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「札幌オフィス市場」の現況と見通し(2023年)

金融研究部 上席研究員 吉田 資
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- 札幌のオフィス市場では、昨年、大規模ビルの新規供給が限定的であるなか、IT関連企業などによる新規開設・拡張ニーズに支えられ、空室率は低下し、成約賃料は上昇した。一方、今年は新規供給面積が17年ぶりに1 万坪を超え、今後についても複数の大規模ビル開発が計画されている。本稿では、札幌のオフィスの現況を概観した上で、2027年までの賃料予測を行った。
- 札幌市では、人口の流入超過が継続しているもののその勢いは鈍化しており、生産年齢人口は減少基調で推移している。また、北海道全体の就業者は3年連続で減少している。以上のことを鑑みると、札幌市のオフィスワーカー数の拡大は今後、力強さに欠くことが予想される。
- 札幌市のオフィス需要を支えてきたコールセンターや IT関連企業は、引き続き新築オフィスビルの入居テナント候補として期待が大きい。ただし、コールセンターの新設・増設補助制度が9月末で終了予定である。また、コロナ禍を経て、コールセンターのビジネスモデルは大きく転換する可能性もある。「テレワーク」が進むIT関連企業では、ワークプレイスの見直しが順次拡がることも考えられ、コールセンターやIT関連企業による新規需要が頭打ちするリスクに留意が必要である。
- 一方、2030年度の北海道新幹線の全線開通等を背景に、札幌駅周辺を中心に高層オフィスビルの開発が複数計画されている。今年、新規供給量は17年ぶりに1万坪を超え、2024年と2025年も1万坪を超える見通しである。以上を鑑みると、札幌の空室率は上昇傾向で推移すると予想する。
- 札幌のオフィス成約賃料は、需給バランスの緩和に伴い、緩やかに下落基調で推移する見通しである。2022年を100 とした場合、2023年の賃料は「98」、2027年の賃料は「90」への下落を予想する。ただし、2018年の賃料と同水準を維持し、大幅な賃料下落には至らない見通しである。
■目次
1. はじめに
2. 札幌オフィス市場の現況
2-1. 空室率および賃料の動向
2-2. オフィス市場の需給動向
2-3. 空室率と募集賃料のエリア別動向
3. 札幌オフィス市場の見通し
3-1. 新規需要の見通し
3-2. オフィスビルの新規供給見通し
3-3. 賃料見通し
(2023年07月28日「不動産投資レポート」)
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03-3512-1861
- 【職歴】
2007年 住信基礎研究所(現 三井住友トラスト基礎研究所)
2018年 ニッセイ基礎研究所
【加入団体等】
一般社団法人不動産証券化協会資格教育小委員会分科会委員(2020年度~)
吉田 資のレポート
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