- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経営・ビジネス >
- 環境経営・CSR >
- 青い世界に注目してみよう-ブルーボンドやブルーカーボンって何?
青い世界に注目してみよう-ブルーボンドやブルーカーボンって何?

金融研究部 主任研究員・年金総合リサーチセンター・ジェロントロジー推進室・サステナビリティ投資推進室兼任 高岡 和佳子
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
1――日本で発行が検討されるブルーボンドって何?

1 マルハニチロ株式会社『本邦初となる「ブルーボンド」の発行に向けた検討の開始に関するお知らせ』(2022年8月8日)
2 ICMA“Green Bond Principles”June 2021
4 IFC“Guidelines for Blue Finance”January 2022
5 公益財団法人日本海事広報協会「海と船なるほど豆辞典~海に住む生物の種類」参照
6 Climate Bonds Initiative databaseを基に算出
2――ブループロジェクト(ブルーボンドの使途)って何?
ブループロジェクトと言えば、サンゴ礁の保護、環境負荷が小さい持続可能な水産業、船舶の運航に伴う生態系への影響緩和などの生態系管理や自然資源の回復を目指すプロジェクトを思い浮かべるのではないだろうか。もしくは、プラスチック廃棄物を削減したり、工業・農業・生活問わず廃水を収集・適切に処理するなど海洋汚染を防ぐプロジェクトを思い浮かべるかもしれない。しかし、生態系の保護や海洋汚染を防ぐプロジェクトだけがブループロジェクトではない。洋上風力や潮力、海洋熱などを利用した再生可能エネルギーに関するプロジェクトやブルーカーボンに関連するプロジェクトもブループロジェクトである。
3――ブルーカーボンって何?

人間の活動による二酸化炭素排出量の4分の1を海が吸収してくれているとはいえ、二酸化炭素の吸収の総量(年間158億トン)は、人間の活動による二酸化炭素の排出量(年間345億トン)に対して圧倒的に少ない。そこで、海による二酸化炭素の回収や貯留機能を高める取り組み(ブルーカーボンに関連するプロジェクト)が積極的に行われている。
さらに、海による二酸化炭素の回収や貯留機能を高める取り組みにより創出した二酸化炭素吸収量を取引(売買)する制度の構築に向けた試行もある。令和3年度は横浜港、神戸港、徳山下松港及び北九州港で試行され、吸収された二酸化炭素は合計80.4トンに及ぶ8。人間の活動による二酸化炭素排出量と比べると格段に少ないが、4つ港湾の取組に過ぎない。日本には993の港湾と、2,780の漁港があるし9、港以外でも海による二酸化炭素の回収や貯留機能向上に取り組むことは可能である。日本の国土面積は決して大きくないが、日本の海岸線は世界第6位の長さを誇る。ブルーカーボン大国になれる日もそう遠くないかもしれない。
7 “Global Carbon Budget 2020“参照
なお、二酸化炭素吸収量は炭素換算で表示されているため、炭素の原子量と二酸化炭素の分子量の比に応じて二酸化炭素の重さに換算している
8 国土交通省「脱炭素社会の実現に向けたブルーカーボン・オフセット・クレジット制度の試行について」令和4年3月15日参照
9 国土交通省「港湾数一覧、国際戦略港湾、国際拠点港湾及び重要港湾位置図(2021年4月1日現在)」
水産庁「指定漁港数一覧表(令和4年4月1日現在)」
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2022年09月12日「基礎研レター」)

03-3512-1851
- 【職歴】
1999年 日本生命保険相互会社入社
2006年 ニッセイ基礎研究所へ
2017年4月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会検定会員
高岡 和佳子のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/04/30 | ふるさと納税のピットフォール-発生原因と望まれる改良 | 高岡 和佳子 | 基礎研レポート |
2025/04/03 | 税制改正でふるさと納税額はどうなる? | 高岡 和佳子 | 研究員の眼 |
2025/02/26 | ふるさと納税、確定申告のススメ-今や、確定申告の方が便利かもしれない4つの理由 | 高岡 和佳子 | 研究員の眼 |
2025/02/18 | ふるさと納税、事務負荷の問題-ワンストップ特例利用増加で浮上する課題 | 高岡 和佳子 | 研究員の眼 |
新着記事
-
2025年05月02日
金利がある世界での資本コスト -
2025年05月02日
保険型投資商品等の利回りは、良好だったが(~2023 欧州)-4年通算ではインフレ率より低い。(EIOPAの報告書の紹介) -
2025年05月02日
曲線にはどんな種類があって、どう社会に役立っているのか(その11)-螺旋と渦巻の実例- -
2025年05月02日
ネットでの誹謗中傷-ネット上における許されない発言とは? -
2025年05月02日
雇用関連統計25年3月-失業率、有効求人倍率ともに横ばい圏内の動きが続く
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年04月02日
News Release
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
【青い世界に注目してみよう-ブルーボンドやブルーカーボンって何?】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
青い世界に注目してみよう-ブルーボンドやブルーカーボンって何?のレポート Topへ