2022年05月24日

子ども(5~11歳)の新型コロナワクチン接種意向-保護者の約4割が消極的、低年齢児ほど副反応への強い懸念

生活研究部 上席研究員   久我 尚子

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1――はじめに~3月から5~11歳の新型コロナワクチンの接種が本格開始、保護者の意向は?

2022年3月から日本国内でも、これまで新型コロナウイルス感染症のワクチン接種の対象外であった5~11歳の子どもへの接種が本格的に始まった。本稿ではニッセイ基礎研究所が3月下旬に実施した調査1に基づき、5~11歳の子どものワクチン接種に対する保護者の意向について見ていきたい。
 
1 ニッセイ基礎研究所「第8回 新型コロナによる暮らしの変化に関する調査」、調査対象は全国に住む20~74歳の男女2,584名、調査期間は3月23~29日、インターネット調査、株式会社マクロミルのモニターを利用、本稿の分析対象は5~11歳の子のいる保護者285名。

2――子ども(5~11歳)のワクチン接種状況および保護者の意向

2――子ども(5~11歳)のワクチン接種状況および保護者の意向~消極層は約4割で低年齢児ほど多い

新型コロナウイルスの子ども(5~11歳)のワクチン接種状況および今後の意向について、保護者にたずねたところ、3月下旬の調査時点では全体で「一回目の接種を終えている(二回目接種済みを含む)」が9.5%を占める2(図表1)。これに「(一回目の接種を予約し)接種日を待っている」(8.1%)と「すぐにでも接種させたい」(6.7%)をあわせた積極層は24.3%と4分の1程度を占める。

一方、「しばらく様子を見てから接種させたい」という様子見層は24.6%であり、「あまり接種させたくない」(29.1%)と「絶対に接種させたくない」(13.3%)を合わせた消極層は42.4%と目立つ。

また、年明け以降のオミクロン株による爆発的な感染拡大下では、小学校や保育所、幼稚園などの子どもの施設での感染拡大も目立ったためか、「(新型コロナウイルス感染症に)罹患したため、しばらく接種させる必要がない」(8.8%)も1割程度を占める。
図表1 子ども(5~11歳)の新型コロナワクチン接種状況および保護者の意向(2022年3月23~29日時点)
なお、大人の追加(三回目)接種状況では「接種を終えている」(47.5%)を含めた積極層(75.1%)が7割を超える一方、消極層(7.5%)は1割未満であることと比べると(図表2)、子どものワクチン接種ではかなり慎重な態度を取る保護者が多い。なお、大人の接種では年齢が高いほど積極層が多い一方、若いほど消極層が多い傾向があり、消極層は20歳代で11.0%、30歳代で12.5%を占める。

また、5~11歳の子どものワクチン接種状況について年齢別に見ると、積極層は10・11歳(36.9%)で約4割を占める一方、10歳未満では2割前後にとどまる。一方、消極層は低年齢ほど多く、5歳(46.5%)では約半数を占める。なお、様子見層は6・7歳(31.2%)で最も多いほか、「新型コロナウイルス感染症に罹患したため、しばらく接種させる必要がない」は5歳(14.1%)で最も多い。
図表2 20~74歳の新型コロナワクチンの追加(三回目)接種状況および意向(2022年3月23~29日時点)
 
2 首相官邸公表の新型コロナワクチンの年齢階級別接種実績によると、5月16日時点の5~11歳における2回目接種完了者は11.1%、1回以上接種者は14.9%。

3――子ども(5~11歳)のワクチン接種に積極的な理由

3――子ども(5~11歳)のワクチン接種に積極的な理由~感染リスクの低減、子どもの感染対策への不安

子ども(5~11歳)のワクチン接種に積極的な保護者に対して、その理由をたずねたところ、最も多いのは「子ども自身の感染リスクを下げると思うから」(43.5%)であり、次いで「子ども自身の重症化・死亡リスクを下げると思うから」(36.2%)、「子どもが学校生活などを送りやすくなるから」(33.3%)、「同居家族の感染リスクを下げると思うから」(26.1%)、「子どもの感染防止対策(マスクや手洗い・うがいなど)に不安があるから」(21.7%)と続く(図表3)。つまり、子ども自身や同居家族のリスク低減のほか、感染防止対策の不十分さといった子どもならではの不安も上位にあがる。

年齢別に見ても上位にあがる理由はおおむね同様だが(図表略)、年齢が高いほど「12歳以上の兄弟姉妹がすでに接種しているから」の割合が高い傾向があり、5歳では1割未満だが、10・11歳では約3割%を占める(参考値)。
図表3 子ども(5~11歳)のワクチン接種に積極的な理由(複数回答)(n=69)

4――子ども(5~11歳)のワクチン接種に積極的でない理由

4――子ども(5~11歳)のワクチン接種に積極的でない理由~副反応の心配や将来的な安全性への懸念

子ども(5~11歳)のワクチン接種に積極的ではない保護者に対して、その理由をたずねたところ、最も多いのは「子どもの副反応が心配だから」(62.3%)であり、次いで「子どもの副反応(の程度や症状について)の情報が少ないから」(55.0%)、「将来的な安全性が確認できていないと思うから」(48.2%)と続く(図表4)。このほか、「子どものワクチン接種による効果が明確ではないから」(29.3%)や「子どもは罹患しても軽症ですむと思うから」(23.0%)といった回答も2割を超えて目立つ。
図表4 子ども(5~11歳)のワクチン接種に積極的ではない理由(複数回答)(n=191)
なお、大人の追加(三回目)接種に積極的ではない理由についてたずねた結果においても、上位には副反応の心配などがあがるが(図表5)、同様の理由に対する子どもの接種での選択割合は大人と比べて大幅に高い(例えば「副反応が心配だから」では大人37.9%、子ども62.3%で+24.4%ptの差)。よって、子どものワクチン接種に対する懸念は、大人の場合と比べて非常に強い様子がうかがえる。
図表5 20~74歳のワクチン追加(三回目)接種に積極的ではない理由(複数回答)(n=564)
ワクチン接種に積極的ではない理由について、子どもの年齢別に見ても上位にあがる理由はおおむね同様だが、年齢が低いほど副反応への懸念が強く、「子どもの副反応が心配だから」の選択割合は5歳児(80.8%)では10・11歳(58.3%)と比べて2割ほど高い。このほか、5歳児では「子どもが注射が苦手だから」(20.0%)といった理由も比較的多い。

一方、年齢が高いほど「子どものワクチン接種による効果が明確ではないから」や「まだ周囲で接種して問題がないことが確認できていないから」の選択割合が高く、10・11歳児では5歳児と比べて1割ほど高い。なお、8歳以上では1割未満ではあるが、「12歳以上の兄弟姉妹も接種していないから」といった回答もある。
図表6 年齢別に見た子ども(5~11歳)のワクチン接種に積極的ではない理由(複数回答)

5――5歳未満の子どものワクチン接種意向

5――5歳未満の子どものワクチン接種意向~消極層が約半数、様子見層が約4割、積極層が約1割

調査では、現在のところ、日本国内ではワクチン接種対象外の5歳未満の子どものワクチン接種意向についても保護者にたずねている。その結果、最も多いのは「しばらく様子を見てから接種させたい」(36.0%)であり、次いで僅差で「あまり接種させたくない」(32.6%)が続き、以下、「絶対に接種させたくない」(15.9%)、「すぐにでも接種させたい」(10.5%)、「新型コロナウイルス感染症に罹患したため、しばらく接種させる必要がない」(5.0%)と続く(図表7)。

なお、「あまり接種させたくない」(32.6%)と「絶対に接種させたくない」(15.9%)をあわせた消極層は48.5%を占め、5~11歳(42.4%)を+6.1%pt上回る。

よって、5歳未満の子どものワクチン接種についての保護者の考え方は消極層が約半数を占めて多く、このほか様子見層が約4割、積極層が約1割という分布になっている。
図表7 今後の5歳未満の子どもの新型コロナワクチン接種意向(単一回答)(n=239)

6――おわりに

6――おわりに~子どもにも意義を丁寧に説明し、子どもも保護者も納得した上で接種をすることが重要

本稿で見た通り、5~11歳の子どもの保護者の約4割、5歳未満では約半数が子どもの新型コロナウイルスのワクチン接種には消極的で、その理由には大人の接種と比べて副反応への懸念が非常に強いこと、また、将来的な安全性への懸念や効果への疑問などの声があがった。大人のワクチン接種においても、発熱や倦怠感などの副反応によって仕事などを休むこともあるため、子どもの小さな身体への負担を心配する気持ちは親として自然なものだろう。

なお、現在のところ、厚生労働省では新型コロナウイルスのワクチン接種は無料で受けられる公的な予防接種として勧めているものの「努力義務」は適用していない。子どもの年齢が低いほど判断に悩む保護者も多いだろうが、厚生労働省のホームぺージ等では接種の必要性や効果、副反応の症状、海外の小児接種の状況などが分かりやすく掲載されている3

新型コロナウイルスのワクチン接種によらず、予防接種全般において基本的なことだが、保護者が接種によるメリットやデメリットを丁寧に調べ、現在の周囲の感染状況、高齢者や基礎疾患を持つ家族の有無などの各自の事情を踏まえた上で判断をする必要がある。

なお、厚生労働省のパンフレットには「おうちの人と一緒にこの説明書を読んで、ワクチンを受けるか相談しましょう。」とのメッセージもあり、接種にあたっては、その意義について、子どもにも丁寧に説明し、子どもも保護者も納得した上で接種することが重要だ。
 
3 厚生労働省「5~11歳の子どもへの接種(小児接種)についてのお知らせ」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_for_children.html
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生活研究部   上席研究員

久我 尚子 (くが なおこ)

研究・専門分野
消費者行動、心理統計、マーケティング

(2022年05月24日「基礎研レポート」)

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【子ども(5~11歳)の新型コロナワクチン接種意向-保護者の約4割が消極的、低年齢児ほど副反応への強い懸念】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

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