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- ユーロ圏消費者物価(23年4月)-依然高水準だが財インフレにピークアウト感
2023年05月08日
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1.結果の概要:総合指数伸び率は7.0%
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。
2 日本の消費者物価指数のコアコアCPI、米国の消費者物価指数のコアCPIに相当するもの。ただし、ユーロ圏の指数はアルコール飲料も除いており、日本のコアコアCPIや米国のコアCPIとは若干定義が異なる。
2.結果の詳細:財インフレにはピークアウト感
23年4月のHICP上昇率(前年同月比)は全体で7.0%となり、3月の6.9%からわずかに上昇した3。一方、「コア部分(=エネルギーと飲食料を除く総合)」は5.6%となり、統計データ開始以来の最も高い伸び率だった3月(5.7%)からわずかに低下した。
以下、詳細を「コア部分」「エネルギー」「飲食料(アルコール含む)」の3つに分けて見ていく。
まず、コア部分である「エネルギーと飲食料を除く総合」の内訳を見ると、「エネルギーを除く財(飲食料も除く)」が2月6.8%→3月6.6%→4月6.2%、「サービス」(エネルギーを除く)が2月4.8%→3月5.1%→4月5.2%となり、財は伸び率が低下したが、サービスの伸び率はやや上昇した(前掲図表2)。前年同月比寄与度は、「財」が1.54%ポイント程度、「サービス」が2.18%ポイント程度と見られる。コア以外の部分では「エネルギー」が前年同月比で2月13.7%→3月▲0.9%→4月2.5%となった。3月のマイナスから再びプラスの伸び率となったものの、低い伸び率にとどまった。4月の前月比は▲0.8%だった。エネルギーの前年同月比寄与度は0.35%ポイント程度(3月は▲0.05%ポイント)となった(前掲図表1)。
以下、詳細を「コア部分」「エネルギー」「飲食料(アルコール含む)」の3つに分けて見ていく。
まず、コア部分である「エネルギーと飲食料を除く総合」の内訳を見ると、「エネルギーを除く財(飲食料も除く)」が2月6.8%→3月6.6%→4月6.2%、「サービス」(エネルギーを除く)が2月4.8%→3月5.1%→4月5.2%となり、財は伸び率が低下したが、サービスの伸び率はやや上昇した(前掲図表2)。前年同月比寄与度は、「財」が1.54%ポイント程度、「サービス」が2.18%ポイント程度と見られる。コア以外の部分では「エネルギー」が前年同月比で2月13.7%→3月▲0.9%→4月2.5%となった。3月のマイナスから再びプラスの伸び率となったものの、低い伸び率にとどまった。4月の前月比は▲0.8%だった。エネルギーの前年同月比寄与度は0.35%ポイント程度(3月は▲0.05%ポイント)となった(前掲図表1)。
「飲食料(アルコール含む)」は、前年同月比で13.6%(3月15.5%)と大幅に低下した。飲食料のうち加工食品の伸び率は14.7%(3月15.7%)、未加工食品は10.0%(3月14.7%)といずれも減速、特に未加工食品の減速幅が大きかった(図表3)。飲食料の前年同月比寄与度は2.90%ポイント程度(3月は3.12%ポイント)と見られる。
総じて見ると、4月はエネルギー以外の財・サービス・飲食料物価が上昇をけん引し、インフレ圧力は依然として根強い。ただし、財は2か月連続で前年比の伸びが鈍化、飲食料も未加工食品中心に大幅に伸びが鈍化するなど、ピークアウトの兆しも見られる。
なお、物価上昇の勢いをECBが公表する季節調整済系列で確認すると、3か月移動平均後の3か月前比年率で総合指数が4.6%、エネルギーを除く財、サービス、コアはそれぞれ6%前後となっており、いずれも依然として高い水準となっている(図表4)。
総じて見ると、4月はエネルギー以外の財・サービス・飲食料物価が上昇をけん引し、インフレ圧力は依然として根強い。ただし、財は2か月連続で前年比の伸びが鈍化、飲食料も未加工食品中心に大幅に伸びが鈍化するなど、ピークアウトの兆しも見られる。
なお、物価上昇の勢いをECBが公表する季節調整済系列で確認すると、3か月移動平均後の3か月前比年率で総合指数が4.6%、エネルギーを除く財、サービス、コアはそれぞれ6%前後となっており、いずれも依然として高い水準となっている(図表4)。
国別のHICP上昇率は、前年同月比で20か国中15か国が減速、5か国が加速した(図表5)。前月比では19か国中がプラスの伸び率で、ベルギーのみマイナスの伸び率となった(図表6)。
3 23年からはユーロ圏20か国のデータ、22年までは19か国のデータ(以降も特に断りがない限り同様)。
3 23年からはユーロ圏20か国のデータ、22年までは19か国のデータ(以降も特に断りがない限り同様)。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2023年05月08日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
- 【職歴】
2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
2009年 日本経済研究センターへ派遣
2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
2014年 同、米国経済担当
2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
2020年 ニッセイ基礎研究所
2023年より現職
・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
アドバイザー(2024年4月~)
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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