2023年06月02日

ユーロ圏失業率(2023年4月)-失業率は6%台半ばの低水準を維持

経済研究部 主任研究員 高山 武士

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1.結果の概要:失業率は6.5%にやや低下

6月1日、欧州委員会統計局(Eurostat)はユーロ圏の失業率を公表し、結果は以下の通りとなった。
 

【ユーロ圏失業率(20か国、2023年4月、季節調整値)】
失業率は6.5%、市場予想1(6.5%)と一致、前月(6.6%)から低下した(図表1)
失業者は1097.3万人となり、前月(1100.5万人)から3.2万人減少した

(図表1)失業率と国別失業者数/(図表2)若年失業率(25才未満)と国別若年失業者数
 
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。

2.結果の詳細:若年失業率が13%台まで低下

ユーロ圏(20か国)の4月の失業率は6.5%で、3月(6.6%)からわずかに低下し、統計データ公表以来の最低値を更新した。また過去データは、3月がやや悪化方向に改定された(改定前6.5%→改定後6.6%)。

失業者数は4月の前月差で3.2万人減となり、22年12月以降5か月連続で減少した(図表3・4)。主要4か国のすべてで失業者数が減少、減少幅が大きい順にスペイン(▲3.0万人)、イタリア(▲1.5万人)、ドイツ(▲0.5万人)、フランス(▲0.4万人)だった。

4月の若年失業率は13.9%で、3月(14.0%)からさらに低下し、22年5月に記録したコロナ禍後の最低値(14.0%)を下回った(図表2)。なお、若年失業率の過去データは総じて改善方向に改定されている(3月改定前14.3%→改定後14.0%、2月14.4%→14.1%、1月14.4%→14.2%)。

若年失業者数は4月で218.1万人(前月差▲0.8万人)となり、3か月連続で減少した。若年失業者数はコロナ禍後の最低値(213.6万人、22年2月)を上回る状況ではあるが、コロナショック直前の水準は下回っている(図表4)。
(図表3)ユーロ圏(20か国)の累積失業者数変化/(図表4)ユーロ圏(20か国)の累積失業者数変化
国別の4月のデータを見ると、失業率はデータが公表されている20か国中、悪化した国が4か国、改善が9か国、横ばいが7か国だった(図表5)。また、若年失業率は公表されている16か国中、悪化した国が6か国、改善が9か国、横ばいが1か国だった(図表6)。国によりバラツキはあるものの、4月は改善した国が多かった。
(図表5)ユーロ圏の失業率(国別)/(図表6)ユーロ圏の若年失業率(国別)
最後に詳細な月次データを公表しているイタリアとポルトガルについて確認すると、イタリアは失業者と非労働力人口が減少、就業者が増加した。ポルトガルは失業者が大幅に減少したが、それ以上に非労働力人口が減少したため、就業者も減少した(図表7・8)。
(図表7)イタリアの失業者・非労働力人口・労働参加率/(図表8)ポルトガルの失業者・非労働力人口・労働参加率
 
 

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経済研究部   主任研究員

高山 武士 (たかやま たけし)

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

経歴
  • 【職歴】
     2002年 東京工業大学入学(理学部)
     2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
     2009年 日本経済研究センターへ派遣
     2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
     2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
     2014年 同、米国経済担当
     2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
     2020年 ニッセイ基礎研究所
     2023年より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

(2023年06月02日「経済・金融フラッシュ」)

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