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- ユーロ圏消費者物価(23年6月)-コア指数伸び率が前年比で上昇
2023年07月03日
1.結果の概要:前年比伸び率で総合指数は低下したが、コアは上昇
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。
2 日本の消費者物価指数のコアコアCPI、米国の消費者物価指数のコアCPIに相当するもの。ただし、ユーロ圏の指数はアルコール飲料も除いており、日本のコアコアCPIや米国のコアCPIとは若干定義が異なる。
2.結果の詳細:サービス物価が前年比で再び上昇
23年6月のHICP上昇率3(前年同月比)は全体で5.5%となり、5月の6.1%から大幅に低下した。一方、「コア部分(=エネルギーと飲食料を除く総合)」は5.4%となり、5月(5.3%)から上昇に転じている。
以下、詳細を「コア部分」「エネルギー」「飲食料(アルコール含む)」の3つに分けて見ていく。
まず、コア部分である「エネルギーと飲食料を除く総合」の内訳を見ると、「エネルギーを除く財(飲食料も除く)」が4月6.2%→5月5.8%→6月5.5%、「サービス」(エネルギーを除く)が4月5.2%→5月5.0%→6月5.4%となり、財の低下が続く一方、サービスが再び上昇した。前年同月比寄与度は、「財」が1.35%ポイント程度、「サービス」が2.14%ポイント程度と見られる。
コア以外の部分では「エネルギー」が前年同月比で4月2.3%→5月▲1.8%→6月▲5.6%とマイナス幅が大幅に拡大した。前月比では▲0.7%と5か月連続のマイナスになった。エネルギーの前年同月比寄与度は▲0.82%ポイント程度(5月は▲0.09%ポイント)と見られる(前掲図表1)。
以下、詳細を「コア部分」「エネルギー」「飲食料(アルコール含む)」の3つに分けて見ていく。
まず、コア部分である「エネルギーと飲食料を除く総合」の内訳を見ると、「エネルギーを除く財(飲食料も除く)」が4月6.2%→5月5.8%→6月5.5%、「サービス」(エネルギーを除く)が4月5.2%→5月5.0%→6月5.4%となり、財の低下が続く一方、サービスが再び上昇した。前年同月比寄与度は、「財」が1.35%ポイント程度、「サービス」が2.14%ポイント程度と見られる。
コア以外の部分では「エネルギー」が前年同月比で4月2.3%→5月▲1.8%→6月▲5.6%とマイナス幅が大幅に拡大した。前月比では▲0.7%と5か月連続のマイナスになった。エネルギーの前年同月比寄与度は▲0.82%ポイント程度(5月は▲0.09%ポイント)と見られる(前掲図表1)。
「飲食料(アルコール含む)」は、前年同月比で11.7%(5月12.5%)と3か月連続で大幅に低下した(図表3)。飲食料のうち加工食品の伸び率は12.5%(5月13.4%)、未加工食品は9.0%(5月9.6%)といずれも低下した。飲食料の前年同月比寄与度は2.51%ポイント程度(5月は2.54%ポイント)と見られる。
6月はこれまでと同様、エネルギー価格の下落が続くなか、飲食料や財が減速したため総合指数の伸び率は大幅に低下した。一方で、サービス物価は前年比での上昇傾向に歯止めがかかっておらず、コア物価は前年比で上昇している。
物価上昇の勢いをECBが公表する季節調整済系列で確認すると、3か月移動平均後の3か月前比年率で総合指数が2.6%、エネルギーを除く財が2.8%、サービスが5.3%、コアが4.4%だった(図表4)。財価格上昇の勢いは2%台まで弱まったが、サービス物価の勢いは依然強い。
6月はこれまでと同様、エネルギー価格の下落が続くなか、飲食料や財が減速したため総合指数の伸び率は大幅に低下した。一方で、サービス物価は前年比での上昇傾向に歯止めがかかっておらず、コア物価は前年比で上昇している。
物価上昇の勢いをECBが公表する季節調整済系列で確認すると、3か月移動平均後の3か月前比年率で総合指数が2.6%、エネルギーを除く財が2.8%、サービスが5.3%、コアが4.4%だった(図表4)。財価格上昇の勢いは2%台まで弱まったが、サービス物価の勢いは依然強い。
国別のHICP上昇率は、前年同月比で20か国中、上昇したのはドイツとクロアチアのみで残りの18か国は低下した(図表5)。前月比では15か国がプラスの伸び率で、5か国はマイナスの伸び率となった(図表6)。
3 23年からはユーロ圏20か国のデータ、22年までは19か国のデータ(以降も特に断りがない限り同様)。
3 23年からはユーロ圏20か国のデータ、22年までは19か国のデータ(以降も特に断りがない限り同様)。
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(2023年07月03日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
- 【職歴】
2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
2009年 日本経済研究センターへ派遣
2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
2014年 同、米国経済担当
2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
2020年 ニッセイ基礎研究所
2023年より現職
・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
アドバイザー(2024年4月~)
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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