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- ロシアの物価状況(23年7月)-インフレ圧力が増加、前年比4%台に
2023年08月10日
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1.結果の概要:前年比で4%台に上昇
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。
2 生鮮食品など季節的要因による影響を受ける品目や管理品目を除いた指数。
2.結果の詳細:前月比インフレ率も高い
7月のロシアのインフレ率は前年比で4.30%となり、6月の3.25%から上昇した。3か月連続で上昇し、ベース効果で3月以降の伸び率が低下して以降では最も高い伸び率となった。ロシア中銀のインフレ目標(4%)もやや上回ったことになる。
なお、ロシア中銀は国内雇用のひっ迫や輸出減と輸入増を受けて持続的に進むルーブル安からインフレリスクが増幅されていると評価し、7月21日には政策金利を8.50%に1.00%ポイント引き上げた。これは市場予想(0.50%ポイントの引き上げ)を上回る利上げ幅となった。
インフレ率を大分類別に見ると、6月の前年比伸び率は食料品が2.23%、財(非食料品)が2.36%、サービスが9.95%となっている。食料品および財は6月の0%台から2%台まで上昇した。サービス物価の伸び率はやや減速したものの、10%前後での伸び率が続いている。寄与度ではサービスの物価を押し上げが目立つが(7月は2.7%ポイント程度)、食料品や財の寄与も増加しており、7月はそれぞれ0.8%ポイント程度、物価を押し上げている(図表1)。
7月の前月比伸び率は、総合指数で0.63%、コア指数で0.53%となった。総合指数・コア指数ともにコロナ禍前の上昇率を上回った(例えば2018年の前月比伸び率は平均で総合指数が約0.35%、コア指数が約0.30%、図表3)。大分類では食料品が0.49%、財(非食料品)が0.91%、サービスが0.48%となり、食料品や財の伸び率が高めとなっている。
なお、ロシア中銀は国内雇用のひっ迫や輸出減と輸入増を受けて持続的に進むルーブル安からインフレリスクが増幅されていると評価し、7月21日には政策金利を8.50%に1.00%ポイント引き上げた。これは市場予想(0.50%ポイントの引き上げ)を上回る利上げ幅となった。
インフレ率を大分類別に見ると、6月の前年比伸び率は食料品が2.23%、財(非食料品)が2.36%、サービスが9.95%となっている。食料品および財は6月の0%台から2%台まで上昇した。サービス物価の伸び率はやや減速したものの、10%前後での伸び率が続いている。寄与度ではサービスの物価を押し上げが目立つが(7月は2.7%ポイント程度)、食料品や財の寄与も増加しており、7月はそれぞれ0.8%ポイント程度、物価を押し上げている(図表1)。
7月の前月比伸び率は、総合指数で0.63%、コア指数で0.53%となった。総合指数・コア指数ともにコロナ禍前の上昇率を上回った(例えば2018年の前月比伸び率は平均で総合指数が約0.35%、コア指数が約0.30%、図表3)。大分類では食料品が0.49%、財(非食料品)が0.91%、サービスが0.48%となり、食料品や財の伸び率が高めとなっている。
一方で、別途、ロシア連邦統計局が公表している週次のインフレ率(消費者物価上昇率)を見ると、前週比上昇では、最新の8月7日時点の前週比で0.01%であり、足もとのインフレ圧力は弱い(図表4)。
各品目の消費ウエイトも考慮して、全体のインフレ率への寄与を品目別に見ると(図表7・8)、前年比上昇率への寄与が大きい品目は住居・公益サービス(0.90%ポイント)、青果物(0.64%ポイント)、その他サービス(0.42%ポイント)、海外旅行サービス(0.31%ポイント)、家庭サービス(0.29%ポイント)となった。一方、穀物・豆(▲0.10%ポイント)、電化製品(▲0.06%ポイント)、植物油(▲0.06%ポイント)は前年比でのマイナス寄与が相対的に大きい。
一方、前月比上昇率の寄与ではガソリン(約0.10%ポイント)、青果物(約0.07%ポイント)、肉(約0.07%ポイント)の押し上げ寄与が大きかった。
一方、前月比上昇率の寄与ではガソリン(約0.10%ポイント)、青果物(約0.07%ポイント)、肉(約0.07%ポイント)の押し上げ寄与が大きかった。
3 大分類である食料品、財(非食料品)、サービスをそれぞれ細目別に分類したもの(中分類)のうち、統計局のウェブサイトで公表しているものを記載。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2023年08月10日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
- 【職歴】
2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
2009年 日本経済研究センターへ派遣
2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
2014年 同、米国経済担当
2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
2020年 ニッセイ基礎研究所
2023年より現職
・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
アドバイザー(2024年4月~)
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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