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気候指数 [全国版] の作成-日本の気候の極端さは1971年以降の最高水準

保険研究部 主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員 篠原 拓也
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2|日本全体では合成指数が1971年以降の最高水準に
前節の各気候区分の気候指数の計算結果を踏まえたうえで、日本全体のグラフを見ていこう。日本全体は、各地域区分の指数を平均したものとしている。ただし、九州南部と奄美については、両者を一体化した「九州南部・奄美」の地域区分をもとに、平均をとることとしている。
日本全体
高温指数と海面水位指数の2つは、長らく合成指数を上回る水準で推移し続けている。高温指数は、上昇基調にあり、2010年代半ば以降は上昇の勢いが増している。海面水位指数も、上昇傾向が続いている。さらに、湿度指数は、2000年以降マイナスで推移していたが、2010年代半ばにプラスに転じ、急上昇した。
なお、その他の指数をみると、低温指数は、緩やかに低下。降水指数と乾燥指数は、いずれもゼロ近辺で推移。風指数は、概ね0~0.5の範囲内での変動となっている。
高温指数、湿度指数、海面水位指数の上昇が、合成指数の上昇を引き起こす主な要因となっている。
6――おわりに (私見)
今後、気候変動問題が保険事業に与える影響をみていくために、北米で開発されている気候リスク指数のような、気候変動が人命や財産に与えるさまざまなリスクの定量化の試みも必要と考えられる。
グローバルに目を向ければ、地球温暖化を背景とした気候変動の問題は、これからますます注目度が高まるものと考えられる。スーパー台風の襲来や、豪雨、豪雪による激甚災害など、急性リスクの懸念はさらに高まっている。一方、南極やグリーンランドの氷床の融解、アフリカ山岳地域等の氷河の消失、ヨーロッパなどでの熱波や干ばつの発生など、慢性リスクの発生が、人々の生活に深刻な影響を及ぼし始めている。
こうしたリスクを定量的に示すために、引き続き、気候指数の検討を進めるとともに、気候の極端さの定量化に関する海外の調査・研究動向のウォッチを続けていくこととしたい。
(2023年04月06日「基礎研レポート」)

保険研究部 主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員
篠原 拓也 (しのはら たくや)
研究・専門分野
保険商品・計理、共済計理人・コンサルティング業務
03-3512-1823
- 【職歴】
1992年 日本生命保険相互会社入社
2014年 ニッセイ基礎研究所へ
【加入団体等】
・日本アクチュアリー会 正会員
篠原 拓也のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/05/27 | 気候指数 2024年データへの更新-日本の気候の極端さは1971年以降の最高水準を大幅に更新 | 篠原 拓也 | 基礎研レポート |
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