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- ユーロ圏GDP(2022年7-9月期)-成長率は減速したがプラス成長を維持
2022年11月01日
1.結果の概要:成長率は減速したがプラス成長を維持
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想も同様
2.結果の詳細:大国4か国はいずれもプラス成長
2022年7-9月期の成長率は前期比0.2%(年率換算0.7%)だった。6四半期連続でのプラス成長となり、実質GDPの水準はコロナ禍前(19年10-12月期)と比較して+2.1%となった。ただし、伸び率は大幅に低下しており、昨年後半から進んだエネルギーを中心とした物価の急上昇を受けて、経済への下押し圧力が強まっていることがうかがえる。
経済規模の大きい4か国の伸び率を見ると(図表3)、前期比ではドイツ0.3%(前期0.1%)、フランス0.2%(前期0.5%)、イタリア0.5%(前期1.1%)、スペイン0.2%(前期1.5%)となった。ドイツを除く3か国が前期から伸び率を低下させている。なお、ドイツやイタリアはロシア産ガスへの依存度が高く、市場予想はドイツがマイナス成長(前期比▲0.2%)、イタリアが横ばい(前期比0.0%)だったが、いずれもプラス成長を維持した。また、公表された9か国のうちでは6か国が前期比でプラスとなっている(図表3、前期は19か国すべてでプラス成長)。実質GDPの水準では、大国4か国のうちスペインを除く国でコロナ禍前の水準を上回ったことになる(図表4)。
経済規模の大きい4か国の伸び率を見ると(図表3)、前期比ではドイツ0.3%(前期0.1%)、フランス0.2%(前期0.5%)、イタリア0.5%(前期1.1%)、スペイン0.2%(前期1.5%)となった。ドイツを除く3か国が前期から伸び率を低下させている。なお、ドイツやイタリアはロシア産ガスへの依存度が高く、市場予想はドイツがマイナス成長(前期比▲0.2%)、イタリアが横ばい(前期比0.0%)だったが、いずれもプラス成長を維持した。また、公表された9か国のうちでは6か国が前期比でプラスとなっている(図表3、前期は19か国すべてでプラス成長)。実質GDPの水準では、大国4か国のうちスペインを除く国でコロナ禍前の水準を上回ったことになる(図表4)。
次にフランスとスペインは各国統計局(フランス国立統計経済研究所(INSEE)、スペイン統計局(INE))がGDPの詳細を公表しているので、以下で見ていきたい。
フランスの成長率(前期比)を需要項目別に見ると、個人消費0.0%(前期+0.2%)、政府消費0.5%(前期▲0.1%)、投資1.3%(前期0.4%)、輸出0.7%(前期1.3%)、輸入2.2%(前期1.2%)となった。在庫変動は前期比寄与度0.2%ポイント、純輸出が前期比寄与度▲0.5%ポイントであり、7-9月期は投資が全体の成長率を押し上げる形となった。
産業別の付加価値は、工業が▲1.0%(前期▲1.2%)、建設業が▲0.7%(前期1.3%)、市場型サービス産業0.5%(前期1.4%)、非市場型サービス0.2%(前期▲0.2%)となった。より細かい業種では、対面サービス産業の居住・飲食業が0.4%(前期9.3%)と大幅に減速している点や電気・ガス・水道業▲6.5%(前期▲6.4%)が前期に続き大きく落ち込んでいる点が目立つ(図表5)。
フランスの成長率(前期比)を需要項目別に見ると、個人消費0.0%(前期+0.2%)、政府消費0.5%(前期▲0.1%)、投資1.3%(前期0.4%)、輸出0.7%(前期1.3%)、輸入2.2%(前期1.2%)となった。在庫変動は前期比寄与度0.2%ポイント、純輸出が前期比寄与度▲0.5%ポイントであり、7-9月期は投資が全体の成長率を押し上げる形となった。
産業別の付加価値は、工業が▲1.0%(前期▲1.2%)、建設業が▲0.7%(前期1.3%)、市場型サービス産業0.5%(前期1.4%)、非市場型サービス0.2%(前期▲0.2%)となった。より細かい業種では、対面サービス産業の居住・飲食業が0.4%(前期9.3%)と大幅に減速している点や電気・ガス・水道業▲6.5%(前期▲6.4%)が前期に続き大きく落ち込んでいる点が目立つ(図表5)。
スペインの成長率(前期比)を需要項目別に見ると、個人消費1.1%(前期1.2%)、政府消費0.6%(前期▲1.3%)、投資0.6%(前期2.5%)、輸出1.3%(前期4.9%)、輸入3.7%(前期2.8%)となった。ただし、個人消費や投資はコロナ禍前の水準を回復していない(それぞれコロナ禍前比で▲5.4%、▲3.2%)。産業別には、工業が0.1%(前期1.7%)、建設業が前期比▲0.1%(前期2.5%)、サービス業が前期比0.7%(前期1.6%)だった。サービス業のうち芸術・娯楽業が7.6%(前期10.7%)と回復が続く一方、不動産業▲2.5%(前期比▲2.3%)の不振が目立つ(図表6)。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2022年11月01日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
- 【職歴】
2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
2009年 日本経済研究センターへ派遣
2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
2014年 同、米国経済担当
2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
2020年 ニッセイ基礎研究所
2023年より現職
・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
アドバイザー(2024年4月~)
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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