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- 2023年4-6月期の実質GDP~前期比0.8%(年率3.1%)を予測~
2023年07月31日
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● 4-6月期は年率3.1%を予測
2023年4-6月期の実質GDPは、前期比0.8%(前期比年率3.1%)と3四半期連続のプラス成長になったと推計される1。
輸出が前期比3.9%の増加となる一方、輸入が同▲0.9%の減少となったことから、外需が前期比0.9%(年率3.8%)と成長率を大きく押し上げた。輸出は、供給制約の緩和に伴い財が前期比3.5%の増加となったことに加え、水際対策の緩和・撤廃を受けてサービスが同5.5%の高い伸びとなった。
一方、高水準の企業収益を背景に設備投資が同0.7%と2四半期連続で増加し、住宅投資(前期比2.1%)、公的固定資本形成(同1.3%)も増加したが、物価高の影響などから、民間消費が前期比▲0.4%と5四半期ぶりに減少したため、国内需要が2四半ぶりの減少となった。
実質GDP成長率への寄与度(前期比)は、国内需要が▲0.2%(うち民需▲0.3%、公需0.1%)、外需が0.9%と予測する。
名目GDPは前期比2.9%(前期比年率12.3%)と3四半期連続の増加となり、実質の伸びを大きく上回るだろう。GDPデフレーターは前期比2.2%(1-3月期:同1.1%)、前年比4.2%(1-3月期:同2.0%)と予測する。輸入物価の上昇を国内に価格転嫁する動きが広がり、国内需要デフレーターが前期比0.5%の上昇(1-3月期:同0.5%)となったことに加え、原油価格の下落を反映し、輸入デフレーターが前期比▲6.2%と大幅に低下し、輸出デフレーターの伸び(前期比0.2%)を下回ったことがGDPデフレーターを押し上げた。
輸出が前期比3.9%の増加となる一方、輸入が同▲0.9%の減少となったことから、外需が前期比0.9%(年率3.8%)と成長率を大きく押し上げた。輸出は、供給制約の緩和に伴い財が前期比3.5%の増加となったことに加え、水際対策の緩和・撤廃を受けてサービスが同5.5%の高い伸びとなった。
一方、高水準の企業収益を背景に設備投資が同0.7%と2四半期連続で増加し、住宅投資(前期比2.1%)、公的固定資本形成(同1.3%)も増加したが、物価高の影響などから、民間消費が前期比▲0.4%と5四半期ぶりに減少したため、国内需要が2四半ぶりの減少となった。
実質GDP成長率への寄与度(前期比)は、国内需要が▲0.2%(うち民需▲0.3%、公需0.1%)、外需が0.9%と予測する。
名目GDPは前期比2.9%(前期比年率12.3%)と3四半期連続の増加となり、実質の伸びを大きく上回るだろう。GDPデフレーターは前期比2.2%(1-3月期:同1.1%)、前年比4.2%(1-3月期:同2.0%)と予測する。輸入物価の上昇を国内に価格転嫁する動きが広がり、国内需要デフレーターが前期比0.5%の上昇(1-3月期:同0.5%)となったことに加え、原油価格の下落を反映し、輸入デフレーターが前期比▲6.2%と大幅に低下し、輸出デフレーターの伸び(前期比0.2%)を下回ったことがGDPデフレーターを押し上げた。

この結果、実質GDPに交易利得を加えた実質GDIは、前期比2.3%(前期比年率9.3%)となり、実質GDPの伸びを大きく上回ることが予想される。
8/15に内閣府から2023年4-6月期のGDP速報が発表される際には、基礎統計の改定や季節調整のかけ直しなどから、成長率が過去に遡って改定される。当研究所では、2023年1-3月期の実質GDP成長率は設備投資が上方修正される一方、民間消費、外需が下方修正されることから、前期比年率2.6%と2023年1-3月期2次速報時点の同2.7%からほぼ変わらないと予想している。
2023年7-9月期は、欧米を中心とした海外経済の減速を背景に輸出が伸び悩む一方、経済社会活動の正常化に伴い民間消費が増加することなどから、現時点では年率1%程度のプラス成長を予想している。
1 7/31までに公表された経済指標をもとに予測している。今後公表される経済指標の結果によって予測値を修正する可能性がある。
● 主な需要項目の動向
・民間消費~物価高の影響などから5四半期ぶりの減少~
民間消費は前期比▲0.4%と5四半期ぶりの減少を予測する。新型コロナウイルス感染症の5類への移行の影響もあり、外食、宿泊などの対面型サービス消費は回復が続いたが、物価高の影響で食料、衣料などの非耐久財消費が低調な動きとなった。
また、経済の正常化に伴い、2023年1-3月期の家計貯蓄率が1.6%と平常時の水準(コロナ禍前の2015~2019年平均の家計貯蓄率は1.2%)に近づき、貯蓄率の引き下げによる押し上げ効果が一巡したことも消費の停滞につながった。
民間消費は前期比▲0.4%と5四半期ぶりの減少を予測する。新型コロナウイルス感染症の5類への移行の影響もあり、外食、宿泊などの対面型サービス消費は回復が続いたが、物価高の影響で食料、衣料などの非耐久財消費が低調な動きとなった。
また、経済の正常化に伴い、2023年1-3月期の家計貯蓄率が1.6%と平常時の水準(コロナ禍前の2015~2019年平均の家計貯蓄率は1.2%)に近づき、貯蓄率の引き下げによる押し上げ効果が一巡したことも消費の停滞につながった。

一方、小売業販売額指数は前期比▲0.2%(1-3月期:同1.9%)の減少となった(いずれもニッセイ基礎研究所による季節調整値、外食産業売上高、小売販売額指数は消費者物価指数で実質化)。
・住宅投資~資材価格の上昇一服が押し上げ要因に~
住宅投資は前期比2.1%の増加を予測する。
住宅投資は前期比2.1%の増加を予測する。
・民間設備投資~高水準の企業収益を背景に好調を維持~
民間設備投資は前期比0.7%と2四半期連続の増加を予測する。
設備投資の一致指標である投資財出荷指数(除く輸送機械)は2023年1-3月期の前期比▲4.8%の後、4-6月期は同2.1%と2四半期ぶりに上昇した。一方、機械投資の先行指標である機械受注(船舶・電力を除く民需)は2023年1-3月期に前期比2.6%と2四半期ぶりに増加した後、2023年4、5月の平均は1-3月期を▲2.7%下回っている。
日銀短観2023年6月調査では、2023年度の設備投資計画(全規模・全産業、含むソフトウェア投資、除く土地投資額)が3月調査(前年度比5.3%)から上方修正され、前年度比15.3%の高い伸びとなった。
設備投資は、高水準の企業収益を背景に、人手不足対応やテレワーク関連投資、デジタル化に向けたソフトウェア投資を中心に回復している。
民間設備投資は前期比0.7%と2四半期連続の増加を予測する。
設備投資の一致指標である投資財出荷指数(除く輸送機械)は2023年1-3月期の前期比▲4.8%の後、4-6月期は同2.1%と2四半期ぶりに上昇した。一方、機械投資の先行指標である機械受注(船舶・電力を除く民需)は2023年1-3月期に前期比2.6%と2四半期ぶりに増加した後、2023年4、5月の平均は1-3月期を▲2.7%下回っている。
日銀短観2023年6月調査では、2023年度の設備投資計画(全規模・全産業、含むソフトウェア投資、除く土地投資額)が3月調査(前年度比5.3%)から上方修正され、前年度比15.3%の高い伸びとなった。
設備投資は、高水準の企業収益を背景に、人手不足対応やテレワーク関連投資、デジタル化に向けたソフトウェア投資を中心に回復している。
・公的固定資本形成~5四半期連続の増加~
公的固定資本形成は前期比1.3%と5四半期連続の増加を予測する。
公的固定資本形成は前期比1.3%と5四半期連続の増加を予測する。
・外需~成長率を大きく押し上げ~
外需寄与度は前期比0.9%(前期比年率3.8%)と2四半期ぶりのプラスを予測する。輸出が前期比3.9%の増加となる一方、輸入が同▲0.9%の減少となったことから、外需が前期比0.9%(年率3.8%)と成長率を大きく押し上げた。輸出は、供給制約の緩和に伴い財が前期比3.5%の増加となったことに加え、水際対策の緩和・撤廃を受けてサービスが同5.5%の高い伸びとなった。
2023年4-6月期の地域別輸出数量指数を季節調整値(当研究所による試算値)でみると、米国向けが前期比3.4%(1-3月期:同▲0.7%)、EU向けが前期比4.2%(1-3月期:同▲7.0%)、アジア向けが前期比0.3%(1-3月期:同▲4.4%)、うち中国向けが前期比7.5%(1-3月期:同▲9.4%)、全体では前期比1.7%(1-3月期:同▲3.8%)となった。
外需寄与度は前期比0.9%(前期比年率3.8%)と2四半期ぶりのプラスを予測する。輸出が前期比3.9%の増加となる一方、輸入が同▲0.9%の減少となったことから、外需が前期比0.9%(年率3.8%)と成長率を大きく押し上げた。輸出は、供給制約の緩和に伴い財が前期比3.5%の増加となったことに加え、水際対策の緩和・撤廃を受けてサービスが同5.5%の高い伸びとなった。
2023年4-6月期の地域別輸出数量指数を季節調整値(当研究所による試算値)でみると、米国向けが前期比3.4%(1-3月期:同▲0.7%)、EU向けが前期比4.2%(1-3月期:同▲7.0%)、アジア向けが前期比0.3%(1-3月期:同▲4.4%)、うち中国向けが前期比7.5%(1-3月期:同▲9.4%)、全体では前期比1.7%(1-3月期:同▲3.8%)となった。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2023年07月31日「Weekly エコノミスト・レター」)
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03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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