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世界各国の市場動向・金融政策(2022年10月)-10月の株価は反発、為替は横ばい
経済研究部 主任研究員 高山 武士
1.概要:10月の株価は反発、為替は横ばい
1 本稿では金融政策はG20について確認する。また、株価・為替についてはMSCI ACWIの指数を構成する47か国・地域について確認する。中国と記載した場合は中国本土を指し香港は除く。また、香港等の地域も含めて「国」と記載する。本文中の先進市場と新興市場の区分についてはMSCIの分類に基づく。
天然ガス価格の急下落は欧州のガス在庫蓄積の進展がさらに進み、また温暖な気候によって消費も抑えられたために貯蔵余力が少なくなってきたことが背景にあると見られる4。
2 ロシアのウクライナ侵攻と経済・金融制裁を受けて、3月にロシアはMSCI ACWIから除外されているが、世界の金融市場に大きな影響を及ぼしたその後の状況を確認するため、本節で概観する。
3 例えば、日本経済新聞「ロシア、食糧危機演出で揺さぶりか 穀物合意を停止」2022年10月30日(22年11月2日アクセス)。国連、トルコ、ウクライナはロシア抜きでの管理を模索したが、ロシアが反発しており先行きの不透明感は高まっている。例えば、日本経済新聞「穀物回廊のロシア参加停止、貨物船200隻超に影響も」2022年11月1日(22年11月2日アクセス)、日本経済新聞「黒海穀物回廊、2日は航行見合わせ ロシア反発で」2022年11月2日(22年11月2日アクセス)。
4 例えば、ウォールストリートジャーナル(日本語版)「ガス不足懸念の欧州、暖冬の影響で供給過剰へ?」2022年10月28日(22年11月2日アクセス)。ただし受渡日の近い先物の価格下落幅が大きいことに対して、受渡日が将来の先物の価格下落は相対的に限定的となっている。
3.株価(MSCI)・為替レートの動き
一方、中国や香港では、中国新指導部の習近平総書記への権限集中によって規制強化懸念が強まったことが株式の売り圧力につながったと見られる。
通貨の騰落率を見ると、ドルの27カ国の貿易ウエイトで加重平均した実効為替レート(Narrow)が前月比0.0%、60カ国の貿易ウエイトで加重平均した実効為替レート(Broad)が前月比▲0.6%となりほぼ横ばい圏での推移となった5(前掲図表3)。
5 ただし、名目実効為替レートは10月25日時点の前月末比で算出。
6 同日にIMFからの金融支援(30億ドル)に関する実務者間の合意に達したと報じられている。例えば、エジプトとIMF、30億ドル支援で実務者合意」2022年10月27日(22年11月2日アクセス)
このうち、カナダ銀行は6会合連続の利上げ、ECBは3会合連続の利上げを決めている。ECBは市場予想と同じ0.75%ポイントの利上げだったが、カナダ中銀は市場予想より小幅な0.50%ポイントの利上げだったため、中銀の利上げペース鈍化の見方を強めたものと言える。
G7以外の国でも多くの国で利上げを決定しているが、利上げサイクルの終了が視野に入っている国もある。オーストラリア、韓国、インドネシアで利上げが継続される一方、ブラジルは9月に引き続き10月も政策金利の据え置きを決定した。また、アルゼンチンも政策金利を据え置いた(アルゼンチンは9月まで9か月連続で利上げを実施している)。ハンガリーは14日に政策金利コリドーの上限金利である貸出金利について9.5%ポイントの大幅引き上げを決定した後7、25日の会合では政策金利を据え置いている。
ロシアはウクライナ侵攻後の経済・金融制裁とインフレ圧力の高まりに対抗するために20%まで政策金利を引き上げてきたが、9月にかけて段階的に7.5%まで引き下げた後、10月は政策金利を据え置いた。
一方、トルコはエルドアン大統領の意向を受けた低金利政策が続いており、3会合連続での利下げを決定している。
7 通貨売り防衛との見方がある。例えばFinancial Times, Hungary’s overnight interest rates jump in attack against forint short sellers, October 14 2022(22年11月2日アクセス)
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(2022年11月02日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1818
- 【職歴】
2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
2009年 日本経済研究センターへ派遣
2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
2014年 同、米国経済担当
2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
2020年 ニッセイ基礎研究所
2023年より現職
・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
アドバイザー(2024年4月~)
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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