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キャッシュレス化は本当に環境にやさしいのか

金融研究部 金融調査室長・年金総合リサーチセンター兼任 福本 勇樹
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- 日本においても着実にキャッシュレス化が進展している中で、SDGsやESGの取組みにおいて、キャッシュレス化がサステナブルな社会の実現に寄与するとの考え方も徐々に浸透しつつある。
- 現金決済では、硬貨・紙幣は金属・プラスチック・紙などから製造され、市中で流通し、最終的に使えないと判断されれば回収・廃棄されるが、それに伴って様々な環境負荷が生じている。
- キャッシュレス決済では、どのデバイスを用いて、どのような方式で決済するのかによって環境負荷に違いがある。
- キャッシュレス化によって現金決済における製造・寿命・流通に伴う環境負荷をいくらか軽減することができるが、環境負荷が全くなくなるわけではなく、どの決済手段がサステナブルな社会の実現に寄与するのかは相対的な評価ということになる。
- 資源が有限であること、移行にかかるコストなども総合的に考慮に入れると、現時点ではカード決済やバーコード決済などのキャッシュレス決済を用いる方が環境にやさしいという評価になるものと思われる。
- ただし、エネルギー消費やリサイクルなどの分野では循環型経済に向けた技術革新が日進月歩で進展しており、キャッシュレス化による環境負荷の軽減効果については逐次検証し、情報を更新していくことが求められる。
■目次
1――SDGsの取組みにおいて注目されるキャッシュレス化
2――現金決済に伴う環境負荷
1|現金の製造に伴う環境負荷
2|現金の寿命に伴う環境負荷
3|現金の流通に伴う環境負荷
3――キャッシュレス決済に伴う環境負荷
1|カード決済に伴う環境負荷
2|スマホ決済に伴う環境負荷
3|暗号通貨による決済に伴う環境負荷
4――まとめ
(2022年10月24日「基礎研レター」)

03-3512-1848
- 【職歴】
2005年4月 住友信託銀行株式会社(現 三井住友信託銀行株式会社)入社
2014年9月 株式会社ニッセイ基礎研究所 入社
2021年7月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会検定会員
・経済産業省「キャッシュレスの普及加速に向けた基盤強化事業」における検討会委員(2022年)
・経済産業省 割賦販売小委員会委員(産業構造審議会臨時委員)(2023年)
【著書】
成城大学経済研究所 研究報告No.88
『日本のキャッシュレス化の進展状況と金融リテラシーの影響』
著者:ニッセイ基礎研究所 福本勇樹
出版社:成城大学経済研究所
発行年月:2020年02月
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