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性別を理由とする不利益~男性は低年齢ほど不利益を感じている

保険研究部 主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター兼任 村松 容子
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3――おわりに
34歳以下の男性全体の働き方に対する考え方と職場の現状の特徴として、他の世代の男性と比べて、仕事で成功したい気持ちや、男女の役割分担意識は強い可能性があったが、同時に「男性も少なくとも数週間~数か月は育児休暇を取るべき」や、「仕事をするなら、やりがいよりも家庭や日常生活との両立のしやすさを重視する」が少し上の世代より高い傾向があり、世代全体とすれば、上の世代と比べて両立に対して積極的であり、仕事も家庭も大切にしたい意向があるようだ。
34歳以下の男性で、「働くうえで、性別を理由として不利益を被ったと感じることがある」と回答した人の働き方等に対する考え方の特徴としては、仕事で成功したいという気持ちが同年代の中でも強く、ワークエンゲージメントが高いことと、昔ながらの男女の役割分担意識も、同年代の中で強いことがあげられた。本人は家庭生活に満足している傾向があった。こういった人は仕事への熱意があり、家庭への満足も高く、大黒柱として仕事に集中し、ひと昔前であれば、職場における評価も高かった可能性がある。しかし、男性に家庭と仕事の両立を求めることや、女性の管理職割合を上げること等、これまでの男女の役割分担を見直す議論が強まる中では、必ずしも心地よく働けておらず、これまでだったらもっと評価されたはずだ、といった意識があるのかもしれない。
また、34歳以下の男性で、「働くうえで、性別を理由として不利益を被ったと感じることがある」と回答した人では、セクハラ・パワハラを見聞きすることがあると回答していることが特徴となっていた。男性に対するハラスメントかどうかは不明であるが、職場にハラスメントが横行している等、課題がある可能性が考えられる。
今回、男性では若年ほど「不利益を被ったと感じる」と回答した割合が高かったことから、どういった不利益が生じている可能性があるか分析を行った。しかし、男性の中でもっとも割合が高かった34歳以下であっても、女性の同年代と比べると、今なお女性の方が「不利益を被ったと感じる」と回答した割合が高い。男女それぞれが上の世代と比較して、回答している可能性もある。今後も、男女それぞれどういった人にどのような不利益が生じているか、注意していく必要があるだろう。
現在、就労している人には、男女雇用機会均等法成立前から働く人もいるが、今回分析した34歳以下は、成立後に生まれた世代であり、考え方も年齢や育った環境、職場によってかなり差があると考えられ、職場環境の変化と同じスピードで意識は変化していない可能性がある。各就労者が、自分の仕事と家庭を両立しながら、周囲の考え方を尊重し、職場で安心して働けるよう、また、職場でも働く意欲が高い従業員を評価できるよう意識のすり合わせをしていく必要もあるだろう。
(2023年06月26日「基礎研レポート」)

03-3512-1783
- 【職歴】
2003年 ニッセイ基礎研究所入社
村松 容子のレポート
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