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- 新NISAでは何にどのように投資したら良いのか-長期の資産形成ではリスクよりもリターンを気にすべき
2023年07月28日
5――新NISAで何にどのように投資したら良いのか
このレポートでは、20年間の投資期間を前提に、過去のデータで代表的な市場インデックスの投資対象に4つの投資方法で購入した場合の試算を行った。
結果として、すべての投資方法で、S&P500、ナスダック100、先進国株式型の最終的な時価残高がかなり高かった。また、高いリターンが見込める投資対象であれば、一括投資の方が積立投資よりも最終的な時価残高が高いことも分かった。尚、毎月定額を積立投資する場合と毎月積立にボーナスを組み合わせる場合は、年間の投資額が同じであれば、最終的時価残高はほとんど同じだった。
長期投資では、高リスク高リターンの投資対象に投資すると、最終時価残高が雪だるま式に増えていく。一方、リスクが高いため最終時価残高のバラツキも大きくなるが、最終的な時価残高の増加のメリットを台無しにするほど大きくはならない。長期投資における資産形成上のリスクは、一般的に言われている投資対象ごとの短期的なリスクほど気にしなくて良いと思われる。
以上を踏まえると、若いうちはまず新NISAの「つみたて投資枠」で、リスクを必要以上に恐れることなく、先進国株式型等の将来的に高いリターンが見込める市場インデックス型の投資対象に無理のない範囲で積立投資することが良いと思われる。同じ税制優遇制度である確定拠出年金制度(企業型DC及びiDeCo)でも同様の投資を行い、将来に向けた十分な資産形成を早めに開始することが何よりも大切である。
その上で、もし収入や資金に余裕があれば新NISAの「成長投資枠」も活用し、米国株式等、より高いリターンが見込める市場インデックス型の投資対象になるべく多くの金額を投資するのが得策であると思う。
その後、資産形成が進み、満足できる資産残高になったら、自分の現在の収入および将来の収入見込み、年齢、健康状態、その他の財産状況等を踏まえて、投資方針を決める必要がある。
資金的にまだ余裕があれば、引き続きりリスクが高いもののリターンが高い投資商品を持ち続けても良い。
一方、健康に不安があるとか、老後資金の取り崩し時期までに10年を切る等残りの投資期間があまりない人は、ある程度満足ができる資産形成ができたら、あまり無理せずに、バランス型等に資産を移行する等、リスクの低いポートフォリオにするか、もしくは思い切って預貯金にしておいた方が無難である。資金の使用時期直前に株価暴落が生じると、せっかく積み上げてきた資産が大きく毀損するかもしれないからだ。
一般的に、投資のリターンは利息や配当等のインカム収益や値上がり、値下がりといった投資成果としてイメージしやすいのではないだろうか。一方、投資のリスクはイメージすることが難しく、個人によって理解が異なると思われる。辞書ではリスクが「危険、損失や不確実性」とよく説明されているので、多くの人はリスクを負うことは「危険」を冒すことに等しいと捉え、リスクは回避すべきものとして、通常の社会生活では、リスクをほとんど取らないことが多く、それはそれで正しい対応だと思う。
しかし、投資のリスクは一般的な社会生活での回避すべきリスクとは異なる。老後資金、住宅資金等といった長期的な資産形成においては、過度にリスクを恐れてリスクを取らずに資産形成することは、リターンを得られないことに直結する。このレポートで説明した通り、必要なリスクを取らないことが長期的な資産形成においては本当のリスクになるのではないだろうか。
若い人の老後資金等、資産形成における投資期間が長い人は、十分な資金を形成するという目的に向けて第一歩を踏み出し、適切な投資対象選別や十分な資産・銘柄分散等を前提に、合理的で十分なリスクを取ってリターンを取りに行く勇気を持つことが大切であると思う。
いずれにせよ、将来の資産形成に向けて新NISAを大いに活用して、より良い資産形成ができることを期待したい。このレポートが少しでもお役に立てば幸いである。
結果として、すべての投資方法で、S&P500、ナスダック100、先進国株式型の最終的な時価残高がかなり高かった。また、高いリターンが見込める投資対象であれば、一括投資の方が積立投資よりも最終的な時価残高が高いことも分かった。尚、毎月定額を積立投資する場合と毎月積立にボーナスを組み合わせる場合は、年間の投資額が同じであれば、最終的時価残高はほとんど同じだった。
長期投資では、高リスク高リターンの投資対象に投資すると、最終時価残高が雪だるま式に増えていく。一方、リスクが高いため最終時価残高のバラツキも大きくなるが、最終的な時価残高の増加のメリットを台無しにするほど大きくはならない。長期投資における資産形成上のリスクは、一般的に言われている投資対象ごとの短期的なリスクほど気にしなくて良いと思われる。
以上を踏まえると、若いうちはまず新NISAの「つみたて投資枠」で、リスクを必要以上に恐れることなく、先進国株式型等の将来的に高いリターンが見込める市場インデックス型の投資対象に無理のない範囲で積立投資することが良いと思われる。同じ税制優遇制度である確定拠出年金制度(企業型DC及びiDeCo)でも同様の投資を行い、将来に向けた十分な資産形成を早めに開始することが何よりも大切である。
その上で、もし収入や資金に余裕があれば新NISAの「成長投資枠」も活用し、米国株式等、より高いリターンが見込める市場インデックス型の投資対象になるべく多くの金額を投資するのが得策であると思う。
その後、資産形成が進み、満足できる資産残高になったら、自分の現在の収入および将来の収入見込み、年齢、健康状態、その他の財産状況等を踏まえて、投資方針を決める必要がある。
資金的にまだ余裕があれば、引き続きりリスクが高いもののリターンが高い投資商品を持ち続けても良い。
一方、健康に不安があるとか、老後資金の取り崩し時期までに10年を切る等残りの投資期間があまりない人は、ある程度満足ができる資産形成ができたら、あまり無理せずに、バランス型等に資産を移行する等、リスクの低いポートフォリオにするか、もしくは思い切って預貯金にしておいた方が無難である。資金の使用時期直前に株価暴落が生じると、せっかく積み上げてきた資産が大きく毀損するかもしれないからだ。
一般的に、投資のリターンは利息や配当等のインカム収益や値上がり、値下がりといった投資成果としてイメージしやすいのではないだろうか。一方、投資のリスクはイメージすることが難しく、個人によって理解が異なると思われる。辞書ではリスクが「危険、損失や不確実性」とよく説明されているので、多くの人はリスクを負うことは「危険」を冒すことに等しいと捉え、リスクは回避すべきものとして、通常の社会生活では、リスクをほとんど取らないことが多く、それはそれで正しい対応だと思う。
しかし、投資のリスクは一般的な社会生活での回避すべきリスクとは異なる。老後資金、住宅資金等といった長期的な資産形成においては、過度にリスクを恐れてリスクを取らずに資産形成することは、リターンを得られないことに直結する。このレポートで説明した通り、必要なリスクを取らないことが長期的な資産形成においては本当のリスクになるのではないだろうか。
若い人の老後資金等、資産形成における投資期間が長い人は、十分な資金を形成するという目的に向けて第一歩を踏み出し、適切な投資対象選別や十分な資産・銘柄分散等を前提に、合理的で十分なリスクを取ってリターンを取りに行く勇気を持つことが大切であると思う。
いずれにせよ、将来の資産形成に向けて新NISAを大いに活用して、より良い資産形成ができることを期待したい。このレポートが少しでもお役に立てば幸いである。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2023年07月28日「基礎研レポート」)
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経歴
- 【職歴】
2020年 日本生命保険相互会社入社
2021年4月 ニッセイ基礎研究所へ
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会検定会員
熊 紫云のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
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