確定拠出年金では何に投資したら良いのか?-外国株式型、国内株式型、バランス型、外国債券型と国内債券型でパフォーマンスを比較してみた 基礎研REPORT(冊子版)5月号[vol.302] | ニッセイ基礎研究所
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確定拠出年金では何に投資したら良いのか?-外国株式型、国内株式型、バランス型、外国債券型と国内債券型でパフォーマンスを比較してみた
基礎研REPORT(冊子版)5月号[vol.302]

金融研究部 研究員 熊 紫云
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1―はじめに
このため、確定拠出年金の資産配分は、老後のための資産形成を目的としたポートフォリオの資産配分の典型例と言える。そこで、確定拠出年金における資産配分の現状を紹介し、過去のデータに基づいて確定拠出年金での適切なポートフォリオの資産配分を考えてみたい。
2―確定拠出年金の資産配分の現状
資産クラスの中で一番リスクが高い国内株式と外国株式を合わせた割合を見てみると、20代で25.9%、30代で32.3%、40代で29.4%、50代で24.1%、60歳以上で20.4%と30代をピークに年齢が上がるにつれて割合は低くなっていく。
年齢が上がるにつれてリスクがない商品の割合が増え、リスクが高い商品の割合が減っている。一般的に、年齢を重ねるにつれポートフォリオ全体のリスクを抑えていくべきなので合理的に思えるが、実は現状の年齢別の平均的な資産配分が適切とは限らない。
3―金融危機の直前に確定拠出年金で投資を始めたらいくらになるか?
具体的に確定拠出年金専用のバランス型(資産配分固定型)の代表例として、株式インデックス25%・債券インデックス72%・短資3%を組入れる「低リスク型」、株式インデックス50%・債券インデックス47%・短資3%を組入れる「中リスク型」と株式インデックス75%・債券インデックス22%・短資3%を組入れる「高リスク型」を想定する。加えて、国内株式インデックス50%・外国株式インデックス50%を組入れる「内外株式型」と「国内債券型」、「外国債券型」、「国内株式型」、「外国株式型」、「米国株式型」それぞれ100%のケースも追加し、合計9種の資産配分で、日本での過去の4つの金融危機(日本バブル崩壊、ITバブル崩壊、リーマン・ショック、コロナ・ショック)直前という最悪の時期から毎月2万円を積立投資したら2021年12月末でいくらになったのか見てみたい[図表3]。例えば、一番投資期間が長い日本バブル崩壊直前から積立投資を始めた場合、米国株式型の最終積立金額は6,046万円、累計積立元本768万円の7~8倍になっている。外国株式型も4,761万円と元本の約6倍になっている。内外株式型は2,733万円、高リスク型は1,998万円、外国債券型は1,774万円、中リスク型は1,694万円となっている。日本バブル崩壊直前からだと、日本株式の回復が緩いため、国内株式型は1,597万円と2倍程度の最終積立金額にとどまっている。そして低リスク型が1,376万円、国内債券型が1,080万円となり、資産の増加が比較的小さかった。
総じて株式型が上位になり、債券型は下位になる。資産配分固定型のバランス運用は、株式インデックスと債券インデックスの両方に投資するので、当然中間的な結果となり、株式インデックスの配分が高い方が、上位となっている。高リスク型は国内株式型と同程度かそれ以上のパフォーマンスとなり、低リスク型は国内債券型よりは良いが、国内株式型には見劣りする。中リスク型は高リスク型と低リスク型の間となっている。
4―若い人ほど、もっとリスクの高い資産に多く配分すべきである
過去のデータからは、バランス型よりも、もっとリスクの高い資産クラスに多く配分することが得策である。なぜなら、分散投資は重要だが、分散投資には、時間分散と資産分散があり、さらに資産分散には、同一資産クラス内の銘柄を分散する銘柄分散と、投資する資産クラスを分散する資産分散がある。長期的な資産形成においても、銘柄分散は重要だが、株式インデックスであれば、十分銘柄分散されている。長期積立投資により、資金投入時期が分散される時間分散と長期保有のメリットを十分享受できる若い人にとっては、資産分散により価格変動リスクを抑えるメリットは小さく、長期的により高いリターンを得るメリットの方が大きい。一方、年齢が高くなるにつれ、残る投資期間が短くなるので、短期的リスクを抑えるため、少しずつ元本保証型やバランス型等に移行した方が良い。
繰り返しになるが、確定拠出年金制度は積立時期の分散と長期保有によって時間を味方にできる年金制度である。確定拠出年金の資産配分を決定する際には、外国株式インデックスなど中長期的に高いリターンが期待できる資産クラスにより多く配分した方が老後のための資産をより効率良く形成できる。今一度ご自身の確定拠出年金の拠出金割合や運用内容を見直してみてはどうだろうか。
(2022年05月11日「基礎研マンスリー」)

03-3512-1856
- 【職歴】
2020年 日本生命保険相互会社入社
2021年4月 ニッセイ基礎研究所へ
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会検定会員
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