- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 保険 >
- 中国・アジア保険事情 >
- 韓国の生命保険市場の現状-2021年と2022年のデータを中心に-
4――販売チャネルと販売制度
最近は若者の保険外交員離れが続いており、保険外交員の高年齢化も進んでいる。つまり、保険外交員に占める30歳未満と30~39歳の割合はそれぞれ2011年の7.1%と28.3%から2021年には3.9%と13.2%に低下したことに比べて、50~59歳と60歳以上の割合は同期間に19.8%と2.6%から37.7%と15.5%に大きく上昇した。
若者が保険外交員になろうとしない理由は、韓国では保険外交員が個人事業主で働くケースが多く、安定的な収入が保障されていないからである。今後労働力人口の減少が予想される中で保険業界がどのように若手人材を確保するのか、また、どのような販売チャネルをより活用するのか注目したい。
5――収支動向
6――結びに代えて
韓国の生命保険業界は若者の保険離れと少子高齢化、そして人口減少にどのように対応するだろうか。韓国の生命保険業界の今後の対応に注目したい。
1 韓国における少子化の原因は、子育て世帯の経済的負担の問題だけではなく、未婚化や晩婚化の影響も受けている。しかしながら、韓国政府の少子化対策は、出産奨励金や保育費の支援、そして教育インフラの構築など主に子育て世帯に対する所得支援政策に偏っている。韓国政府がこのような少子化対策を実施したことにより結婚した世帯の出生率は少し改善され、子育て世帯も少しは経済的に助けられたと考えられる。しかしながら少子化の他の要因である未婚化や晩婚化に対する対策はあまり行われていない。従って、今後は子育て世帯に対する対策だけではなく、未婚率や晩婚率を改善するための対策により力を入れるべきであり、そのためには何よりも雇用の安定性を高める必要がある。特に、男女間における賃金格差、出産や育児による経歴断絶、ガラスの天井など結婚を妨げる問題を改善し、女性がより安心して長く労働市場に参加できる環境を作ることが大事である。少子化対策が子育て支援政策に偏らないように注意する必要がある。
参考文献
日本語
- 金明中(2022)「【アジア・新興国】韓国の生命保険市場の現状-2020年と2021年のデータを中心に-」保険・年金フォーカス、2022年7月5日
- 金明中(2023)「韓国の出生率0.78で、7年連続過去最低を更新-少子化の主な原因と今後の対策について-」基礎研レポート、2023年3月9日
韓国語
- 生命保険協会『生命保険Factbook』各年
- 保険研究院「保険動向」各号
このレポートの関連カテゴリ
生活研究部 上席研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任
金 明中 (きむ みょんじゅん)
研究・専門分野
高齢者雇用、不安定労働、働き方改革、貧困・格差、日韓社会政策比較、日韓経済比較、人的資源管理、基礎統計
03-3512-1825
- プロフィール
【職歴】
独立行政法人労働政策研究・研修機構アシスタント・フェロー、日本経済研究センター研究員を経て、2008年9月ニッセイ基礎研究所へ、2023年7月から現職
・2011年~ 日本女子大学非常勤講師
・2015年~ 日本女子大学現代女性キャリア研究所特任研究員
・2021年~ 横浜市立大学非常勤講師
・2021年~ 専修大学非常勤講師
・2021年~ 日本大学非常勤講師
・2022年~ 亜細亜大学都市創造学部特任准教授
・2022年~ 慶應義塾大学非常勤講師
・2024年~ 関東学院大学非常勤講師
・2019年 労働政策研究会議準備委員会準備委員
東アジア経済経営学会理事
・2021年 第36回韓日経済経営国際学術大会準備委員会準備委員
【加入団体等】
・日本経済学会
・日本労務学会
・社会政策学会
・日本労使関係研究協会
・東アジア経済経営学会
・現代韓国朝鮮学会
・韓国人事管理学会
・博士(慶應義塾大学、商学)
(2023年05月31日「保険・年金フォーカス」)
公式SNSアカウント
新着レポートを随時お届け!日々の情報収集にぜひご活用ください。
新着記事
-
2024年05月10日
米国消費者の生命保険ニーズギャップは過去最大-コロナ禍以降、ニーズギャップは拡大- -
2024年05月10日
英国金融政策(5月MPC公表)-6会合連続で政策金利据え置きを決定 -
2024年05月10日
米労働市場の減速は続くか-中小企業を中心に労働需要が低下するほか、移民増加が賃金上昇圧力を緩和する可能性 -
2024年05月10日
投資部門別売買動向(24年4月)~個人は2カ月連続買い越し~ -
2024年05月10日
Japan Real Estate Market Quarterly Review-First Quarter 2024
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年04月02日
News Release
-
2024年02月19日
News Release
-
2023年07月03日
News Release
【韓国の生命保険市場の現状-2021年と2022年のデータを中心に-】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
韓国の生命保険市場の現状-2021年と2022年のデータを中心に-のレポート Topへ