2023年05月18日

貿易統計23年4月-原油価格の下落を主因として貿易赤字は縮小が続く

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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1.貿易赤字(季節調整値)は6ヵ月連続で縮小

財務省が5月18日に公表した貿易統計によると、23年4月の貿易収支は▲4,324億円の赤字となったが、赤字幅は事前の市場予想(QUICK集計:▲6,000億円、当社予想は▲6,276億円)を下回る結果となった。輸出が前年比2.6%(3月:同4.3%)と増加を続ける一方、輸入が前年比▲2.3%(3月:同7.3%)と21年1月以来、2年3ヵ月ぶりの減少となったため、貿易収支は前年に比べ4,225億円の改善となった。貿易収支が前年に比べて改善したのは、21年7月以来、1年9ヵ月ぶりとなる。

輸出の内訳を数量、価格に分けてみると、輸出数量が前年比▲6.2%(3月:同▲8.1%)、輸出価格が前年比9.4%(3月:同13.6%)、輸入の内訳は、輸入数量が前年比▲0.4%(3月:同▲2.6%)、輸入価格が前年比▲1.9%(3月:同10.2%)であった。
貿易収支の推移/貿易収支(季節調整値)の推移
輸出金額の要因分解/輸入金額の要因分解
季節調整済の貿易収支は▲10,172億円と21ヵ月連続の赤字となったが、3月の▲12,135億円から赤字幅が縮小した。輸出が前月比2.5%と2ヵ月ぶりの増加となり、輸入の伸び(同0.1%)を上回った。貿易赤字(季節調整値)は22年10月の▲23,879億円をピークに6ヵ月連続で縮小し、赤字幅はピーク時の4割程度となった。
原油価格(ドバイと入着ベース)の推移 23年4月の通関(入着)ベースの原油価格は1バレル=83.5ドル(当研究所による試算値)と、3月の85.4ドルから低下した。足もとの原油価格(ドバイ)は70ドル台前半まで下落している。長期契約で販売する際に指標価格に上乗せされる調整金、船賃、保険料などを含めた通関ベースの原油価格は5月に80ドル台後半までいったん上昇した後、6月には80ドル程度まで下落することが見込まれる。

原油価格の下落に伴う輸入金額の減少を主因として貿易赤字は縮小傾向にある。先行きについては、輸入の減少傾向がしばらく続く一方、海外経済の減速を背景に輸出の低迷が続くことから、貿易収支(季節調整値)は現状程度の赤字で推移することが予想される。

2.中国向け輸出が持ち直しの兆し

23年4月の輸出数量指数を地域別に見ると、米国向けが前年比▲5.6%(3月:同▲9.2%)、EU向けが前年比▲2.5%(3月:同▲12.7%)、アジア向けが前年比▲12.9%(3月:同▲10.8%)、うち中国向けが前年比▲10.0%(3月:同▲20.6%)となった。
地域別輸出数量指数(季節調整値)の推移 23年4月の地域別輸出数量指数を季節調整値(当研究所による試算値)でみると、米国向けが前月比4.5%(3月:同▲2.1%)、EU向けが前月比5.4%(3月:同▲1.5%)、アジア向けが前月比▲2.1%(3月:同▲0.2%)、うち中国向けが前月比1.3%(3月:同2.4%)、全体では前月比1.7%(3月:同▲1.1%)となった。

米国向け、EU向けは前月比でプラスとなったが、前月までの落ち込みの反動もあるため、底打ちしたとは言えない。一方、中国向けは22年末から23年初にかけて急速に落ち込んだ後、2月からは3ヵ月連続で上昇している。ゼロコロナ政策終了後の景気回復を受けて、中国向けの輸出は持ち直しの兆しが見られる。

先行きの輸出は、中国向けの持ち直しが続くものの、金融引き締めの影響で景気減速がより鮮明となることが見込まれる欧米向けを中心に低迷が続く可能性が高い。
 
 

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(2023年05月18日「経済・金融フラッシュ」)

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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