2023年09月11日

ロシアGDP(2023年4-6月期)-前期比プラスの成長を維持

経済研究部 主任研究員 高山 武士

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1.結果の概要:ベース効果もあり前年同期比は4.9%と大幅プラス

9月8日、ロシア連邦統計局は国内総生産(GDP)を公表し、結果は以下の通りとなった。
 

【実質GDP成長率(未季節調整系列)】
2023年4-6月期の前年同期比伸び率は4.9%、前期(同▲1.8%)からプラスに転換した(図表1・2)

(図表1)ロシアの実質GDP成長率(需要項目別寄与度)/(図表2)ロシアの実質GDP成長率(供給項目別寄与度)

2.結果の詳細:前期比でもプラス成長を維持

ロシアの23年4-6月期の実質GDP伸び率は4.9%となり、8月11日に公表されていた予備推計値(4.9%)と一致した。また、季節調整系列の前期比は0.9%(年率換算3.7%)となり、1-3月期(前期比0.7%、年率換算3.0%)からやや加速、4四半期連続でのプラス成長となった。前年同期比伸び率は1-3月期(▲1.8%)から大幅なプラスに転換しており、伸び率の比較対象となる22年4-6月期のGDPがウクライナ侵攻後の西側諸国からの経済制裁などを受けて大きく落ち込んだことによるベース効果が生じている。

執筆時点では需要別のデータは未公表であるため、以下では産業別のデータ等を確認していく。

産業別の伸び率を前年同期比で見ると、いずれもプラス成長となった。第一次産業が4.0%、第二次産業が6.6%、第三次産業(金融・不動産)が1.7%、第三次産業(その他)が4.2%だった。前期比では第三次産業(金融・不動産)のみ▲0.1%とややマイナス成長となっている。他の産業は第一次産業が2.2%、第二次産業が1.7%、第三次産業(その他)が1.0%だった(図表3・4)。より細かい産業の伸び率は、運搬(▲1.9%)、金融(▲1.7%)、その他サービス(▲1.7%)といった業種で落ち込む一方、芸術・娯楽(5.3%)、水道(3.4%)、飲食・居住(2.8%)といった業種の伸び率が高かった(図表3)。
(図表3)ロシアの実質GDP成長率(23年4-6月期)
(図表4)ロシアの実質GDPの動向(供給項目別)/(図表5)ロシアの名目および実質成長率
ウクライナ侵攻後の経済状況を確認するために、侵攻前の22年10-12月期と比較すると、GDPは▲1.1%となり、ウクライナ侵攻前水準には達していない。ただし、産業別には第三次産業(その他)が▲2.6%とマイナスとなる一方、第一次産業が4.4%、第二次産業が0.8%、第三次産業(金融・不動産)が1.0%といずれもウクライナ侵攻前水準を超えている(図表3・4)。より細かい産業では、その他サービス(▲21.3%)や芸術・娯楽(▲10.4%)、卸・小売(▲9.7%)などのマイナスが目立つ一方で、飲食・居住(11.5%)、建設(11.1%)、政府サービス(6.4%)といった産業が堅調だった。
(図表6)ロシアの実質GDP成長率 4-6月期の名目成長率は前年同期比7.8%(1-3月期は▲1.1%)だった。GDPデフレータ伸び率は前年同期比2.8%となり、1-3月期(0.7%)よりやや加速した(図表5)。

なお、経済発展省が公表する月次のGDP成長率(前年比)を見ると、23年以降は1月▲2.6%、2月▲2.6%、3月▲0.6%、4月3.6%、5月5.8%、6月5.7%、7月5.0%となり、ベース効果の押し上げ効果もあり5月以降は5%台での推移が続いている(図表6)。
 
 

(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

(2023年09月11日「経済・金融フラッシュ」)

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経済研究部   主任研究員

高山 武士 (たかやま たけし)

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

経歴
  • 【職歴】
     2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
     2009年 日本経済研究センターへ派遣
     2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
     2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
     2014年 同、米国経済担当
     2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
     2020年 ニッセイ基礎研究所
     2023年より現職

     ・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
      アドバイザー(2024年4月~)

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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