- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 資産運用・資産形成 >
- 投資信託 >
- 外国債券ファンドは本当に魅力的か?~2023年2月の投信動向~
コラム
2023年03月08日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
資金流入がさらに鈍化
2023年2月の日本籍追加型株式投信(ETFを除く。以降、ファンドと表記)の推計資金流出入をみると、2月は主に国内債券を投資対象とするもの以外すべての資産クラスのファンドに資金流入があった【図表1】。ただ、ファンド全体でみると4,100億円の資金流入と1月の5,200億円から1,100億円も減少した。
2月にファンドへの資金流入が減少した最大の要因は、外国株式ファンドの販売が鈍化したことがあげられる。外国株式ファンドには、2月に1,900億円と資産クラス別で相変わらず最大の資金流入があったが、1月の3,200億円から1,300億円も減少した。2月は、外国株式自体は軟調であったが、為替市場で月初に1ドル130円程度だったのが月末には136円台になるなど急激に円安が進行した。円安によって多くの為替ヘッジをしていない外国株式ファンドの基準価額が上昇する中、アクティブ、インデックス問わず外国株式ファンドの購入を見送る、もしくは売却する投資家が多かったようだ。
2月にファンドへの資金流入が減少した最大の要因は、外国株式ファンドの販売が鈍化したことがあげられる。外国株式ファンドには、2月に1,900億円と資産クラス別で相変わらず最大の資金流入があったが、1月の3,200億円から1,300億円も減少した。2月は、外国株式自体は軟調であったが、為替市場で月初に1ドル130円程度だったのが月末には136円台になるなど急激に円安が進行した。円安によって多くの為替ヘッジをしていない外国株式ファンドの基準価額が上昇する中、アクティブ、インデックス問わず外国株式ファンドの購入を見送る、もしくは売却する投資家が多かったようだ。
外国株式ファンドはタイプにより明暗分かれる
外国株式ファンドをタイプ別にみると、アクティブ型(緑棒)が2月に資金流出に転じた【図表2】。純流出となったのは2020年6月以来のことである。2月でも売れていたアクティブ型の外国株式ファンド(【図表3】緑太字)はあったが、以前に人気だった米国株式のものやテーマ型のものを中心に資金流出があった。アクティブ型の米国株式ファンドは2カ月連続の純流出となり、今後も売却基調が続くのか注目される。
また、インデックス型の外国株式ファンド(黄棒)も2月にSMA専用以外のものに2,000億円の資金流入と1月の2,800億円から800億円減少した【図表2】。個別でみても2月に資金流入が大きかったインデックス型の外国株式ファンド4本(青太字)は流入額が1月から軒並み減少した【図表3】。この4本の中でS&P500種株価指数に連動する2本の減少が特に顕著であった。
それでもインデックス型の外国株式ファンドには2月でも2,000億円もの資金流入があり、販売は底堅かったといえよう。やはり積立投資によって安定して買付があることが背景にあるだろう。つみたてNISAは2022年末時点で725万口座に達し、買付額は2022年10-12月に3,700億円と1カ月あたり1,200億円を超えており、そのうち8、9割がインデックス型の買付となっている。2023年も、つみたてNISAを通じて毎月かなりの資金が外国株式ファンドへ流入していると推察される。
また、インデックス型の外国株式ファンド(黄棒)も2月にSMA専用以外のものに2,000億円の資金流入と1月の2,800億円から800億円減少した【図表2】。個別でみても2月に資金流入が大きかったインデックス型の外国株式ファンド4本(青太字)は流入額が1月から軒並み減少した【図表3】。この4本の中でS&P500種株価指数に連動する2本の減少が特に顕著であった。
それでもインデックス型の外国株式ファンドには2月でも2,000億円もの資金流入があり、販売は底堅かったといえよう。やはり積立投資によって安定して買付があることが背景にあるだろう。つみたてNISAは2022年末時点で725万口座に達し、買付額は2022年10-12月に3,700億円と1カ月あたり1,200億円を超えており、そのうち8、9割がインデックス型の買付となっている。2023年も、つみたてNISAを通じて毎月かなりの資金が外国株式ファンドへ流入していると推察される。
外国債券ファンドが見直されてきたが
2月は外国株式ファンドだけでなく、外国債券以外のすべての資産クラスのファンドで1月から資金流入が減少した。先行きに対する警戒感などの投資環境からなのか、単純に買いが一巡してきているのか分かりかねるが、投信市場では総じてリスク性資産に積極的に投資する動きは見られなかった。
その一方で外国債券ファンドには、2月に1,700億円の資金流入があり1月の900億円から増加した。2月はSMA専用の外国債券ファンドに400億円ものまとまった資金流入があったこともあるが、SMA専用以外の外国債券ファンドも1月から600億円も資金流入が増加した。個別にみると、2月に100億円以上の純流入があった外国債券ファンドが4本(赤太字)もあった【図表3】。うち3本は2月に新設された限定追加型のものであり、相変わらず限定追加型のファンドが人気を集めている。
このように外国債券ファンドがここ最近、売れるようになってきている背景には、先行きに対する不透明感が強いことや先進国債券の利回りが復活してきたことがあると思われる。ただし、外国債券ファンドは以前よりは投資冥利が出てきたことは確かだが、それでも投資先として本当に魅力的かは疑問符が付く。それは信託報酬、つまりコストが高いものが多いためである。
2023年2月末の外国債券ファンドの純資産総額をみると、実に年率1%以上(赤囲い)も信託報酬がかかるファンドが7割占めている【図表4】。一言で外国債券といっても定番の先進国債券だけでなく、新興国債券やハイ・イールド債券、さらには転換社債など様々である。ただ、いずれにしても株式より価格変動性が小さい代わりに収益性が劣ることは確かである。そのため、株式ファンド並みの高コストの外国債券ファンドなどでは、コストと収益性が見合っていないように筆者は感じている。
外国債券ファンドに限った話ではないが、特に外国債券ファンドを購入する際にはコスト面も十分に考慮した上で、コスト控除後でも本当に収益が期待できる商品なのか精査したほうが良いだろう。
その一方で外国債券ファンドには、2月に1,700億円の資金流入があり1月の900億円から増加した。2月はSMA専用の外国債券ファンドに400億円ものまとまった資金流入があったこともあるが、SMA専用以外の外国債券ファンドも1月から600億円も資金流入が増加した。個別にみると、2月に100億円以上の純流入があった外国債券ファンドが4本(赤太字)もあった【図表3】。うち3本は2月に新設された限定追加型のものであり、相変わらず限定追加型のファンドが人気を集めている。
このように外国債券ファンドがここ最近、売れるようになってきている背景には、先行きに対する不透明感が強いことや先進国債券の利回りが復活してきたことがあると思われる。ただし、外国債券ファンドは以前よりは投資冥利が出てきたことは確かだが、それでも投資先として本当に魅力的かは疑問符が付く。それは信託報酬、つまりコストが高いものが多いためである。
2023年2月末の外国債券ファンドの純資産総額をみると、実に年率1%以上(赤囲い)も信託報酬がかかるファンドが7割占めている【図表4】。一言で外国債券といっても定番の先進国債券だけでなく、新興国債券やハイ・イールド債券、さらには転換社債など様々である。ただ、いずれにしても株式より価格変動性が小さい代わりに収益性が劣ることは確かである。そのため、株式ファンド並みの高コストの外国債券ファンドなどでは、コストと収益性が見合っていないように筆者は感じている。
外国債券ファンドに限った話ではないが、特に外国債券ファンドを購入する際にはコスト面も十分に考慮した上で、コスト控除後でも本当に収益が期待できる商品なのか精査したほうが良いだろう。
(ご注意)当資料のデータは信頼ある情報源から入手、加工したものですが、その正確性と完全性を保証するものではありません。当資料の内容について、将来見解を変更することもあります。当資料は情報提供が目的であり、投資信託の勧誘するものではありません。
(2023年03月08日「研究員の眼」)

03-3512-1785
経歴
- 【職歴】
2008年 大和総研入社
2009年 大和証券キャピタル・マーケッツ(現大和証券)
2012年 イボットソン・アソシエイツ・ジャパン
2014年 ニッセイ基礎研究所 金融研究部
2022年7月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会検定会員
・投資信託協会「すべての人に世界の成長を届ける研究会」 客員研究員(2020・2021年度)
前山 裕亮のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/07/08 | 世界的な株高で流入鈍化か~2025年6月の投信動向~ | 前山 裕亮 | 研究員の眼 |
2025/06/26 | 新NISAの利用実態~利用状況調査:2024年12月末時点(確報値)を踏まえて~ | 前山 裕亮 | 基礎研レポート |
2025/06/11 | DCでも、国内株式の利確膨らむ~2025年5月の投信動向~ | 前山 裕亮 | 研究員の眼 |
2025/05/29 | 米国株式は高PERでも高収益?~日米株式の資本コスト比較~ | 前山 裕亮 | 研究員の眼 |
新着記事
-
2025年07月11日
トランプ関税の日本経済への波及経路-実質GDPよりも実質GDIの悪化に注意 -
2025年07月10日
企業物価指数2025年6月~ガソリン補助金の影響などで、国内企業物価は前年比3%を割り込む~ -
2025年07月10日
ドイツの生命保険監督を巡る動向(2)-BaFinの2024年Annual ReportやGDVの公表資料からの抜粋報告(生命保険会社等の監督及び業績等の状況)- -
2025年07月09日
バランスシート調整の日中比較(後編)-不良債権処理で後手に回った日本と先手を打ってきた中国 -
2025年07月09日
貸出・マネタリー統計(25年6月)~銀行貸出の伸びが回復、マネタリーベースは前年割れが定着
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年07月01日
News Release
-
2025年06月06日
News Release
-
2025年04月02日
News Release
【外国債券ファンドは本当に魅力的か?~2023年2月の投信動向~】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
外国債券ファンドは本当に魅力的か?~2023年2月の投信動向~のレポート Topへ