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子ども(5~11歳)の新型コロナワクチン接種意向-保護者の約4割が消極的、低年齢児ほど副反応への強い懸念

生活研究部 上席研究員 久我 尚子
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1――はじめに~3月から5~11歳の新型コロナワクチンの接種が本格開始、保護者の意向は?
1 ニッセイ基礎研究所「第8回 新型コロナによる暮らしの変化に関する調査」、調査対象は全国に住む20~74歳の男女2,584名、調査期間は3月23~29日、インターネット調査、株式会社マクロミルのモニターを利用、本稿の分析対象は5~11歳の子のいる保護者285名。
2――子ども(5~11歳)のワクチン接種状況および保護者の意向~消極層は約4割で低年齢児ほど多い
一方、「しばらく様子を見てから接種させたい」という様子見層は24.6%であり、「あまり接種させたくない」(29.1%)と「絶対に接種させたくない」(13.3%)を合わせた消極層は42.4%と目立つ。
また、年明け以降のオミクロン株による爆発的な感染拡大下では、小学校や保育所、幼稚園などの子どもの施設での感染拡大も目立ったためか、「(新型コロナウイルス感染症に)罹患したため、しばらく接種させる必要がない」(8.8%)も1割程度を占める。
また、5~11歳の子どものワクチン接種状況について年齢別に見ると、積極層は10・11歳(36.9%)で約4割を占める一方、10歳未満では2割前後にとどまる。一方、消極層は低年齢ほど多く、5歳(46.5%)では約半数を占める。なお、様子見層は6・7歳(31.2%)で最も多いほか、「新型コロナウイルス感染症に罹患したため、しばらく接種させる必要がない」は5歳(14.1%)で最も多い。
2 首相官邸公表の新型コロナワクチンの年齢階級別接種実績によると、5月16日時点の5~11歳における2回目接種完了者は11.1%、1回以上接種者は14.9%。
3――子ども(5~11歳)のワクチン接種に積極的な理由~感染リスクの低減、子どもの感染対策への不安
年齢別に見ても上位にあがる理由はおおむね同様だが(図表略)、年齢が高いほど「12歳以上の兄弟姉妹がすでに接種しているから」の割合が高い傾向があり、5歳では1割未満だが、10・11歳では約3割%を占める(参考値)。
4――子ども(5~11歳)のワクチン接種に積極的でない理由~副反応の心配や将来的な安全性への懸念
一方、年齢が高いほど「子どものワクチン接種による効果が明確ではないから」や「まだ周囲で接種して問題がないことが確認できていないから」の選択割合が高く、10・11歳児では5歳児と比べて1割ほど高い。なお、8歳以上では1割未満ではあるが、「12歳以上の兄弟姉妹も接種していないから」といった回答もある。
5――5歳未満の子どものワクチン接種意向~消極層が約半数、様子見層が約4割、積極層が約1割
なお、「あまり接種させたくない」(32.6%)と「絶対に接種させたくない」(15.9%)をあわせた消極層は48.5%を占め、5~11歳(42.4%)を+6.1%pt上回る。
よって、5歳未満の子どものワクチン接種についての保護者の考え方は消極層が約半数を占めて多く、このほか様子見層が約4割、積極層が約1割という分布になっている。
6――おわりに~子どもにも意義を丁寧に説明し、子どもも保護者も納得した上で接種をすることが重要
なお、現在のところ、厚生労働省では新型コロナウイルスのワクチン接種は無料で受けられる公的な予防接種として勧めているものの「努力義務」は適用していない。子どもの年齢が低いほど判断に悩む保護者も多いだろうが、厚生労働省のホームぺージ等では接種の必要性や効果、副反応の症状、海外の小児接種の状況などが分かりやすく掲載されている3。
新型コロナウイルスのワクチン接種によらず、予防接種全般において基本的なことだが、保護者が接種によるメリットやデメリットを丁寧に調べ、現在の周囲の感染状況、高齢者や基礎疾患を持つ家族の有無などの各自の事情を踏まえた上で判断をする必要がある。
なお、厚生労働省のパンフレットには「おうちの人と一緒にこの説明書を読んで、ワクチンを受けるか相談しましょう。」とのメッセージもあり、接種にあたっては、その意義について、子どもにも丁寧に説明し、子どもも保護者も納得した上で接種することが重要だ。
3 厚生労働省「5~11歳の子どもへの接種(小児接種)についてのお知らせ」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_for_children.html
(2022年05月24日「基礎研レポート」)

03-3512-1878
- プロフィール
【職歴】
2001年 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ入社
2007年 独立行政法人日本学術振興会特別研究員(統計科学)採用
2010年 ニッセイ基礎研究所 生活研究部門
2021年7月より現職
・神奈川県「神奈川なでしこブランドアドバイザリー委員会」委員(2013年~2019年)
・内閣府「統計委員会」専門委員(2013年~2015年)
・総務省「速報性のある包括的な消費関連指標の在り方に関する研究会」委員(2016~2017年)
・東京都「東京都監理団体経営目標評価制度に係る評価委員会」委員(2017年~2021年)
・東京都「東京都立図書館協議会」委員(2019年~2023年)
・総務省「統計委員会」臨時委員(2019年~2023年)
・経済産業省「産業構造審議会」臨時委員(2022年~)
・総務省「統計委員会」委員(2023年~)
【加入団体等】
日本マーケティング・サイエンス学会、日本消費者行動研究学会、
生命保険経営学会、日本行動計量学会、Psychometric Society
久我 尚子のレポート
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