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2022年11月28日
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4――JR山手線29駅周辺の街のミクストユースの比較
図表6は、勤務者・居住者・来街者比率の相対的な偏りをもとに、JR山手線29駅を「Work中心」、「Live中心」、「Play中心」、「バランス型」、「その他」に分類した。各比率について、平均から1標準偏差以上大きいものをプラス、低いものをマイナスで示し、偏りがあると評価した。勤務者比率が高い(Work中心)エリアは、東京・神田・浜松町・田町・大崎の5つで、このうち、東京と神田は居住者比率が低く、浜松町・田町・大崎は来街者比率が低い。また、居住者比率が高いエリア(Live中心)は駒込・西日暮里・日暮里・大塚・巣鴨・田端の6つで、このうち、駒込・西日暮里・日暮里は勤務者比率が低く、大塚は来街者比率が低く、巣鴨と田端は勤務者・来街者比率がともに低い。また、来街者比率が高いエリア(Play中心)は渋谷・原宿・上野・池袋・新大久保・新宿・有楽町の7つで、渋谷・原宿・上野・池袋・新大久保は相対的に低い比率はなく、新宿と有楽町は居住者比率が低い。そして、全ての比率で偏りのないエリア(バランス型)は、品川・五反田・目黒・恵比寿・代々木・高田馬場・目白・御徒町・秋葉原の9つとなった。最後に、プラスの偏りのないエリア(その他)のうち、新橋は居住者比率が低く、鶯谷は勤務者比率が低い結果となった。
このように、JR山手線という東京都心部においても街の色彩がエリアごとに異なることがみてとれる。そして、この街の特性の違いは、働きやすさや住みやすさなど街の魅力や活力の違いをもたらす。例えば、Work中心のエリアでは、JR山手線駅の周辺エリアのオフィスワーカーが土日などの休日に出社しないため、休日滞在人口に対して平日滞在人口が多く、平日と休日の滞在人口が大きく変動する(図表7右上)。したがって、曜日間で人口変動の大きい街では、土日に人を呼び込む施設をつくるなど、街の活力を保つ街づくりが求められる。また、街のミクストユースによって外的ショックなどに対する影響度合いが異なることも想定される。そこで次稿では、コロナ禍においてどのように滞在人口の量と質が変化したのかを分析する。
(ご注意)本稿記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本稿は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものでもありません。
(2022年11月28日「不動産投資レポート」)
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