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パワーカップル世帯の動向(2)生活基盤の状況-小学生の子を持つ30・40代、DINKS40・50代、大企業勤務夫婦、4割が金融資産4千万円以上

生活研究部 上席研究員 久我 尚子
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- 20~60歳代を対象としたニッセイ基礎研究所の調査を用いて、パワーカップルの妻の年代やライフステージを見ると、小学生の子を持つ30・40歳代(2割強)、DINKSの40・50歳代(同約2割)、独立した子を持つ50・60歳代(同2割弱)が多い様子がうかがえる。また、一般的な共働き世帯と比べて子どもの数が多い傾向がある(扶養している子のいる共働き世帯全体で2人以上は約半数、パワーカップルは7割弱)。
- 職業は、パワーカップル妻の約8割が正規雇用者、約1割が役員で、これらの過半数が従業員規模1,000人以上の組織で働いている。また、夫の約7割は正規雇用者、約15%が役員、約半数が従業員規模1,000人以上の組織で働いている。夫婦を比べると、妻の方が公務員や自営業・自由業が多く、従業員規模の大きな組織で勤務している傾向があり、雇用環境の安定性や働き方の柔軟性を重視する傾向が一定程度強い。
- 居住形態は、パワーカップルの7割以上が持ち家に住む(戸建て約半数、マンション約4分の1)。共働き世帯自体が利便性重視志向の高さなどから、マンション居住率がやや高く、持ち家保有率がやや高いため、パワーカップルに一般的な共働き世帯と比べた目立った特徴があるわけではない。なお、持ち家保有率の高さは、妻の年収というよりも、年代やライフステージの影響の方が大きい。
- 金融資産は、パワーカップルでは約4割が4,000万円以上を、約8割が1,000万円以上を保有しており、一般的な共働き世帯(1,000万円以上が約4割)とは大きな差がある。なお、妻の年収が高いほど、1,000万円以上の保有割合は高まる傾向がある。家計管理者は、約半数が妻、4割弱が夫婦での共同管理である。なお、妻の年収が高いほど、夫婦での共同管理が増える傾向がある。
- 生活や働き方の選択肢が増す中で、誰もが共働きやパワーカップルを目指す必要はないだろう。一方でパワーカップルとなるにしても、女性が出産・子育て期も正規雇用の仕事を継続できるような環境整備や若い世代の経済基盤の安定化等が課題であり、実は、現在、将来を担う世代の就業環境の改善を図る上での課題と重なる。
■目次
1――はじめに~実はDEWKSが約6割のパワーカップル、その生活基盤の状況は?
2――生活基盤の状況~小学生の親やDINKSなど、大企業勤務、金融資産4千万円以上が4割
1|年代やライフステージ
~小学生の子を持つ30・40代、DINKSの40・50代、独立子を持つ50・60代、
子どもは2人以上が7割弱で一般的な共働き世帯より多め、世帯主妻が約4割
2|本人や配偶者の仕事
~大企業勤務の正規雇用者夫婦が半数以上、妻が公務員や役員も1割程度
3|居住形態
~パワーカップルというより共働き世帯の特徴が色濃い、マンション居住と持ち家が
やや多い
4|金融資産
~8割以上は1千万円以上、約4割は4千万円以上、妻が高年収ほど多い
5|家計管理者
~妻が半数、夫婦での共同管理は35.8%、妻が高収入ほど共同管理は増加
3――おわりに~将来を担う世代の就業環境改善の延長にはパワーカップルの姿も
(2023年07月27日「基礎研レポート」)

03-3512-1878
- プロフィール
【職歴】
2001年 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ入社
2007年 独立行政法人日本学術振興会特別研究員(統計科学)採用
2010年 ニッセイ基礎研究所 生活研究部門
2021年7月より現職
・神奈川県「神奈川なでしこブランドアドバイザリー委員会」委員(2013年~2019年)
・内閣府「統計委員会」専門委員(2013年~2015年)
・総務省「速報性のある包括的な消費関連指標の在り方に関する研究会」委員(2016~2017年)
・東京都「東京都監理団体経営目標評価制度に係る評価委員会」委員(2017年~2021年)
・東京都「東京都立図書館協議会」委員(2019年~2023年)
・総務省「統計委員会」臨時委員(2019年~2023年)
・経済産業省「産業構造審議会」臨時委員(2022年~)
・総務省「統計委員会」委員(2023年~)
【加入団体等】
日本マーケティング・サイエンス学会、日本消費者行動研究学会、
生命保険経営学会、日本行動計量学会、Psychometric Society
久我 尚子のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
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