2021年11月26日

ワクチン接種証明による行動制限緩和についての考え方-肯定層は約6割、より安心安全な環境を求める高齢層ほど前向き

生活研究部 上席研究員   久我 尚子

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■要旨
 
  • ニッセイ基礎研究所が20~74歳を対象に実施した調査によると、接種証明等を活用した行動制限の緩和に60.3%が肯定的である。年齢が高いほど肯定層は増え70~74歳で75.9%を占める。重篤化リスクの高さからコロナ禍で外出自粛傾向が強く、安心安全な環境で消費行動が再開できることをより強く求めているのだろう。肯定層は7月より9月でやや増え、特にこの期間にワクチン接種が進んだ40~60歳代で増えている。
     
  • 行動制限緩和にあたっての条件には「病床がひっ迫していないこと」(50.1%)をはじめ、感染拡大の状況にないことに関する項目が上位にあがる。また、「接種義務化や差別の助長につながらないこと」(28.4%)も比較的上位にあがる。なお、「接種済み証明の有効期限が定まること」は15.0%にとどまるが、海外の感染拡大状況などを見れば、今後の議論における重要な観点の1つと言える。
     
  • 性年代別に見ても上位には感染拡大の状況にないことに関する項目があがるが、全体的に男性より女性、高年齢層ほど選択割合が高く、行動制限緩和の条件について慎重な態度を見せる。背景には感染不安の強さの影響があるようだ。若い年代は重篤化リスクの低さから比較的寛容な態度を取る傾向が強い一方、少数派だがワクチン接種に消極的で行動制限の緩和を許容しない層も存在する(約1割)。
     
  • 具体的な利用方法では「飲食店の営業時間の制限緩和」(56.0%)や「介護施設や医療機関での面会制限の緩和」(51.4%)などで賛成層が、「海外からの入国・帰国時の隔離措置の免除」(38.5%)や「医療体制が脆弱な地域などへの移動」(27.1%)で反対層が目立ち、日常生活や普段の消費行動に関わりのある利用方法については受容性が高い一方、感染拡大を想起させるような利用方法については受容性が低い傾向がある。
     
  • 性別には緩和条件に比較的寛容な男性で具体的な利用方法にも比較的受容性が高い。また、男性は移動や会食など仕事に関わるもの、女性は家庭生活に関わるものに賛成層が多い。年代別には高年齢層ほど賛成層が多い。高齢層は緩和条件には慎重だが実際の利用方法は前向きに捉えており、感染不安は強いが自粛傾向が強いことなどから、安心安全な環境で消費行動が再開できることをより強く求めているようだ。
     
  • 政府は来年2月頃からGoToトラベルの再開を検討しているが夏頃までにワクチン接種を完了した層で予防効果の低下が懸念される。海外での感染再拡大などを踏まえ、人の流れが大きく動き出す前に3回目接種とあわせてワクチンの有効期限について議論を進めるべきだ。また、政府は行動制限緩和に向けた実証実験の成果や改善点等を速やかに国民と共有し、感染対策と経済再開の両立を図る方策を探るべきだ。


■目次

1――はじめに
 ~動き出す消費、接種証明等を活用した行動制限の緩和に対する消費者の意識は?
2――ワクチン接種証明等の活用に対する基本的な考え方
 ~肯定層は約6割、接種の進行とともに増加
  1|全体の状況~接種証明の活用に対して約6割が肯定的、7月よりやや増加
  2|属性別の状況
   ~自粛傾向の強い高年齢層ほど肯定的、ワクチン接種の進む40~60歳代で肯定層増加
3――行動制限緩和の条件
 ~感染拡大の状況にないこと、感染不安の強い女性や高年齢層ほど慎重
  1|全体の状況~上位は病床がひっ迫していないことなど感染拡大の状況にないこと
  2|属性別の状況~重篤化リスク・感染不安の違いから男性より女性、高年齢層ほど慎重
4――具体的な利用方法に対する賛否
  1|全体の状況~日常生活や普段の消費行動に関わりのある利用方法で受容性高い
  2|属性別の状況~高齢層は緩和条件には慎重だが具体的な利用には前向き
5――おわりに
 ~GoToトラベル開始前にブースター接種や接種証明等の有効期限の議論を
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生活研究部   上席研究員

久我 尚子 (くが なおこ)

研究・専門分野
消費者行動、心理統計、マーケティング

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レポート紹介

【ワクチン接種証明による行動制限緩和についての考え方-肯定層は約6割、より安心安全な環境を求める高齢層ほど前向き】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

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