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「札幌オフィス市場」の現況と見通し(2023年)
金融研究部 主任研究員 吉田 資
1. はじめに
2. 札幌オフィス市場の現況
三幸エステートによると、札幌市の空室率(2023年7月時点)は2.4%(前年同月比▲0.3%)となり、全国主要都市の中で最も低い水準となった(図表-1)。2020 年4月の緊急事態宣言の発令以降、多くの主要都市で、景気悪化やテレワーク普及などを受けて空室率が高止まりするなか、札幌市では、IT関連企業などを中心とする新規開設・拡張ニーズに支えられ、空室率が低下している。
空室率をビルの規模1別にみると、「大型3.2%(前年比+0.4%)」が上昇した一方、「大規模1.1%(同▲0.3%)」、「中型3.3%(同▲1.3%)」、「小型4.2%(同▲0.1%)」は低下した(図表-2)。
1 三幸エステートの定義による。大規模ビルは基準階面積200坪以上、大型は同100~200坪未満、中型は同50~100坪未満、小型は同20~50坪未満。
2 賃料サイクルとは、縦軸に賃料、横軸に空室率をプロットした循環図。通常、(1)空室率低下・賃料上昇→(2)空室率上昇・賃料上昇→(3)空室率上昇・賃料下落→(4)空室率低下・賃料下落、と時計周りに動く。
三鬼商事によれば、2022年末時点で最も賃貸可能面積の大きいエリアは「駅前東西地区(29.8%)」であり、次いで「駅前通・大通公園地区(25.7%)」、「創成川東・西11丁目近辺地区(15.6%)」、「南1条以南地区(15.0%)」、「北口地区(14.0%)」の順となっている(図表-8)。
賃貸可能面積は、「北口地区」(同+0.6万坪)や「南1条以南地区」(同+0.1万坪)等で増加したが、建替えに伴う閉鎖等により「駅前通・大通公園地区」(前年比▲1.4万坪)で減少し、札幌ビジネス地区全体で▲0.5万坪の減少となった(図表-9)。
これに対して、テナントによる賃貸面積は、「北口地区」(前年比+0.5万坪)や「南1条以南地区」(同+0.2万坪)、「創成川東・西11丁目近辺地区」(同+0.2万坪)等で増加した一方、「駅前通・大通公園地区」(前年比▲1.2万坪)で減少し、全体で▲0.3万坪の減少となった。この結果、空室面積は全体で▲0.2万坪の減少となった。
エリア別の募集賃料(2023年6月時点)は、「北口地区:前年比7.0%」、「駅前通・大通公園地区:同+4.3%」、「創成川東・西11丁目近辺地区:同+3.9%」、「駅前東西地区:同+1.6%」、「南1条以南地区:同+0.9%」となり、いずれのエリアも上昇基調で推移している。(図表-10右図)。
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- 【職歴】
2007年 住信基礎研究所(現 三井住友トラスト基礎研究所)
2018年 ニッセイ基礎研究所
【加入団体等】
一般社団法人不動産証券化協会資格教育小委員会分科会委員(2020年度~)
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