2023年09月05日

人生100年時代のシングル高齢者の不安と備え~未婚女性はポジティブで備えも進み、未婚男性はネガティブで備え不足

生活研究部 准主任研究員・ジェロントロジー推進室兼任 坊 美生子

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■要旨

近年、国内でシングル高齢者が増加していることから、性・配偶関係別に、高齢者の経済面や生活面について公益財団法人「生命保険文化センター」の「ライフマネジメントに関する高齢者の意識調査」(2020年)を用いて分析した結果、シングルかそうでないか、また未婚か離別・死別かによって、違いがあることを、前稿までに報告した。本稿では、そのような各属性の高齢者たちが、人生100年時代と言われる長い老後について、どのような意識や不安を持ち、どう備えているかを分析した。

分析の結果、未婚女性は、すべての性・配偶関係の中で、長生きすることに最もポジティブで、客観的健康状態は最も良好で、老後の生活資金や病気・ケガに対する備えも着々と進めていることが分かった。ただし、主観的健康観は特段良いという訳ではなく、自身の健康状態にはやや悲観的な傾向が見られた。反対に、未婚男性は、長生きすることに最も消極的で、健康状態も悪く、老後の生活資金や病気・ケガに対する備えも最も貧弱だった。その割には、老後のお金に対する不安はさほど大きくなく、将来見通しが楽観的な傾向が見られた。

長生きへの意欲については、従来は、孫やひ孫がいる高齢者の方が強いと思う人もいたかもしれないが、未婚女性が最も強いという結果からは、必ずしも老後の意識は家族の状況に依らないということが分かった。最近では、高齢者の生きがいは孫やひ孫だけではなく、自身のライフスタイルに応じた様々な楽しみに多様化しているということではないだろうか。また、未婚男性については、今後、貧困や心身機能低下のリスクがあると考えられるが、社会参加が乏しい人や、親族との付き合いが無いという人も一定いることから、行政によるアプローチが必要だと考えられる。

■目次

1――はじめに
2――「人生100年時代」への意識
  1|長寿への希望と不安
  2|健康状態との関連
3――長い老後資金に関する不安と備え
4――病気やケガへの不安と備え
5――終わりに
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生活研究部   准主任研究員・ジェロントロジー推進室兼任

坊 美生子 (ぼう みおこ)

研究・専門分野
中高年女性の雇用と暮らし、高齢者の移動サービス、ジェロントロジー

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