- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 保険 >
- 欧米保険事情 >
- 金融アドバイザーへの潜在ニーズが高い米国生保市場-低いオンラインによる保険加入ニーズ-金融アドバイザーを経由しての保険加入は、満足度が大きく上昇-
金融アドバイザーへの潜在ニーズが高い米国生保市場-低いオンラインによる保険加入ニーズ-金融アドバイザーを経由しての保険加入は、満足度が大きく上昇-
保険研究部 上席研究員 兼 気候変動リサーチセンター 気候変動調査部長 有村 寛
1――はじめに
ここでは、世界最大の保険マーケットを抱える米国の状況について、その後の調査により追加で入手できた情報等も加えて整理し、紹介したい。
1 LIMRA「Global Consumer Pulse 2022」2022年9月19日。当調査は、2022年の初頭に、世界12の市場の25~55歳の成人消費者を対象に、オンラインで行われたものである。12市場ならびに各市場における回答者数はつぎの通り。中国 2562、インド2577、マレーシア1563、タイ1581、香港1263、台湾1554、シンガポール1261、韓国1271、日本2567、フランス1562、イギリス1584、ブラジル1560。
2――米国における金融アドバイザーの活用状況、ニーズ
2 LIMRA「Global Consumer Pulse 2022」によれば、金融アドバイザー(financial advisor)とは、保険や投資、貯蓄の相談をする人を指す。なお、MORNING CONSULT,ACLI「RETIREMENT PLANNING」(MAY 2023)等、一部ではFinancial Professionalsとしているものもあるが、ここでは併せて金融アドバイザーと記すこととする。
3 また、2022年12月26日付保険毎日新聞「MDRT 日米の消費者意識調査 記者説明会 保険市場の需要動向探る ファイナンシャル・アドバイザーの役割説明」では、同年11月29日に行われたオンライン記者説明会において、MDRTMDRT米国本部副会長のグレゴリー・ガニェ氏による「金融知識の浅い人はもちろん、投資にある程度の知識を持つ人々の間でも、フ ァイナンシャル・アドバイザーの存在は欠かせないことが分かる」との発言が掲載されている。
3――金融アドバイザー対する満足度は高い
また、Northwestern Mutualが実施した調査によると(図表4)、金融アドバイザーを活用・相談している人は、そうでない人に比べ、「長期的な経済的安定を得ることができている」(28ポイント高)、「予期しない事態への準備ができている」(31%ポイント高)など、さまざまな分野で安心感が大幅に高いことが示されている。
4 LIMRA「Financial Professionals and the Individual Life Insurance Purchase」(2023年4月5日)。
5 LIMRA「Financial Professionals and the Individual Life Insurance Purchase」(2023年4月5日)によれば、保険に加入(または増額)しなかった理由として「保険料が高すぎる」ことをあげた人の割合は、ウェブサイトより見積もりを入手した人が44%だったことに対して、金融アドバイザーから入手した人は8%だったとのことである。
4――おわりに
特に、金融アドバイザーに相談した人は、そうでない人と比較して、保険に加入または増額しなかった理由として、保険料が高いと回答することが大幅に減少していることは、保険に対する理解が進んだ結果、とも考えられ、非常に興味深い。
米国生命保険市場は、保険ギャップが大きく、保険に対する潜在ニーズも高いと考えられる6中で、消費者は、金融アドバイザーとの対面での会話を通じて、彼らを信頼して保険に加入するもので、保険は人から勧められなければ加入しない旨、ウォール・ストリート・ジャーナルも報じてい7。
世界最大の保険マーケットを抱える米国の動向については引き続き、注視していきたい。
6 米国消費者の生保ニーズギャップについては、小著「米国消費者の生保加入動向」『保険・年金フォーカス』(2023年3月28日)において、リムラの推計によれば「約4200万人が1年以内に保険に加入する意図がある」ことを紹介している。
7 2023年5月8日付保険毎日新聞「海外トピックス 米国 金利引上げで好機到来 生命保険ビジネスはどうなるか 個人向け市場では相互保険会社が伸長」では、同年4月18日付のウォール・ストリート・ジャーナル記事を紹介しており、そこでは、「彼ら(=代理店)はキッチンで主婦たちと親しく話ができるため、消費者が信頼して保険を買うようになるのだ。保険という商品は、人から勧められなければ買わないものだ。」とされている。
03-3512-1822
- 【職歴】
1989年 日本生命入社
1990年 ニッセイ基礎研究所 総合研究部
1995年以降、日本生命にて商品開発部、法人営業企画部(商品開発担当)、米国日本生命(出向)、企業保険数理室、ジャパン・アフィニティ・マーケティング(出向)、企業年金G等を経て、2021年 ニッセイ基礎研究所へ、2023年7月より現職
(2023年09月26日「保険・年金フォーカス」)
公式SNSアカウント
新着レポートを随時お届け!日々の情報収集にぜひご活用ください。
新着記事
-
2024年05月15日
国内株式の逆張り投資は健在~2024年4月の投信動向~ -
2024年05月15日
SNSの「なりすましアカウント」に関する一考察 -
2024年05月15日
Investors Trading Trends in Japanese Stock Market:An Analysis for April 2024 -
2024年05月15日
英国雇用関連統計(24年4月)-賃金上昇圧力は根強い -
2024年05月14日
インド消費者物価(24年4月)~4月のCPI上昇率は僅かに低下、11カ月ぶりの水準に
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年04月02日
News Release
-
2024年02月19日
News Release
-
2023年07月03日
News Release
【金融アドバイザーへの潜在ニーズが高い米国生保市場-低いオンラインによる保険加入ニーズ-金融アドバイザーを経由しての保険加入は、満足度が大きく上昇-】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
金融アドバイザーへの潜在ニーズが高い米国生保市場-低いオンラインによる保険加入ニーズ-金融アドバイザーを経由しての保険加入は、満足度が大きく上昇-のレポート Topへ