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- 5類感染症になってからのマスク着用やアルコール消毒の状況
2023年07月13日
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1――はじめに
新型コロナウイルスについて、感染症法上の取り扱いは、「新型インフルエンザ等感染症(いわゆる2類相当)」とされてきたが、2023年5月8日から「5類感染症」に位置づけられた。これにともない、法律に基づき行政が、人々の生活に対して様々な要請や関与をする仕組みから、個人の選択を尊重し、自主的な取組をベースとした対応に変わった。マスク着用についても、屋内では距離が確保できる場合や会話をほとんど行わない場合を除いて着用が推奨されてきたが、3月13日以降は個人の判断に委ねられることが厚労省から周知された。
こういった変化にともない、感染症対策の実施状況はどのように変化しただろうか。本稿では、ニッセイ基礎研究所が定期的に行っているアンケートを使って、マスク着用とアルコールによる手指消毒の実施状況がどの程度変わったか紹介する。
こういった変化にともない、感染症対策の実施状況はどのように変化しただろうか。本稿では、ニッセイ基礎研究所が定期的に行っているアンケートを使って、マスク着用とアルコールによる手指消毒の実施状況がどの程度変わったか紹介する。
2――調査結果
1|使用したデータ
使用したデータはニッセイ基礎研究所による「新型コロナによる暮らしの変化に関する調査」の第9回~第12回調査の結果、および「生活に関する調査」の結果で、以下では、この1年間の感染対策の実施状況の変化をみる。
使用したデータはニッセイ基礎研究所による「新型コロナによる暮らしの変化に関する調査」の第9回~第12回調査の結果、および「生活に関する調査」の結果で、以下では、この1年間の感染対策の実施状況の変化をみる。
続いて、「毎日」と回答した割合を、性、年齢群団、就労状況、および不特定多数の人と接する場の利用頻度別にみた結果を図表2に示す。不特定多数の人と接する場の例として、本稿では、調査から取得できる「電車やバスでの移動」「スーパーでの買い物」の利用頻度を使った。電車やバスでの移動や、スーパーでの買い物は不特定多数の人と接する可能性があり、また、場合によっては混雑する可能性がある。
その結果、2023年6月のマスク着用については、男女差はないが、年齢では50~64歳が高かった。就労状況でみると、就労者で高かった。また、電車やバスといった公共交通機関での移動を週3回以上行う人で高かったほか、スーパーでの買い物をする頻度が高いほど高かった。就労者、および就労している中で年齢が高いと思われる50~64歳、公共交通機関やスーパー等多くの人と接する機会が多い人で毎日マスクを着用する傾向があったと考えられる。
2023年6月のアルコールによる手指消毒については、女性で高く、50~64歳だけでなく65歳以上でも高かった。マスクと同様に就労者の方が高かった。電車やバスでの移動頻度による大きな差はないが、スーパーでの買い物を行う頻度が高い人ほど高かった。手指の消毒は、スーパー等店頭に設置されていることが多いことから、女性や65歳以上を含めて、買い物に行く機会が多い人で実施している傾向があったようだ。
2022年6月時点と比べると、図表1で示したとおり、マスク着用やアルコールによる手指の消毒は、2023年6月の時点で実施者が減っていたが、就労者、特に就労者の中では年齢が高い人や公共交通機関をよく利用する人でマスクを着用する割合が高く、女性や年齢が高い人やスーパーでの買い物を行う頻度が高い人でアルコールによる手指の消毒を行う割合が高い傾向は続いていた。
その結果、2023年6月のマスク着用については、男女差はないが、年齢では50~64歳が高かった。就労状況でみると、就労者で高かった。また、電車やバスといった公共交通機関での移動を週3回以上行う人で高かったほか、スーパーでの買い物をする頻度が高いほど高かった。就労者、および就労している中で年齢が高いと思われる50~64歳、公共交通機関やスーパー等多くの人と接する機会が多い人で毎日マスクを着用する傾向があったと考えられる。
2023年6月のアルコールによる手指消毒については、女性で高く、50~64歳だけでなく65歳以上でも高かった。マスクと同様に就労者の方が高かった。電車やバスでの移動頻度による大きな差はないが、スーパーでの買い物を行う頻度が高い人ほど高かった。手指の消毒は、スーパー等店頭に設置されていることが多いことから、女性や65歳以上を含めて、買い物に行く機会が多い人で実施している傾向があったようだ。
2022年6月時点と比べると、図表1で示したとおり、マスク着用やアルコールによる手指の消毒は、2023年6月の時点で実施者が減っていたが、就労者、特に就労者の中では年齢が高い人や公共交通機関をよく利用する人でマスクを着用する割合が高く、女性や年齢が高い人やスーパーでの買い物を行う頻度が高い人でアルコールによる手指の消毒を行う割合が高い傾向は続いていた。
3――おわりに
2023年3月に、マスク着用について個人の判断に委ねられることが厚労省から周知された。こういった変化にともなって、マスクの着用やアルコールによる手指の消毒等の感染対策を行っている割合は大幅に低下している。しかし2023年6月時点では、就労者、および就労している中で年齢が高いと思われる50~64歳、公共交通機関やスーパー等多くの人と接する機会が多い人で毎日マスクを着用する傾向や女性や年齢が高い人やスーパーでの買い物を行う頻度が高い人でアルコールによる手指の消毒を行う割合が高い傾向は続いていた。
(2023年07月13日「基礎研レター」)
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経歴
- 【職歴】
2003年 ニッセイ基礎研究所入社
村松 容子のレポート
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