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日本の少子化の原因と最近の財源に関する議論について
生活研究部 上席研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任 金 明中
- 2022年の日本の出生率は1.26となり、過去最低だった2005年に並ぶ過去最低の水準となった。
- 日本の少子化の主な原因としては、「未婚化や晩婚化の進展」、若者の結婚及び出産に関する意識が変化していること、育児に対する経済的負担が大きいこと、依然として男女別賃金格差が存在していること、育児や家事に対する女性の負担が大きいことが挙げられる。
- そして、上記の原因以外にも育児政策が子育て世代に偏っていること、結婚に対する経済的負担が大きいこと、社会保障制度や税制において、二人の親とその子どもで構成される家族以外の同性婚や事実婚など家族の多様性が前提となっておらず、十分な恩恵が受けられないことが少子化の原因として考えられる。
- 少子化対策の財源確保案としては「消費税の引き上げ」、「国債の発行」、「社会保険料に上乗せした支援金制度の創設」、「歳出改革」、「事業者が全額負担する子ども・子育て拠出金の増額」等が議論されている。
- 今後、少子化問題を解決し、出生率を引き上げるためには子育て世帯に対する対策だけではなく、未婚率や晩婚率を改善するための対策により力を入れるべきであり、そのためには何よりも安定的な雇用と賃上げが必要であると考えられる。
- 特に、男女間における賃金格差、出産や育児による経歴断絶、ガラスの天井 など結婚を妨げる問題を改善し、女性がより安心して長く労働市場に参加できる環境を作ることが大事だ。
- また、若者が結婚して子育てができるように負担が少ない公営住宅や民間の空き家を活用する支援も欠かせない。さらに、多様な家族を認めて社会保障制度の恩恵が受けられる社会をより早く構築する必要があると考えられる。
■目次
・少子化の原因は?
・6月13日に「こども未来戦略方針」を閣議決定
・少子化対策の財源に対する最近の議論
・むすびにかえて
(2023年08月17日「基礎研レポート」)
生活研究部 上席研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任
金 明中 (きむ みょんじゅん)
研究・専門分野
高齢者雇用、不安定労働、働き方改革、貧困・格差、日韓社会政策比較、日韓経済比較、人的資源管理、基礎統計
03-3512-1825
- プロフィール
【職歴】
独立行政法人労働政策研究・研修機構アシスタント・フェロー、日本経済研究センター研究員を経て、2008年9月ニッセイ基礎研究所へ、2023年7月から現職
・2011年~ 日本女子大学非常勤講師
・2015年~ 日本女子大学現代女性キャリア研究所特任研究員
・2021年~ 横浜市立大学非常勤講師
・2021年~ 専修大学非常勤講師
・2021年~ 日本大学非常勤講師
・2022年~ 亜細亜大学都市創造学部特任准教授
・2022年~ 慶應義塾大学非常勤講師
・2024年~ 関東学院大学非常勤講師
・2019年 労働政策研究会議準備委員会準備委員
東アジア経済経営学会理事
・2021年 第36回韓日経済経営国際学術大会準備委員会準備委員
【加入団体等】
・日本経済学会
・日本労務学会
・社会政策学会
・日本労使関係研究協会
・東アジア経済経営学会
・現代韓国朝鮮学会
・韓国人事管理学会
・博士(慶應義塾大学、商学)
金 明中のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2024/07/09 | 日本の少子化の原因と最近の財源に関する議論について | 金 明中 | ニッセイ基礎研所報 |
2024/06/13 | 【アジア・新興国】韓国の生命保険市場の現状-2022年と2023年のデータを中心に- | 金 明中 | 保険・年金フォーカス |
2024/05/17 | 韓国政府と医療界が医学部の入学定員増案で対立、医療空白が長期化-日本の事例を参考に事態の解決を- | 金 明中 | 研究員の眼 |
2024/05/09 | 韓国の出生率が0.72で、8年連続過去最低を更新-若者の意識を的確に把握し有効な対策の実施を | 金 明中 | 基礎研マンスリー |
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