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決済手段の選択が「粋(いき)な計らい」になる日-2021年の日本のキャッシュレス化の進展状況の振り返りと今後の注目点について
金融研究部 金融調査室長・年金総合リサーチセンター兼任 福本 勇樹
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- 2021年のキャッシュレス決済比率は、分子のキャッシュレス決済額が前年比で約10.6%増加、分母の民間最終消費支出が1.1%増加して32.5%に達した。
- 2020年第2四半期に変動費を中心とした各種支払が控えられたことによりクレジットカードの決済額の伸び率は一時的にマイナスに落ち込んだが、2021年第2四半期以降は伸び率が回復している。
- デビットカードも20%前後の伸び率を維持している。与信枠の限られる学生、節約志向の強い消費者、ATMの利用を避ける消費者などが利用を増やしているものと見られる。
- 電子マネーの決済額の伸び率はゼロ%近辺にある。他のキャッシュレス決済手段と比較して決済額は頭打ちの状況にあり、流通系電子マネーでもチャージの手間を解消するモバイルチャージが導入されるなど対応策がとられている。
- 新型コロナウイルス感染症拡大に伴って、QRコード*決済の決済額伸び率が年率65%と驚異的なペースで拡大している。決済単価が伸びていないのが課題として挙げられる。
- 今後の注目点として「マイナポイント事業(第2弾)」「金融機関の非現金化」「決済手数料ゼロ%キャンペーンの終了」が挙げられる。
- キャッシュレス決済と現金決済のぞれぞれにかかるコストを比較しながら、店舗との社会的な関係性を重視して決済手段を選択することが「チップ」を支払うのと同等の経済効果を持つため、「粋な計らい」と捉えられるようになるかもしれない。
- 決済手数料の有料化によって、キャッシュレス決済は顧客満足度向上のためのツールから集客ツールとしての役割が強まるが、新型コロナウイルス感染症の拡大で消費者と店舗の間にソーシャルディスタンスが求められ、無人レジなどの非接触技術が広く普及した状況にあるからこそ、特に実店舗において消費者との接点の在り方について見なおしていくことが今後の重要な課題となる。
* 「QRコード」は株式会社デンソーウェーブの登録商標です。
■目次
1――キャッシュレス決済比率は33%に
2――今後の注目点:決済手段の選択が「粋」だと捉えられる社会に変容するかもしれない
1|マイナポイント事業(第2弾)の実施
2|金融機関の非現金化に伴う現金取り扱いコストの上昇
3|決済手数料ゼロ%のキャンペーンの終了
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03-3512-1848
- 【職歴】
2005年4月 住友信託銀行株式会社(現 三井住友信託銀行株式会社)入社
2014年9月 株式会社ニッセイ基礎研究所 入社
2021年7月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会検定会員
・経済産業省「キャッシュレスの普及加速に向けた基盤強化事業」における検討会委員(2022年)
・経済産業省 割賦販売小委員会委員(産業構造審議会臨時委員)(2023年)
【著書】
成城大学経済研究所 研究報告No.88
『日本のキャッシュレス化の進展状況と金融リテラシーの影響』
著者:ニッセイ基礎研究所 福本勇樹
出版社:成城大学経済研究所
発行年月:2020年02月
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