2022年11月04日

ユーロ圏失業率(2022年9月)-失業率は6.6%で良好な状況を維持

経済研究部 主任研究員 高山 武士

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1.結果の概要:6%台半ばの低水準で横ばい推移

11月3日、欧州委員会統計局(Eurostat)はユーロ圏の失業率を公表し、結果は以下の通りとなった。
 

【ユーロ圏19か国失業率(2022年9月、季節調整値)
失業率は6.6%、市場予想1(6.6%)と同じで、前月(6.7%)からやや低下した(図表1)
失業者は1098.8万人となり、前月(1105.4万人)から6.6万人減少した

(図表1)失業率と国別失業者数/(図表2)若年失業率と国別若年失業者数
 
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。

2.結果の詳細:雇用環境は良好な状況を維持している

ユーロ圏の22年9月の失業率は6.6%で、前月(6.7%)からやや低下し、統計データ公表以来の最低値となった。ユーロ圏では高インフレを受けて実質成長率の鈍化が顕著だが、雇用環境は相対的に良好な状況を維持している。なお、今回公表された8月以前の失業率の改定値は小幅に悪化方向に修正された(8月改定前6.7%→改定後6.6%、7月6.7→6.6%)。

失業者数は9月の前月差で6.6万人減と減少、減少幅は8月(同1.1万人減)から拡大した(図表3・4)。主要国の9月の失業者数変化は前月差でドイツ(+0.1万人)、スペイン(+0.6万人)、イタリア(+0.8万人)で増加したものの、フランス(▲6.0万人)では大幅に減少した。

9月の若年失業率は14.6%となり、8月(14.4%)から上昇した(図表2)。なお、8月以前の数値が大幅に悪化方向に改定されている(8月13.9→14.4%、7月14.0→14.4%、6月:14.3→14.5%など)。若年失業者数は9月で224.1万人(前月差+2.5万人)となり、8月(+0.5万人)に続き2か月連続で増加している(図表4)。
(図表3)ユーロ圏(19か国)の累積失業者数変化/(図表4)ユーロ圏(19か国)の累積失業者数変化
国別の9月のデータを見ると、失業率はデータが公表されている19か国中、悪化した国が4か国、改善が6か国、横ばいが9か国だった(図表5)。また、若年失業率は19か国中、悪化した国が11か国、改善が4か国、横ばいが4か国だった(図表6)。
(図表5)ユーロ圏の失業率(国別)/(図表6)ユーロ圏の若年失業率(国別)
最後に詳細な月次データを公表しているイタリアとポルトガルについて確認すると、イタリアでは失業者が微増したものの、非労働力人口が減少したため就業者は増加した(図表7)。その結果、労働参加率は65.4%とやや改善している。

一方、ポルトガルでは失業率が増加、非労働力人口も増加しており、就業者数が減少している。ただし労働参加率は67.8%と高い水準を維持している(図表8)。
(図表7)イタリアの失業者・非労働力人口・労働参加率/(図表8)ポルトガルの失業者・非労働力人口・労働参加率
 
 

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経済研究部   主任研究員

高山 武士 (たかやま たけし)

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

経歴
  • 【職歴】
     2002年 東京工業大学入学(理学部)
     2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
     2009年 日本経済研究センターへ派遣
     2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
     2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
     2014年 同、米国経済担当
     2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
     2020年 ニッセイ基礎研究所
     2023年より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

(2022年11月04日「経済・金融フラッシュ」)

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