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- ユーロ圏消費者物価(23年7月)-総合指数は低下傾向だが、コアは横ばい
2023年08月02日
1.結果の概要:前年比伸び率で総合指数は低下傾向、コアは横ばい
7月31日、欧州委員会統計局(Eurostat)は7月のユーロ圏のHICP(Harmonized Indices of Consumer Prices:EU基準の消費者物価指数)速報値を公表し、結果は以下の通りとなった。
【総合指数】
・前年同月比は5.3%、市場予想1(5.3%)と一致し、前月(5.5%)から低下した(図表1)
・前月比は▲0.1%、予想(▲0.1%)と一致、前月(0.3%)からマイナスに転じた
【総合指数からエネルギーと飲食料を除いた指数2】
・前年同月比は5.5%、予想(5.4%)を上回り、前月(5.5%)と同じだった(図表2)
・前月比は▲0.1%、前月(0.4%)からマイナスに転じた
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。
2 日本の消費者物価指数のコアコアCPI、米国の消費者物価指数のコアCPIに相当するもの。ただし、ユーロ圏の指数はアルコール飲料も除いており、日本のコアコアCPIや米国のコアCPIとは若干定義が異なる。
2.結果の詳細:物価上昇の勢い(モメンタム)は総じて減速
23年7月のHICP上昇率3(前年同月比)は全体で5.3%となり、6月の5.5%からやや低下した。一方、「コア部分(=エネルギーと飲食料を除く総合)」は5.5%と横ばいで推移した。
以下、詳細を「コア部分」「エネルギー」「飲食料(アルコール含む)」の3つに分けて見ていく。
まず、コア部分である「エネルギーと飲食料を除く総合」の内訳を見ると、「エネルギーを除く財(飲食料も除く)」が5月5.8%→6月5.5%→7月5.0%、「サービス」(エネルギーを除く)が5月5.0%→6月5.4%→7月5.6%となり、財インフレの低下が続く一方、サービスインフレが上昇する傾向が続いている。前年同月比寄与度は、「財」が1.21%ポイント程度、「サービス」が2.26%ポイント程度と見られる。
コア以外の部分では「エネルギー」が前年同月比で5月▲1.8%→6月▲5.6%→7月▲6.1%とマイナス幅が拡大した。前月比では▲0.3%と6か月連続のマイナスの伸びとなった。エネルギーの前年同月比寄与度は▲0.89%ポイント程度(6月は▲0.57%ポイント)と見られる(前掲図表1)。
以下、詳細を「コア部分」「エネルギー」「飲食料(アルコール含む)」の3つに分けて見ていく。
まず、コア部分である「エネルギーと飲食料を除く総合」の内訳を見ると、「エネルギーを除く財(飲食料も除く)」が5月5.8%→6月5.5%→7月5.0%、「サービス」(エネルギーを除く)が5月5.0%→6月5.4%→7月5.6%となり、財インフレの低下が続く一方、サービスインフレが上昇する傾向が続いている。前年同月比寄与度は、「財」が1.21%ポイント程度、「サービス」が2.26%ポイント程度と見られる。
コア以外の部分では「エネルギー」が前年同月比で5月▲1.8%→6月▲5.6%→7月▲6.1%とマイナス幅が拡大した。前月比では▲0.3%と6か月連続のマイナスの伸びとなった。エネルギーの前年同月比寄与度は▲0.89%ポイント程度(6月は▲0.57%ポイント)と見られる(前掲図表1)。
「飲食料(アルコール含む)」は、前年同月比で10.8%(6月11.6%)と4か月連続で大幅に低下した(図表3)。飲食料のうち加工食品の伸び率は11.3%(6月12.4%)、未加工食品は9.2%(6月9.0%)となり、未加工食品については低下が止まっている。飲食料の前年同月比寄与度は2.35%ポイント程度(6月は2.35%ポイント)と見られる。
7月はこれまでと同様、エネルギー価格の前年比マイナスの伸び率が続くなかで、飲食料や財の上昇率も減速している。一方でサービス物価の上昇傾向には歯止めがかかっておらず、コア物価で見ると伸び率が横ばいとなっている。ただし、物価上昇の勢いをECBが公表する季節調整済系列で確認すると、3か月移動平均後の3か月前比年率で総合指数が2.0%、コアが4.4%、エネルギーを除く財が2.6%、サービスが4.6%、飲食料が4.5%となり、勢いは総じて弱まっている(図表4)。サービス物価の勢いも、水準で見ると依然高いものの足もとでは鈍化が見られる。
7月はこれまでと同様、エネルギー価格の前年比マイナスの伸び率が続くなかで、飲食料や財の上昇率も減速している。一方でサービス物価の上昇傾向には歯止めがかかっておらず、コア物価で見ると伸び率が横ばいとなっている。ただし、物価上昇の勢いをECBが公表する季節調整済系列で確認すると、3か月移動平均後の3か月前比年率で総合指数が2.0%、コアが4.4%、エネルギーを除く財が2.6%、サービスが4.6%、飲食料が4.5%となり、勢いは総じて弱まっている(図表4)。サービス物価の勢いも、水準で見ると依然高いものの足もとでは鈍化が見られる。
国別のHICP上昇率は、前年同月比で20か国中、上昇したのは5か国で残りの15か国は低下した(図表5)。前月比では10か国がプラスの伸び率で、10か国はマイナスの伸び率となった(図表6)。
3 23年からはユーロ圏20か国のデータ、22年までは19か国のデータ(以降も特に断りがない限り同様)。
3 23年からはユーロ圏20か国のデータ、22年までは19か国のデータ(以降も特に断りがない限り同様)。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2023年08月02日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
- 【職歴】
2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
2009年 日本経済研究センターへ派遣
2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
2014年 同、米国経済担当
2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
2020年 ニッセイ基礎研究所
2023年より現職
・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
アドバイザー(2024年4月~)
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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