2021年12月03日

株式インデックス投資の手数料はどのくらいなのか-手数料を引いたら最終残高がどれだけ減るのか

金融研究部 研究員 熊 紫云

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■要旨
 
  • 人生100年時代の資産形成には株式インデックスへ積立投資がとても有効である。信託報酬等の手数料がないことを前提に試算したところ、長期的に適切な株式インデックスへ投資すれば高い収益が期待できることが分かった。

    それでは、手数料を差し引いたらどうなるのであろうか。日本から見た代表的な4つの金融・経済危機(日本バブル崩壊、ITバブル崩壊、リーマン・ショック、コロナ・ショック)において、株価暴落直前という最悪のタイミングで、米国株式(S&P500)、先進国株式(MSCIコクサイ)等成長力が見込める株式インデックスに毎月2万円積立投資をした場合で、現行の手数料水準を過去まで遡って適用し、試算してみた。結果として、手数料を差し引いても、長期保有すればかなりのリターンになることが分かった。
     
  • しかし、同じ株式インデックス型投資信託の中で、信託報酬等の手数料には大きなばらつきがある。投資総収益がほぼ同じであるにもかかわらず、信託報酬の差によって手数料の総額が大きく異なり、実際の受取金額に思っている以上に大きな違いが生じる。

    さらに、時間の経過とともに信託報酬の差は累積的に大きくなるため、長期投資では信託報酬に注目し、なるべく手数料が安い投資信託を選択することがとても大切である。
     
  • 今から株式インデックス投資を始める人は、信頼できる運用会社が運用し、手数料が安い「つみたてNISA対象」などの投資信託から、収益力、成長力が期待できる株式インデックス型投資信託を選択することをお勧めしたい。


■目次

1――はじめに
2――手数料の現状と問題点
  1|手数料の構成
  2|日本の投資信託の手数料は米国より割高
  3|同一指数への株式インデックス投資でも手数料が違う
3――手数料を引いたら最終残高はどのくらいになるか?
4――株式インデックス投資の手数料はどのくらいなのか?
5――まとめ

(2021年12月03日「基礎研レポート」)

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金融研究部   研究員

熊 紫云 (ゆう しうん)

研究・専門分野
資産運用・資産形成

経歴
  • 【職歴】
     2020年   日本生命保険相互会社入社
     2021年4月 ニッセイ基礎研究所へ

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会検定会員

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