。
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(2023年10月11日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
- 【職歴】
2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
2009年 日本経済研究センターへ派遣
2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
2014年 同、米国経済担当
2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
2020年 ニッセイ基礎研究所
2023年より現職
・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
アドバイザー(2024年4月~)
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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