2022年03月30日

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■要旨
 
  • 大阪のオフィス市場は、テレワークの普及など先行き不透明感が広がるなか、空室率は上昇基調で推移している。成約賃料についても需給バランスの緩和に伴い頭打ちとなった。本稿では、大阪のオフィス市況を概観した上で、2026年までの賃料予測を行った。
     
  • 大阪市では、人口の流入超過が継続しているもののその勢いは鈍化しており、大阪府の就業者数は8年ぶりに減少した。近畿地方の「企業の経営環境」や「雇用環境」についても、コロナ禍からの回復ペースは鈍く、オフィスワーカー数の拡大は力強さを欠くことが予想される。また、「在宅勤務」を取り入れた働き方が定着し、ワークプレイスの見直しが進んでいる。景気への波及効果が期待される大阪・関西万博についても、コロナ禍の影響に留意する必要がある。以上を鑑みると、大阪のオフィス需要は当面弱含みで推移する見通しである。
     
  • 一方、新規供給については梅田駅や淀屋橋駅を中心に複数の大規模開発計画が進行中である。2024年には2009年に次ぐ大量供給を迎える予定であり、今後、大阪の空室率は緩やかな上昇が継続すると予想する。
     
  • 大阪のオフィス成約賃料は、需給バランスの緩和に伴い下落基調で推移する見通しである。「2021年の賃料を100とした場合、2022年の賃料は「99」、2026年は「91」に下落する」と予想する。


■目次

1. はじめに
2. 大阪オフィス市場の現況
  2-1. 空室率および賃料の動向
  2-2. 需給動向
3. 大阪オフィス市場の見通し
  3-1. 新規需要の見通し
  3-2.新規供給見通し
  3-3. 賃料見通し
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金融研究部   主任研究員

吉田 資 (よしだ たすく)

研究・専門分野
不動産市場、投資分析

経歴
  • 【職歴】
     2007年 住信基礎研究所(現 三井住友トラスト基礎研究所)
     2018年 ニッセイ基礎研究所

    【加入団体等】
     一般社団法人不動産証券化協会資格教育小委員会分科会委員(2020年度~)

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【「大阪オフィス市場」の現況と見通し(2022年)】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

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